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セボネ10月号特集「いつかくる、その時のために 〜「災害ボランティア」をつなぐしくみ〜」 [2017年10月10日(Tue)]

いつかくる、その時のために 
〜「災害ボランティア」をつなぐしくみ〜


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 せたがや災害ボランティアセンターでは、災害ボランティアの「マッチングコーディネーター養成講座」を開催し、円滑に支援活動が行われるようにするための「調整役」を育成しています。現在の活動状況を特集しました。


◆支援をつなぐ「調整役」
 
 近年、たびたび大きな災害が発生し、各地で「災害ボランティアセンター」が開設される機会が増えています。被災地では1日1,000人を超えるボランティアが駆け付けることもありましたが、集まった人たちに具体的な指示を出す「調整役」がおらず、支援が十分に行き渡らないことがありました。支援を必要とする人のもとへ、スムーズにボランティアを調整することが課題となっており、世田谷では、以下のようなしくみを考えています。


◆地域の拠点「サテライト」

 災害発生時、せたがや災害ボランティアセンターでは、「支援を必要とする人」と「災害ボランティア」をつなぐ活動の拠点として、区内の5ヵ所の大学に「マッチングセンター」を開設します。さらに避難所となる91か所の小中学校などに、避難所とは別に、「サテライト」と呼ぶ地域の拠点を設置します。

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 「サテライト」は避難所や地区を支援するためのボランティアの活動拠点となり、支援の要望(ニード)を集め、その要望に応じて一般ボランティアを派遣します。避難所や在宅避難者は、ボランティアによる支援を「サテライト」に依頼することができます。
 全国から集まるボランティアは、まず「マッチングセンター」で登録を済ませます。その後、各「サテライト」へ派遣され、支援を必要とする避難所や被災者宅で活動します。

◆支援を求めたい場合…
 関係機関と連携し、「サテライト」で、避難所や在宅避難者の支援の要望(ボランティアニーズ)を収集します。例「避難所の物資の仕分けの人手がほしい」「自宅の片づけを手伝ってほしい」など。

◆「マッチングセンター」の役割
 各地から駆け付ける災害ボランティアを受け付けて、各「サテライト」からの要請に基づき、必要な人数を振り分け、送り出します。

◆「サテライト」の役割
@避難所・地区内での支援活動の要望を集め、ボランティアの必要人数を「マッチングセンター」に連絡します。
A「マッチングセンター」から送り出されたボランティアを、避難所支援や被災者宅の支援活動につなぎます。
 
◆ボランティアの動き
@「マッチングセンター」で登録をし、派遣先の「サテライト」へ振りわけられ、移動します。
A派遣先の「サテライト」で、具体的な支援活動が決まります。
B避難所や被災者宅にて支援活動を行います。



◆災害時のボランティア受け入れ

 2017年2月に改定された『世田谷区地域防災計画』には、「災害時ボランティア受け入れ整備事業」の取り組みが記載されました。実施内容としては、全国から駆けつけるボランティアと避難所や被災者からの要望(ニード)をマッチングする「コーディネーター(調整役)」の養成と、区民や避難所の運営組織等に対する理解促進の2つがあります。今年4月より世田谷ボランティア協会が受託し、実施することとなりました。


◆「調整役」を育成する


 6月10日、昭和女子大学にて「災害ボランティアマッチングコーディネーター養成講座(基礎編)」を開催しました。昭和女子大学コミュニティサービスラーニングセンターの協力を得て、60名の学生が参加しました。また、ホームページや地域の掲示板、町会・自治会の回覧板などで広報し、たくさんの地元の方が参加し、関係機関の方々の見学、裏方ボランティアも含め、総勢150名と、大盛況でした。

 講座では世田谷区の災害対策やマッチングシステムについての講話、そしてコーディネーター役と災害ボランティア役に分かれての模擬訓練を行います。この模擬訓練では災害ボランティアをどのように受け入れるのか、受付や誘導、注意事項の説明(オリエンテーション)など、コーディネーター(調整役)が行う業務を知ってもらうための訓練になります。

