キラリ世田谷人は、世田谷を中心に活躍するキラリと光る素敵な方がたをご紹介します。
ファッションで元気に!
栗野 宏文さん

ファッションが大好きで、通算40年間この道一筋の栗野さん。1989年に日本の代表的なファッション企業である「ユナイテッド・アローズ」の創業に携わり、現在は同社のクリエイティブディレクション担当上級顧問として、ファッションを軸に社会、文化とさまざまな分野で発信し続けています。
栗野さんの「おしゃれ道」は「自己発見の手段の道」。着る服によって「自分がよくわかる、自分が元気になる、コミュニケーションが生まれる」というものです。ならば、寝たきりの人が気分が明るくなるような服、かわいいよだれかけ、床ずれしないような服ができないだろうか。「介護に役立つ服」ではなくて、「明るく元気になれるおしゃれな服」をつくろう、と2年かけて社内で実験をし、サンプルもできました。「健常者も着られる服を」がコンセプト。
「世の中から見てファッションにはいろいろなちからがあります。売れるものをつくるだけでなく、発想を転換したい。寝たままで着替えられる服、というように」
このプロジェクトには障がいのある人、その家族といった当事者が加わり「両者の創造性を連帯し、新しい価値をつくる」ことを目指します。「チャリティではなく、いろいろな専門家が手を上げ、知恵と予算もかけ、会社の勤務時間もあてて、ビジネスとしてやります」この考え方は、ユナイテッドアローズと国連がパートナーとなっているEFI(エシカル・ファッション・イニシアティブ)、すなわちアフリカなどの開発途上国でものづくりを通して持続可能な発展を支援するプロジェクトが提唱する「Not Charity, Just work」というスローガンに通じます。一方だけでなく、生産者、売り手、買い手の三方がハッピーになる、というのがこれからの時代の価値観。
「われわれだっていつ車椅子生活になるかわかりません。障がいは他人事ではないですよね。利潤追求だけでは関わる人間が幸せにはなりません。社会全体が元気にならなくては」とファッションの大きな可能性を栗野さんは語ります。これまでファッションの対象にはなりにくかった障がいや病気をもった方々が「元気になる服」、今年の秋に予定される発売が楽しみですね。
(取材/編集委員 星野弥生)