酵母や乳酸菌培養液を作って、鶏糞や米糠に混ぜて積んでいます。
この堆肥づくりに欠かせないのが、切り返しと言われる作業です。
時々、酸素を入れるためにスコップで攪拌して堆肥の山を積みなおします。
初期の有機物を分解してくれるバチルス菌が酸素好きな菌なのです。
ところがバチルス菌が活躍しすぎると発酵温度が高くなりすぎて、
せっかく培養した酵母や乳酸菌が死滅、減少してしまいます。
そこで、温度が六〇度近くになる時は、
この堆肥の山を低くして広げて、表面積を増やして温度を下げます。
逆に、温度が低い時には堆肥の山を高くして表面積を小さくして、
温度上昇(発酵促進)に努めます。
こうして堆肥の温度の調整ができることが農家としての技量です。
さて、話はちょっとそれますが・・・
堆肥の「発酵調整」ができる事が農家の技量なら、
世の中のおカネの量の「発行調整」ができることが各国政府の技量です。
すなわち、おカネの量が多過ぎる高インフレ時には、
増税とか公務員削減とか公共事業削減とか、通貨発行量を減らす政策が基本であり、
おカネの量が少ないデフレ(又は今のようなスタグフレ)の際には、
国債から始まる通貨発行量を増やして、減税をして、
公務員や公共事業を増やす政策が基本です。
と、いうことは、日本政府は約三十年近くもの間、
デフレだというのになんとまったく真逆の
高インフレ防止対策をとり続けてしまっているのです。
(経済が分かっている人にとっては失笑ものですね。)
これは堆肥づくりに例えるなら、温度が不足しているにもかかわらず、
堆肥の山を極端に低くして広げてしまっているために、
バチルス菌が全然働かなくて有機物が一向に分解されていない状態です。
(堆肥づくりが分かっている農家にとってはやはり失笑ものですね。)
つまり本来とるべき真逆の作業なのです。
真逆というのは、放置よりもさらにずっと悪いことを意味します。
技量が低い農家に豊かな生産物は望めないように、
技量の低い政府を持つ国民に豊かな暮らしは望めない、
という悲しい現実・・・を変えるには選挙の投票しかないのでしょうか。
選挙を目前に堆肥の温度を測りながら、
ふと、こんなことを思ったのでありました。
by 里山おやじ
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