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コーディネーター養成講座での模擬訓練。過去の修了生が訓練をサポートする。

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コーディネーター役がボランティアの受付を体験する。


◆受講者の声

*災害ボランティアなどの経験は全くありませんが、この講習を受けて災害に対する意識が大きく変わりました。(40代)

*最初は何も分からなかったけれど、説明や段階を踏むにつれて少しずつ分かるようになった。災害が起こる前に養成講座に参加できて良かったです。(大学生)

*昨年も参加し、2回目となると理解の深まりも早いなと感じました。本当に災害が起きた時にコーディネーターの存在は大きいと思いました。(大学生)

*ボランティアを受け入れる体制がしっかりできていないといけないと思った。実際にコーディネーター役をやってみて、コーディネーターがしっかりしていないとボランティアもあたふたしてしまうだろうと思った。(大学生)

*避難所運営本部に関わっているので、ボランティアとの連携が気になっていました。今後も研修に参加して、町会役員などに周知したいと思います。(60代)

*災害時に被災者とボランティアを結ぶ役割の重要性をよく理解できた。必要な人に必要な支援を届けることが重要だと思っていたが、仕組みがしっかり確立されていて少し安心した。(50代)


 2015年からこれまで5回、基礎講座を実施しています。9月16日に実施した国士舘大学では、当初の定員を上回る120名の参加がありました。大学のほか、地域ごとの小規模な講座も予定しています。また、今後は「スキルアップ講座」「専修講座」と段階的に開催する予定です。
 5ヵ所の「マッチングセンター」と91か所の「サテライト」を運営するために、あわせて 約1,500名のコーディネーターの育成を目標としています。基礎講座はどなたでも参加できますので、お気軽にお申し込み下さい。

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◆全国とのつながり

 せたがや災害ボランティアセンターでは、これまで中越地震や東日本大震災などでも被災地支援活動、街頭募金活動、寄付金集め、専門ボランティアの募集・登録、専門ボランティアの派遣、ボランティアバスの運行などの活動を行いました。

 大規模災害が各地で起きている昨今、全国で防災・減災に関する取り組みや訓練が盛んになっています。静岡県ボランティア協会では、県内外の関係機関・ボランティアの参加のもとに、静岡県の図上訓練を行っています。東京都災害ボランティアセンターでは、首都直下地震の発災を想定し、被災地外から自治体職員の派遣や災害ボランティアによる支援なども考慮した訓練も行われています。発災時、自治体の枠を超えての支援は不可欠で、こうした訓練に、せたがや災害ボランティアセンターも積極的に参加し、全国の支援機関と交流しています。

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豪雨による被害のあった栃木県へボランティアの派遣(2015年)


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『活動の手引き』(2016年作成)


◆いつかくる、その時のために
 
 4月以降、広く区民や避難所運営を担う住民組織のみなさんに、災害時のボランティア受け入れ事業について理解していただくために、区内27か所のまちづくりセンターや、197か所の町会・自治会、91か所の小・中学校へ出向いて、説明する機会を得ることができました。「自助と共助と援助」についての講話や、災害ボランティアセンターの紹介とマッチングシステムのPRを行ってきました。地域に出かけていく中で、少しずつ理解が広まり、様々な出会いが生まれてきています。これからは各避難所運営訓練とタイアップしてのプログラム展開が求められているところです。

 「せたがや災害ボランティアセンター」では、「いつかくる、そのときのために」を合言葉に、市民の力を結集して、いざと言う時に、いち早く復興の扉を開けられるように準備しています。

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マッチングコーディネーター養成講座(2015年〜2017年)

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世田谷区合同訓練でマッチングセンターの模擬訓練を実施(2016年)

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「下馬防災塾」で地域の方たちとまちの課題を整理(2016年)

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都立高校の授業でプログラム提供。マンホールトイレの設置を訓練。(2012年〜2017年)


せたがや災害ボランティアセンター
電話1(プッシュホン)5712-5101
http://www.saigai.otagaisama.or.jp/
Posted by setabora at 12:53
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https://blog.canpan.info/setabora-vc/archive/261