雑居まつり40周年 〜その歴史と魅力に迫る〜

10月11日(日)羽根木公園にて、世田谷のボランティアの祭典、「第40回雑居まつり」が開催されます。どうしてこのまつりが40年も続いてきたのか、その歴史や魅力について振り返ってみました。
◆「雑居まつり」とは 世田谷区には、今年で38回目となる「せたがやふるさと区民まつり」よりも前から行われている「まつり」があることをご存じでしょうか。毎年10月第2日曜日に羽根木公園にて開催される「雑居まつり」がそれです。1976年に第1回目が開催され、今年でなんと40回目!
もともと世田谷ボランティア協会の前身「世田谷ボランティア連絡協議会」に所属する各グループが互いに交流を深める目的から始まり、現在は100団体以上の出店によって賑わいをみせています。さまざまな主張をもつ人びと、老若男女問わず、身体的・精神的にハンディキャップをもった人びとも分け隔てなく参加できるという意味から「雑居(ざっきょ)まつり」という名前が付けられ、「地域の問題は地域住民の手で」というスローガンを掲げて開催されています。
雑居まつりは、参加団体の代表者による実行委員会によって運営され、毎回6月ごろから話し合いが始まります。当日の出店場所やごみの分別ルールなど当日の運営に必要なことを全体で確認するために、7〜8回の実行委員会を重ねています。
当日は、福祉・教育・子育て・食・環境・平和・国際協力など多岐にわたる分野の団体が、それぞれの活動テーマごとに9つの「広場」を構成し、個々の団体の個性を活かす取り組みでまつり全体を盛り上げます。広い羽根木公園のあちこちにステージをもうけ、パフォーマンスのほか、バザー、模擬店、展示コーナーなどで来場者を楽しませてくれます。また、羽根木プレーパークの子どもたちが手づくりした大きな山車とともに、サンバパレードが梅ヶ丘の街中を練り歩き、手づくり感あふれるまつりとなっています。

子どもたちが新聞紙と小麦粉でつくった大きな山車
◆雑居まつりのきっかけ 雑居まつりが始まったきっかけは、世田谷ボランティア連絡協議会で行われたボランティアリーダー育成のための学習活動からでした。地域のさまざまな問題は独立しているのではなく、社会に根を張る地下茎のようにつながっている。それを解決するためには、地域の人びとが一堂に会し、お互いが抱えている問題を理解し合う「場」をつくり、「出会い」「ふれあい」「語り合う」ことが必要であると。これを実現するため「まつり」というアイデアが出されました。当初は「80万人のフェスティバル」という名称でしたが、これでは地域問題の解決という性格、世田谷の風土にそぐわないということから、「雑居まつり」と呼ばれるようになりました。
雑居まつりの原点は、「雑居であること」。発起人のひとり、澤畑勉さんは、その原点を以下のように語っています。
『従来ボランティアというと慈善奉仕的な活動と考えられがちでした。しかし、ボランティア活動は「してあげる」行為ではいけません。ハンディキャップをもつ人ともたない人が互いに学び合い、それぞれが自分の生き方を問うその過程で自分を変えていくことが大切なのです。地域に根をおろし、地域の問題をともに考え行動していく。地域に豊かな人間関係をつくりあげるなかから、健常者にも障害者にも住みよい街をつくっていくことが大切なのです』
(1979年発行『せたがやグラフ臨時号』(発行/世田谷区)の記事より要約・抜粋)
◆雑居まつりの魅力 世田谷での市民活動は1970年代頃から盛んになったことを考えると、このまつりはある意味、世田谷の市民活動の歴史そのものとも言えます。運営すべてを住民主導で行っていて、かつこれほど長く続いているイベントは全国でも珍しいでしょう。なぜここまで続いているのか、私見でその魅力を考えてみました。
(1)団体同士が活動分野を超えてつながっている
雑居まつりには、非常に多岐にわたる活動分野の団体が参加していますが、その目的は「思想・信条を越えて活動者同士がつながりあうこと」。「越える」というのは決して個々の思想・信条の表現を抑えることではなく、積極的に表現しながらもそれをお互いに認め合うことを大切にしています。
(2)みんなでつくりあげるまつりである
雑居まつりは参加団体の自主的な参加と協力によって支えられています。雑居まつりに長く参加している人や団体は、初めて参加する団体を尊重し、広場ごとにそれぞれが役割分担をして関わっています。
(3)雑居まつりは同窓会である
実行委員会や準備・後片付けを通じて他の団体と交流することでそれぞれの活動に広がりが生まれています。この時期に合わせて1年ぶりの再会を喜ぶ人たちや団体も多く、また、当日だけはわざわざ遠くから駆けつけて手伝ってくれる人もいて、まるで雑居まつりが団体同士の同窓会のように機能しています。
雑居まつりの開催はたった1日ですが、この「開催に至るまでのみんなでつくりあげていくプロセス」をとても大切にしています。そして、このプロセスを通じて多くの人びとや団体同士のつながりができ、またそのつながりから「雑居」のやり方を実践の場で自然に学び、新たにこのまつりを支える若い世代が育つなど、世代交代ともいえる循環ができています。まさにいろいろな人々や団体が「雑居」している状況こそ、このまつりの魅力なのでしょう。
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●雑居名物!@
「エプロン」 雑居まつりで見かける特徴的なエプロンをつけた人たちがいます。主催者と来場者を区別するためのものですが、エプロンを着けた人たちには何でも尋ねていい、といういわば「雑居まつりの看板」でもあります。

