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「杉並 無効票が激増 選挙区、比例同時に用紙」(「東京新聞」2010年7月30日朝刊1面) [2010年07月31日(Sat)]
昨日の東京新聞の記事ですが、重要なので書いておきたいと思います。

先の参院選で、東京都杉並区が有権者に対し選挙区と比例代表の投票用紙を同時に渡していたため、比例代表の無効票が激増したという記事。比例代表の無効票率が東京都内は2.6%だったのに対し、杉並は7.5%(前回は1.9%)とのこと。票数で言うと2万票。明らかに異常な数値です。

今回、杉並区では、参院選、区長選、区議補選のトリプル選挙でした。本来であれば、これらを4回(参院選は比例と選挙区)に分けて投票させるべきところ、参院選で二枚、区長選・区議補選で二枚同時に渡していたため、多くの有権者が混乱したわけです。

記事には、「杉並区選管の話」として、以下のようにあります。

「今回、参院選の選挙区と比例代表、区長、区議の四回の投票機会があった。すべて別々に投票すると、投票所のスペースも記載台も足りず、混雑も生じる。ベストとはいえないが投票箱の色を工夫するなど必要な対応はした。」

とのこと。しかし、これは違うと思います。現在私は杉並区に住んでいて、実際に投票に行ってきました。少なくとも私が行った「荻窪体育館」では、十分なスペースがありました。少なくとも参院比例と選挙区だけでも記載台の数をうまく振り分ければこのようなことは回避できたはずです。

しかも、投票用紙を渡す際も、
「比例代表です。」「選挙区です。」といわれるだけで、それ以上の説明は全くありませんでし
た。これでどうして「必要な対応はした」などと言えるのでしょうか。

なお、同じくトリプル選だった大津市はしっかりと対応し、4回に分けた結果、無効票率は他の自治体と変わらないかったそうです。

投票所の実務は民主主義の根幹にかかわる話です。二度とこのようなことのないようにしていただきたいと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 17:32 | 政治 | この記事のURL
「一律1割減 閣議決定 概算要求基準 1兆円超の特別枠」(「読売新聞」2010年7月28日朝刊1面) [2010年07月28日(Wed)]
政府は昨日の閣議で来年度予算の概算要求基準を閣議決定したとのこと。社会保障費の自然増などを除いて、各省庁の要求額を10年度当初予算より1割削減するよう求めています。また、別枠で「元気な日本復活特別枠」を新設し、1兆円を相当程度超える規模とし、特別枠の配分先は公開で行う「政策コンテスト」などを経て最終的に首相が決定するそうです。

ひとまず「政策コンテスト」について一言書いておきたいと思います。

まず、役所サイドの発想を考えてみると、「一割削られる予算をいかに特別枠で復活させるか」というのが基本になると思います。そして、既存予算の中からITがらみや環境がらみなど、「新しそうに見える」「メディア受けしそう」なものをピックアップし、名前をつけ直して復活を目指す、ということでしょうか。そのような中、どれだけ既存の枠を破る新しい政策が出てくるのか極めて不透明で、今後の見極めが大切です。

次に、政治主導の観点から考えてみると、政治サイドの自殺に近いと思います。民主党は結党以来10年以上経つと思います。その間多くの方が「政権を取ったらあれをやろう、これをやりたい」というものを貯めておいたはずですし、特に総理を目指す人間はそうでなければいけないはずです。にもかかわらず、財政難の中、貴重な1兆円超の枠をコンテストで決めるとはどういうことなのでしょうか。それだけの枠があれば、かなりのことができます。政治主導で思いっきり実行すれば良いだけだと思うのですが、敢えて「コンテスト」をやる理由が全く分かりません。

おそらくこれから、「これまで何も考えていなかったのではないか」「やりたいことが特にないのではないか」「パフォーマンスをすることで支持率を回復させたいだけではないか」といった批判が噴出することと思います。今後どうこれらの疑問に答えていくか、ウォッチしていきたいと思います。
「ねじれ」の季節4 [2010年07月22日(Thu)]
ねじれ国会を生み出すそもそもの原因である憲法の規定を変えないとすれば、主要政党間で国会運営ルールの自主的な合意を行わざるを得ません。「ねじれ」現象は結局は国会運営の問題なので、憲法に触れない範囲内で政党同士の合意によって新たな運営ルールをつくるしかないわけです。

