障害者差別解消法施行、どう対応 福井大で支援考えるシンポジウム(福井新聞より)[2015年06月30日(Tue)]
障害者に対する差別的取り扱いを禁止し、国や自治体などの公的機関には障害者に必要な配慮を法的に義務付ける障害者差別解消法が2016年4月施行される。施行を前に福井大はこのほど、障害がある学生に対する支援の在り方を考えるシンポジウムを同大文京キャンパスで開いた。近年、増加傾向にある発達障害を主なテーマに議論。学生一人一人に向き合った、きめ細かい対応の必要性を確認した。
■セカンドチャンス
発達障害が疑われるAさんは、同大入学時に所属したコースが10人程度の少人数だったため、濃密な人間関係の中で、もがき苦しんだ。「友達ができない」「話し合いの中で自分の意見が採用されない」。周りとの溝は深まるばかり―。講演した同大教育地域科学部の石井バークマン麻子教授は、自身が関わった男子学生Aさんのケースを紹介した。
学生から相談を受けた石井教授は、学内の保健管理センターの臨床心理士や、学生が受講している科目の担当教官と連携。面談を重ねる中で「コースを移籍したい」という学生の思いを尊重し「セカンドチャンスを与えたい」とバックアップした。2年生から転コースした学生は今、生き生きと学業に励んでいる。
石井教授によると、13年度、保健管理センターと学生総合相談室で受け付けた学生相談のうち、発達障害に関するものは全体の35・4%を占め、「学業・休退学」(22・3%)、「健康」(17・5%)などを上回り最多。同大で支援した発達障害の学生は12年度63人、13年度74人、14年度84人と増加している。
石井教授は、障害学生への支援内容は大学側が頭ごなしに決めるのでなく、学生のニーズや障害の状態に応じるべきだと強調。その上で「教務課や学生相談室、就職支援室といった事務方と(学生生活をサポートする)助言教員が一層連携を深めていかなければならない」と訴えた。
■合理的配慮
日本学生支援機構が全国の国公私立の全1185校に実施した調査によると、14年5月時点で大学や短大に在籍する障害のある学生は1万4127人で、05年の調査開始以来、過去最多となった。来春施行される障害者差別解消法では、大学に「合理的配慮」が義務付けられ、国立大は支援メニューを示した「対応要領」を策定し、公表しなければならない。
障害学生の支援に詳しい徳島文理大総合政策学部の青野透教授はシンポジウムの講演で、多様な考えを持った学生同士が協働する学び「アクティブ・ラーニング」が重視されている流れを踏まえ「障害の有無を含め、多様な学生が集っていることを前提にした教育カリキュラムの提供が不可欠」と訴えた。
「教室の中でたった一人かもしれない障害者に届くよう授業を工夫する。それは全ての学生にとって分かりやすい授業につながる」と指摘。差別解消法の施行は、授業内容がどんなに良くても、伝わらなければ意味がないという教育の基本理念を改めて見つめるチャンスだと強調した。
この後、県発達障害児者支援センターの福田晋介センター長らが障害学生の就労支援などをテーマに話し合った。