エプロンがトレードマークの澤畑さん
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●雑居名物!A
「プールの管理事務所」 雑居まつりでは参加団体が集まる拠点も大事な要素。今はなくなってしまいましたが、かつては羽根木公園にあったプールの管理事務所を準備拠点として、そこで飲食しながら多くの議論を重ねてネットワークを深めていました。

プールのロッカールームで、文頭の写真のステージ後ろの幕を縫っているところ(第14回)
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●雑居名物!B
「クリーン係」 年々参加団体が増えてきた雑居まつりでは、毎年増えるごみをいかに減らすかという闘いでもありました。各広場からクリーン係を選出し、参加団体への周知・徹底した分別・使い捨ての排除・店頭回収・食器を持参した方へのサービスなど、毎年工夫を重ねてきています。

クリーンパンフレットを作成して、参加団体に協力を呼びかけている
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◆雑居まつり40周年に向けて 雑居まつりには、これまでに多くの人たちが関わってきました。今も関わり続けている人もいれば、ほんの少しだけ関わった人もいます。関わった期間が短くても、それもまたまつりを支えてきた歴史の一部であり、長く関わってきた人も知らない隠れたエピソードがあるかもしれません。
そこで、40回目を迎える雑居まつりの記念事業として、雑居まつりの記録をまとめる「年表づくり」と「映像づくり」、2つの企画が進行中です。まつり当日、大きな白紙の年表を用意し、まつりに関わってきた人はこれまでの思い出やエピソードを、来場者は参加した感想や今後期待することなど、自由に書き込めるようにする予定です。また、ビデオカメラを持ったスタッフが会場を回りますので、みなさんからのビデオメッセージも集めます。これらの記録は後日整理して、何かしらの形で公開することを考えています。
このような世田谷の市民活動の歴史を垣間見られる「雑居まつり」、その躍動感をぜひみなさんも感じてみませんか。これまでに関わってきた方も、もちろん初めての方も、当日会場にてみなさまのお越しをお待ちしています!
(雑居まつり実行委員・セボネ編集委員 市川 徹)
●第40回雑居まつり
10月11日(日)10時〜16時(小雨決行、荒天時は12日に延期)
場所:羽根木公園
「食器を持ってご来場ください」「ゴミを減らすためにご協力ください」「手話通訳がつきます」