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豊葦原の国 日本のつとめ No.120[2016年04月11日(Mon)]
日本生態系協会 会報「エコシステム」No.120
−世界が求める湿地の再生−
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  • 自然は警告する!

  • 湿地を守る国際条約「ラムサール条約」

  • 国を超えた自然のネットワーク

  • 湿地は増やせる

  • 湿地再生からうまれる ”豊葦原の瑞穂国” 日本




湿地は増やせる

湿地は、一度失われたら最後というわけではありません。
無理なく湿地に戻せる場所は日本中にあります。

少なすぎる湿地

日本では、この40年間で陸地の面積が500Ku以上も増えています。
この面積は東京都の面積の約4分の1の広さです。
面積が増えた理由は、干拓や埋め立てが行われたためで、別の言い方をすれば、500Ku以上の湿地がわずか40年の間に失われてきたということです。
100年前は、全国で2,111Kuの湿地が存在しましたが、現在、日本に残されている湿地は821Kuです。
その86%は北海道にあり、本州や九州、四国には、湿地はほとんど残っていません。
そのため、現在あり湿地をすべて守ったとしても、野生生物の減少をとめることは難しく、また気候の調節機能などの生態系サービスの提供にも十分ではありません。
これからは現在の湿地を残しながら、埋め立てた場所を元の湿地に戻していく必要があります。

湿地に戻した方がよい場所はどこか

■液状化が起きやすい場所

2011年3月の東日本大震災では関東地方の広い範囲で液状化が起こりました。とくに、東京湾岸部や利根川下流域などの埋め立て地、旧河道、旧池沼などに集中して液状化現象が発生したことが判明しています。
国土交通省が調査した結果によれば、東京湾岸や利根川下流域において液状化が発生したのは、戦後に埋め立てた場所がほとんどであり、同じ埋立地でも江戸時代や明治時代に埋め立てた場所や周辺の自然地では、液状化はほとんど起きていないことが明からになりました。
液状化対策を行うことは可能ですが、費用が高額になるうえ、対策を行っても液状化する可能性は残されています。

■採算の取れない農地や使われていない干拓地

1960年代以降、農地を増やすため、国の事業として積極的に干拓が行われました。
しかし1970年代に入ると米が余るようになり、転作や減反が進められました。
そのため、農地として干拓されてたにも関わらず、整備後に利用されていない土地が残されています。
例えば、愛知県県と三重県にまたがる木曽岬干拓地では、総面積443haの多くが今も未利用地となっています。

また、農地として利用されてきた干拓地にも問題が起きています。
干拓から40年以上が経過し、干拓地の水を排水するための施設や海水の流入を防ぐための水門や堤防が老朽化しているのです。
排水施設の補修には数億円、改築には数十億円が必要となります。
修繕や維持・管理費が、農作物から得られる収入を超えてしまう土地は農地に適していません。

■塩田の跡地

海水を蒸発させて塩をつくる場所は塩田と呼ばれ、海岸沿いにつくられていました。
しかし、1970年代にイオン交換膜を使って塩をつくる技術が確立すると、労力がかかる塩田は次々と廃止され、産廃処分場や、工場、宅地などに転用されてきました。
そのような中、長年放置されてきた塩田跡地は塩性の湿地として、希少な動植物の生息・生育地としての役割を果たしています。

しかし、近年はその一部に自然再生エネルギーの推進を目的としてメガソーラーの建設計画が立てられています。
本当に環境対策を考えるならば、塩田跡地は野生生物に利用されている希少な自然地として残していくべきです。

■機能が低下したダムや堰堤の周辺

(財)日本ダム協会のデータによると、全国にダムは約3,000基あり、建設から50年以上たったダムが1,200基以上、100年以上が400基以上あります。
ダムの寿命についてはさまざまな考え方がありますが、周辺から流入する土砂で貯水池が埋まる時期が想定より早く、機能が低下しているものは寿命が近づいていると言えるでしょう。

ダムや堰堤は生物の移動や、土砂の流下を妨げます。
また、下流域では砂れきや栄養塩の不足などを招いています。
電力や水の需要、防災対策の変化によって必要性が失われたダムや堰堤は撤去すべき時代がきています。

熊本県の球麿川に発電用として1955年に建設された荒瀬ダムの撤去が2012年春から始まります。
ダムの建設後、地元の水害被害の増大や放水による振動被害、悪臭や赤潮、アユの遡上の阻害などの悪影響が目立つようになり、地元住民からダムの撤去の要望が高まっていました。
建設から50年後の水利権の更新が行われなかったことや発電方式の多様化で、ダム撤去の方針が決まりました。

タグ:湿地
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