今やどの政党も与党になりうるわけで、「ねじれ」の悪影響をモロにかぶる可能性はあります。その厳然たる事実を基礎にして、主要政党が話し合いのテーブルに付くことは可能なのではないでしょうか。ここでポイントは、あくまで運営ルールについての合意で、特定政策の実現云々を条件としないということです。

いろいろな方法があると思いますが、私が今時点で考えている解決の(主要政党合意の)方向性は以下の二つです。他にもあると思いますので、思いついた方は教えていただければ幸いです。

(解決案1)衆議院総選挙と参議院選挙を常にダブルでやることで、ねじれる確率を減らす

総理が参院選の際には常に同時に解散するというものです。3年に一度は総選挙があることになります。参議院は3年ごとに半分ずつの改選ですので、ねじれることもあると思いますが、その場合でも解消可能な「軽微なねじれ」である可能性が高いでしょう。また、衆議院議員の平均任期は2年半程度とも言われておりますので、3年ごとの総選挙でも問題にならないのではないでしょうか。むしろ、総理は最低3年は続けるという慣行が形成されることが期待されます。

(解決策2)衆議院と参議院で議論するテーマを分け、参議院のテーマは中長期的で超党派の合意がいる性質の政策論を戦わせる場に限定する。衆参両院は互いの結論を尊重する。

衆議院と参議院は別々なテーマで議論するというものです。特に参議院は年金制度を始めとした政権交代が起っても安易に変更すべきでない、長期的なテーマを議論する場にするというものです。年金制度について言えば、現在基礎年金の税方式などが提案されておりますが、一旦制度変更するとその影響は長期にわたり、容易に変更できません。制度の以降だけでも10年以上かかるでしょう。政権交代があるたびに大きな制度変更をしていたのでは、制度変更の意味自体がなくなってしまいます。

子ども手当てなども本来であれば与野党合意が必要な案件でした。「子ども手当という制度ができたからもう一人子どもをもうけよう」という方がどのくらいいるかが分かりませんが、一旦制度ができたらそれを前提に行動する人もたくさんいるはずです。

こういった長期的なテーマをじっくり議論するのは、任期6年、解散もない参議院が向いていると思います。衆参両院の役割分担論はいろいろありますが、「テーマの役割分担」が必要なのではないでしょうか。

以上、二つの案を提示しましたが、一見、難しいと思われるかもしれません。ねじれの問題は、潜在的には昔(現行憲法制定時)からあったのですが、政権交代がない、55年体制のような時代においてはそもそも生じませんでした。しかし、「政権交代時代」を迎えた日本が、現行憲法の制約の中、「政治のデッドロック」を回避するにはこのような知恵と合意が不可欠なのです。

「ねじれ」シリーズはいったんこれで終わりますが、今後もこの問題は考えていきたいと思います。

最後に、ねじれと参議院を考える際に参考になる文献を挙げておきます。

「参議院とは何か 1947〜2010」(中公叢書)竹中治堅

「今回のねじれ国会の経験が残した憲法上の課題」西垣淳子 財団法人世界平和研究所レポート
「主要政党の変遷と国会内勢力の推移」間柴泰治、柳瀬晶子 「レファレンス」2005.4
Posted by 佐藤孝弘 at 14:00 | 政治 | この記事のURL
「ねじれ」の季節3 [2010年07月16日(Fri)]
実は、「ねじれ」についての評価は大きく二つに割れています。

ひとつは、ポジティブにとらえる見方で、「ねじれ」という現象を、国会での議論と修正を通じて、より良い政策を導く政治への転換のチャンスとする見方。もうひとつは、現在の日本の政治システムが持つ欠陥ととらえる見方です。既に書いた通り、私は後者ですが、今回はその理由を書きたいと思います。

日本の政治システムは、議院内閣制で、外形的にはイギリスに近い運用がなされています。議会における多数派が内閣を組織し、政権運営を行います。基本的には議会における多数派を基盤とした政府が予算案や内閣提出法案(閣法)を出し、国会での審議を経て基本的には修正されないまま成立します。一方、ヨーロッパのイギリス以外の議院内閣制諸国では、内閣提出法案も比較的頻繁に修正するようです。

内閣提出法案の国会内修正は、一見、「多くの人の意見」が反映して良いようにも見えるのですが、私はそうは思いません。今、日本で求められる様々な制度改革は、「足して2で割る」べき性質のものではなく、ある価値観に基づいて大胆に進めるべきものが多いと考えるからです。日本の政治の中心課題は、増え続けるパイ(富)の分配から、優先順位をつけ切るべきところは切るということに移っていると思います。

