NPO相談、はじめました 「すごくいい活動だから、NPO法人にしたら?」と人から勧められたり、「知り合いがNPOで活動していると聞いた」など、「NPOという言葉を最近よく聞くようになったけど、実はよく分からない」という人も多いのではないでしょうか。
世田谷ボランティア協会では5月から「NPO・市民活動相談」を始め、市民活動団体・NPO法人の設立・運営に関する相談にも応じています。その内容や背景についてご紹介します。
◆市民活動が活発な世田谷 世田谷区では1970年代から、障害者の自立運動やプレーパークの開園、雑居まつりの開催など、福祉分野を中心に個人のボランティア活動が盛んに行われてきました。これらの活動に対する支援のしくみとして、「ボランティアの活動拠点が必要だ」という声から1981年に世田谷ボランティア協会が誕生しました。
さまざまな活動がより活発になるなかで、住民が主体となったまちづくりをすすめるために、市民活動に対する資金支援・運営支援を目的とした世田谷まちづくりファンドや、旧・世田谷区都市整備公社まちづくりセンター(現・世田谷トラストまちづくり)が1992年に設立されました。
その後、阪神淡路大震災を契機としてボランティアや市民活動に対する社会的な関心が高まり、1998年に特定非営利活動促進法(通称NPO法)が施行され、法人格を持つNPO団体が登場。2016年現在、全国では約5万団体あり、そのうち世田谷区では500団体を越えるNPO法人が活動しており、法人格をもたない多くの任意団体もさまざまな分野で活躍しています。こうした歴史的背景もあり、世田谷区では市民活動・NPOに対する支援は、福祉・まちづくり・芸術文化・男女共同参画など、さまざまな活動分野で行われてきたのが特徴です。
世田谷ボランティア協会ではこれまで個人のボランティア相談やコーディネートのほか、ボランティアグループ・団体の立ち上げや運営に関する相談に応じてきました。そのノウハウや経験をもとに、世田谷区市民活動・生涯現役推進課から委託をうけて、NPO法人の設立や運営も含めたNPO・市民活動全般に関する基礎的な相談にも対応することになりました。
◆NPOに関するよくある質問 「NPO・市民活動相談」の窓口で、NPOに関してよくある質問をまとめてみました。
@NPOって何? ボランティアとNPOの違いは? NPOとは「Non-Profit-Organization」の略で、非営利組織のことをさします。市民による自発的な、営利を目的としない、社会的使命をもった組織ともいわれ、法人格の有無を問いません。NPO法人だけでなく、ボランティアグループや任意団体も含めた民間非営利組織のことをNPOと呼ぶことが一般的になっています。
また、「ボランティア」が個人として活動に参加する側であるのに対して、「NPO」は組織を指し、団体としてボランティアの参加する場をつくる側とも言えます。
A「非営利」ってどういうこと?お金を稼いではいけないの? 「非営利」とは事業で生まれたもうけ(剰余金)を役員や会員等に分配しないことを指し、お金を稼いではいけないという意味ではありません。NPOが事業を継続していくためには事業収入などの収益が必要となり、それを分配せずに、次の事業に使っていきます。NPO職員の給料は団体の経費であり利益の分配には当たりません。これを「非営利性」と言います。
BNPO法人を設立することのメリットと義務は? 法人格を得ることのメリットは、社会的な信用や責任ある主体として事業の継続性が担保されます。また、契約の主体が団体になり、資産管理や事業の受託が可能になります。さらに、認定NPO法人制度があり、一定の要件を満たして所轄庁から認定されると、税制上の優遇措置を受けることが可能になります。
その一方で、NPO法人は会計の原則による会計管理や税務申告、情報公開義務があるほか、定款にそって会員組織として理事会や総会での決定が必須になり、任意団体に比べて素早い意思決定がしにくくなる面もあります。法人設立後も毎年、事業年度が終了して3ヶ月以内に、事業報告書などの書類を所轄庁(東京都)へ提出しなければなりません。
