中国における中小型船舶製造業の現状と市場動向に関する調査 [2011年08月17日(Wed)]
中国における中小型船舶製造業の現状と市場動向に関する調査 が公開されました。
【はじめに】 世界造船需要の一時的拡大や中国政府の産業振興政策などを背景に急激な発展成長を遂げている中国造船業は、中国における舶用品製造業や中小型船舶製造業の拡大にも大きく影響している。 中国の中小型船舶製造は、用途別には内航船、作業船、漁船、プレジャーボートに大別される。これらの製造需要をみると、いずれの船型も、中国国内景気からの影響が大きく、近年では中国人富裕者層が急拡大していることなどが主として影響してきた。このため、米国サブプライム・ローン問題に起因する世界的金融不況の影響は、外航大型船舶製造とは異なり、中小型船舶製造に対しては比較的小さく留まった。しかしながら、内航船等についても、今後は中国からの輸出拡大が見込まれるので、国際的な経済要因からの中小型船舶製造需要への影響は、徐々に強まるものと考えられる。また、その他、中国における中小型船舶製造需要に影響する要因として、環境規制、漁業規制等の動向などを今後注視する必要がある。 中国の中小型船舶製造業の拠点としては、中国南部(華南)では珠海など、中部(華中)では上海など、北部(華北)では渤海沿岸の青島、天津、煙台などに散在しているが、事業者数の増加傾向は続いており、製造拠点における様々な実態も年々変化していると言われている。 このように、中国の中小型船舶製造産業を取り巻く市場環境は、需要は増加基調ではあるものの、変動要因が多様化するなど大きな変化の兆候を示しており、新たな要因によって需要が激変することも想定される。我が国の舶用品産業などの船舶関連事業者が今後の事業展開を考慮する際にも、中国の中小型船舶製造業に関する動向は大きな判断要素となっている。このため、次のとおり、本調査事業を喫緊な課題として実施することとした。 本調査では、中小型船舶の製造(主として鋼製の内航船、作業船、漁船。プレジャーボートを除く。)を営む中国事業者を対象に、これら製造事業所について、事業所数、事業規模、製造能力等にかかる実態調査を行うとともに、当該事業にかかる需要動向、市場動向、将来展望等について取りまとめを図り、我が国船舶産業関係者による中小型船舶製造にかかる海外投資又は海外取引等を検討する際の参考に資することとしたい。 ジェトロ・大連事務所船舶部 (社団法人日本中小型造船工業会共同事務所) ディレクター 織田 陽一 【目次】 1. 概論 2. 鋼製内航船の発展をとりまく環境分析 3. 鋼製内航船技術発展についての分析 4. 中国内航船市場の需要と供給についての分析 5. 内航船産業の発展について 6. 内航船産業に対する投資についての現状分析 7. 重点船主についての分析 8. 内航船産業の企業間競争 9. 重点企業に関する分析 10. 鋼製内航船産業の配置現状と影響要因 11. 内航船の将来性についての展望 あとがき 成果物詳細ページへ(ファイルダウンロード) |