大切な日本の海を守るために No.122[2016年04月13日(Wed)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.122
−ノーテイクの海洋保護区をつくる−
悪化する海の生態系
地球を支える海は…
海は地球の全表面の4分の3を占め、海水は地球上の水の97.5%にもなります。
また、地球を安定した気候に調整したり、生きものにすみかを提供したりと、地球上の生命を維持するうえでなくてはならない存在です。そして人間もまた、海から魚介類などの食料を得るとともに、水質浄化やレクレーションといったさまざまな恩恵である生態系サービスを受けながら生活しています。
しかし世界の海では、人間活動の影響でサンゴ礁の約20%、マングローブ林については約35%が破壊されるなど。海の生態系は悪化しています。
日本の海のついても、高度経済成長期に行われた埋立や護岸などの開発により、産卵場や稚魚などの成育場となる干潟や藻場、自然海岸などの貴重な環境を多く失いました。特に、埋め立てなどが盛んに行われた東京湾では、明治維新以降に干潟の95%が失われています。
人間活動の影響を受けやすい内湾などの閉鎖性の水域では、工業・農業などの産業排水、家庭から出る生活排水などによる水質汚濁で赤潮や青潮が頻繁に発生するようになりました。また、海水中の酸素濃度が低下する貧酸素水塊が大規模に起こり、魚や貝などの生きものがすみにくい状態になっています。
このほか、温暖化により海流の変化や海水温の上昇などで、海藻が密生する海中林が大規模に消失する磯焼けやサンゴが死滅する白化現象などが各地で起きて問題となっています。
枯渇する水産資源
世界人口の増加や中国の経済発展などにより、世界の一人あたりの水産物の消費量は過去約50年間で2倍に増えました。また、今後も世界人口のさらなる増加や新興国の発展などにより、水産物の需要が増えると見込まれています。
しかしながら、世界の海の漁業生産量はすでに頭打ちとなっています。国連食糧農業機関(FAO)の調査によれば、世界の水産資源となる魚介類の19%が過剰に獲られ、8%が枯渇の状態にあります。
日本の水産物については、イワシやサバなど主要な魚種のうちの約40%は過剰に獲られた状態となっています※。この原因は、沿岸域の開発などによって産卵・生育の場となる藻場や干潟の減少、一部の水産資源については回復力を上回る漁獲などの影響によるものと指摘されています。
※平成23年度我が国周辺水域の資源評価(水産庁)
−ノーテイクの海洋保護区をつくる−
- 多様な生き物を育む日本の海
- 悪化する海の生態系
- 大切な海を守れない日本
- あるべき海洋保護区
- 海域の30%を海洋保護区に、10%をノーテイク・ゾーンに
悪化する海の生態系
地球を支える海は…
海は地球の全表面の4分の3を占め、海水は地球上の水の97.5%にもなります。
また、地球を安定した気候に調整したり、生きものにすみかを提供したりと、地球上の生命を維持するうえでなくてはならない存在です。そして人間もまた、海から魚介類などの食料を得るとともに、水質浄化やレクレーションといったさまざまな恩恵である生態系サービスを受けながら生活しています。
しかし世界の海では、人間活動の影響でサンゴ礁の約20%、マングローブ林については約35%が破壊されるなど。海の生態系は悪化しています。
日本の海のついても、高度経済成長期に行われた埋立や護岸などの開発により、産卵場や稚魚などの成育場となる干潟や藻場、自然海岸などの貴重な環境を多く失いました。特に、埋め立てなどが盛んに行われた東京湾では、明治維新以降に干潟の95%が失われています。
人間活動の影響を受けやすい内湾などの閉鎖性の水域では、工業・農業などの産業排水、家庭から出る生活排水などによる水質汚濁で赤潮や青潮が頻繁に発生するようになりました。また、海水中の酸素濃度が低下する貧酸素水塊が大規模に起こり、魚や貝などの生きものがすみにくい状態になっています。
このほか、温暖化により海流の変化や海水温の上昇などで、海藻が密生する海中林が大規模に消失する磯焼けやサンゴが死滅する白化現象などが各地で起きて問題となっています。
枯渇する水産資源
世界人口の増加や中国の経済発展などにより、世界の一人あたりの水産物の消費量は過去約50年間で2倍に増えました。また、今後も世界人口のさらなる増加や新興国の発展などにより、水産物の需要が増えると見込まれています。
しかしながら、世界の海の漁業生産量はすでに頭打ちとなっています。国連食糧農業機関(FAO)の調査によれば、世界の水産資源となる魚介類の19%が過剰に獲られ、8%が枯渇の状態にあります。
日本の水産物については、イワシやサバなど主要な魚種のうちの約40%は過剰に獲られた状態となっています※。この原因は、沿岸域の開発などによって産卵・生育の場となる藻場や干潟の減少、一部の水産資源については回復力を上回る漁獲などの影響によるものと指摘されています。
※平成23年度我が国周辺水域の資源評価(水産庁)