CNPO法人を設立するのに必要なことは? 大まかに言えば、NPO法に定められた20種類の分野からどのような非営利活動を行うかを決め、10人以上の社員(正会員と呼ぶことが多い)を集めて、最低4人の役員(理事・監事)を選び、定款に沿ってNPO法に則った活動ができればOKです。NPO法人は設立に費用がかからない点が大きな特徴でもあり、資本金がゼロでも設立することができます。
ただし、申請書類を所轄庁である東京都の担当窓口に出してから認証書が手元に届くまで4ヶ月ほどかかります。申請前の書類の準備や設立総会等も含めるとそれ以上かかることもあります。
また、NPO法人を設立するにはNPO法に定められた要件を満たして手続きすれば認証を受けることができます。NPO法人の認証は団体の活動内容を評価するものではありません。
◆これから活動を始める方へ 今年5月から始まった「NPO・市民活動相談」は、現在活動中の人だけでなく、これから新しく活動を始めたい人にも活用していただける相談窓口です。個別相談のほかに、「NPO法人設立ガイダンス」などのセミナーも随時に開催していきます。
その第1弾として、6月10日に世田谷ボランティアセンターで「NPO法人設立ガイダンス」を実施しました。東京ボランティア・市民活動センターの森玲子さんを講師にお招きして、NPOとは何か、法人化の意義、法人設立の流れなど、初心者にもわかりやすく基本から説明していただきました。

20名以上が参加し、NPOへの関心の高さがうかがえた
まだ具体的にNPO法人を設立しようという段階ではないけれど、NPOに関心があるという方が多く参加していました。森さんからは「いきなりNPO法人を設立しなくても、まずは任意団体として活動を始めることもできるので、自分たちのやろうとしている活動はいま本当に法人格が必要かどうか、よく検討して方法を選択することが重要です」とアドバイスがありました。
◆風通しのよい運営を 実際の団体はどのような思いで活動しているのでしょうか。野沢3丁目にある「のざわテットーひろば」は乳幼児を中心とした遊び場で、NPO法人「野沢3丁目遊び場づくりの会」が運営しています。2002年に任意団体として活動をはじめ、2010年にNPO法人化しました。
初代代表をつとめた池田栄子さんは、「任意団体で活動してもNPO法人で活動しても基本的な中身は変わりません」と言います。法人化する前から、誰に対してもきちんと説明できるよう会計や運営をしっかりと行い、公表していくことが地域の理解につながったといいます。また、代表は数年ごとに交代し、現代表は5代目。いろいろな人がかかわれるしくみも風通しをよくしているのかもしれません。

バザーのあとのお疲れさま〜!のひとコマ
(のざわテットーひろばのブログより)
任意団体とNPO法人の大きな違いは社会的信用が違うことといわれますが、「任意団体であっても、社会的に信用されない団体では意味がない。自分たちの好き勝手に活動するのではなく、責任をもってやっていく自覚が必要ですよね」と池田さんは話します。
事業を安定的に継続していくためには、資金確保も欠かせません。池田さんたちは任意団体のときから世田谷まちづくりファンドや世田谷区社会福祉協議会の助成金などをうまく活用しながら、活動を広げてきました。世田谷区内には複数の中間支援機関があるので、それぞれの特性を活かした支援を活用することができます。
◆NPO相談をご活用ください これから何か活動してみたい!という方や、すでに活動していてお悩みのある方は、ぜひ世田谷ボランティア協会で行っている「NPO・市民活動相談」をご活用ください。相談は無料です。
NPO法人の運営にかかわる税務や労務など、より専門的な内容の相談は専門家や外部機関をご紹介することもありますが、まずは窓口にお問い合わせください。(面談は事前予約制)
●個別相談・お問合せは世田谷ボランティアセンターへ。
電話03‐5712‐5101
火〜金曜日10時〜22時、土・日曜日は18時まで(月曜・祝日休)
●基礎的な問合せは各ボランティアビューローでも応じています。
梅丘ボランティアビューロー 電話03−3420−2520
代田ボランティアビューロー 電話03−3419−4545
玉川ボランティアビューロー 電話03−3707−3528
月〜土曜日 10時〜17時(日曜・祝日休)
(編集委員 市川 徹/事務局 宮崎)