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企業と生物の多様性 No.112[2016年04月03日(Sun)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.112
−注目か退却か ためされる企業意識−
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  • 企業の存亡を左右する生物の多様性

  • 企業の評判に直結する社員の行動

  • 必要なこと…それは成果の「見える化」

  • 生物の多様性の定量評価ツール「JHEP」を用いた評価事例

  • 定量評価で見えてくる、私たちの暮らし

  • これからの企業に求められる生物の多様性の取り組み




企業の評判に直結する社員の行動

社員は、日々の仕事を通じて生物の多様性との関わりをもっています。
しかし、これまでは、残念ながらマイナスの影響という形での関わりが多かったかもしれません。
これからの企業では、どのような部署に配属されても、生物の多様性とのつながりを意識して行動できる人材が求められます。
特に企業の規模が大きくなるほど、一担当者であっても、その判断が生物の多様性に取り返しのつかない悪影響を与えてしまう可能性が高くなります。
ここでは、特に企業の評判に傷が付く危険性について、例を挙げて説明します。

原料の調達先を考える社員

鉱物、木材、水…ものづくりに欠かせない各種の原材料。
単に安いからという理由だけで選んだその原料は、生物の多様性に大きな影響を与え、無計画に採取されたものかもしれません。
調達の担当者は、その原材料がどのように生産されものか、これまで以上に目を光らせる必要があります。

事業所の候補地を探す担当者

工場やオフィスビルをどこに建設するか、立地選択は重要です。
利便性や地価という基準だけで選んだ候補地は、地域に愛されている雑木林や希少な動植物のすみかかもしれません。
用地選びを担当する社員の生物の多様性の視点を欠いた不注意な立地選択は、自然を保護する問題にぶつかり、企業のイメージをひどく傷つけてしまう危険性があります。

建設現場での責任者

建物や道路などの建設工事に取りかかる際には、生物の多様性を保全するうえで注意すべきことはいろいろあります。
例えば、地域の生態系に悪影響を与える外来種で法面を緑化してしまったり、汚水を処理する時の不手際で、沢でくらす生きものを死滅させてしまったりすることなどが考えられます。
現場での責任者は、人間に対する安全対策と同様に、生物の多様性への目配りが欠かせません。

市民一人ひとりにある責任

社員は仕事が終われば「市民」となって生活を営みます。
私たちは生活するうえで、生物の多様性から多くの恵みを受けると同時に、思わぬところで、やはり少なからず悪影響も与えています。
つまり、企業だけではなく、市民一人ひとりにも責任があると言えます。

  • 私たち市民は、消費者という立場です。
    生物の多様性のことを考えずにつくられた製品を買うということは、その行為に部分的に荷担していることになりかねません。
    その企業の活動をチェックし、商品を買うか否かの判断材料とすることで、企業の姿勢を変えることができます。

  • 預金先の銀行は、そのお金をどのように使っているのでしょうか。
    利子の高さに目を奪われがちですが、最近では生物の多様性に貢献する金融商品などが発売されています。
    金融機関の選び方一つで、未来の地球の姿は大きく変わってしまいます。

  • どこに住むか、という判断は、実は生物の多様性と深い関係があります。
    自然が豊かな所を壊して家を建てれば、もちろん生物の多様性を損ないます。
    また、災害危険地帯に家を建てれば、その家を守るためにつくられる砂防ダムや堤防の拡幅によって、周辺の自然がつぶされてしまうことがあります。


評判が傷つく危険性が懸念される場面は、裏を返せば、企業の評判を高めるチャンスであるとも言えます。例えば、新しいビルを建てる際に、工事前の樹林を保存しつつ、敷地内に地域本来の植物を植えるといった取り組みは、成果を的確にアピールできれば、企業のイメージを向上させる材料となります。
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