また、仮に法案の国会における調整が頻繁におこるようなことが望ましい政治状況が日本にあったとしても、「ねじれ」という状況がそれに一致しているとは限りません。両者は制度的にリンクしていないのです。別な言い方をすれば、法案の国会における調整・修正が頻繁に行われることが望ましいのであれば、ねじれていようがいまいが、そうあるべきです。そういうことからすれば、「ねじれ」を、国会での議論と修正を通じてより良い政策を導く政治への転換するチャンスという見方は、後付けの理由に見えてしまうわけです。

問題は、ねじれかそうでないかという二つの状況が“選挙結果によって偶然にやってくる”という点にあります。

ある時はイギリス的なウェストミンスターモデル、またある時は欧州大陸的な議院内閣制モデル、と、ねじれがあるかないかで、うまく頭が切り替えられるはずがありません。また、国会運営のルールをその都度切り替えるわけにもいきません。また、最初にねじれがあったとしても、軽微なねじれでは数カ月で解消されることも多いでしょう。仮に国内外の政治課題によって、ねじれたほうが望ましい瞬間があったとしても、ねじれるかそうでないかは時々の選挙結果でランダムに決まるので、うまくはまってくれないのです。

ねじれは、基本的には参議院選挙後に起こります。現内閣の政権運営に対する国民の評価が非常に低い時、参院選で大敗することにより「本格的なねじれ」状況が生まれるわけです。となると、さらに参議院選挙とは何かということを考えていかなければなりません。

参議院選挙は近年特に、「時の内閣への評価」に使われる傾向が強いです。本来であれば参議院議員が6年間しっかり仕事してきたかどうか、あるいは新人候補に対しては、その候補が議員たる素質を持っているかどうかが問われる選挙のはずですが、そうは扱われません。メディアの報道の仕方も、有権者の投票行動も、もっぱら“現政権に対する評価”という判断基準で決めています。これは何を意味するかと言えば参議院議員選挙が、参議院議員の資質を問う選挙ではなくて「世論調査」になっているということです。

参議院議員選挙にかかる経費は、国の予算(総務省自治行政局管理課所管)から出ているのですが、平成22年度予算の概算要求における要求額は544億6400万円です。ずいぶんと高い世論調査の費用だと思いませんか?しかも、ねじれという、これも巨大なコストを生み出すわけです。こうした事態を引き起こす制度に合理性があるでしょうか?わたしはないと考えます。

ではどういった解決策があるのでしょうか。究極的には、たとえば現在3分の2の再議決がなければ法案を通せないところを、2分の1の再議決で済むようにする、すなわち、制度的にデッドロックが生じない仕組みに変えるべきだと思います。よりラディカルには一院制も検討できるでしょう。しかし、制度改正のためには憲法改正が必然的に必要となり、政治的ハードルが極限まで高くなります。では憲法を改正しない範囲でどうするか。次回以降のエントリーで考えていきたいと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 13:54 | 政治 | この記事のURL
東京財団フォーラム「マニフェスト再考 −国民の『問いかける力』こそが政策をつくる−」レポート掲載のお知らせ [2010年07月14日(Wed)]
お知らせが遅れましたが、6月22日に開かれた第33回東京財団フォーラム「マニフェスト再考 −国民の『問いかける力』こそが政策をつくる−」のレポート・動画が東京財団ホームページに載っております。私もパネリストとして参加しました。

フォーラムのレポート、動画はこちらをクリック

選挙結果を受けて、もう一度マニフェストと選挙期間中の議論をおさらいしても良いかもしれません。ぜひご覧いただければ幸いです。
「ねじれ」の季節2 [2010年07月13日(Tue)]
昨日のエントリーでは今回の参院選後、2007年のねじれに近い状況が生まれたと書きましたが、大きく異なる点があります。今回は、衆議院の議席が与党で3分の2以下です。したがって法律案を衆院の再議決で通すことができません。いわば、潜在的には法律が一本も通らない可能性があるということです。民主党サイドからすれば、ますます連立相手を探す必要性が高いということになります。

さて、先に私は“ねじれ状態”が政権与党をめざす野党に「内閣支持率を下げ、不支持率を上げること」という目的を達成するための「武器」を与えると述べました。具体的には以下のとおりです。

・法律案の議決
・予算の議決
・条約の議決
・総理大臣の指名の議決
・国会同意人事
・両院の承認が必要な案件
・参議院における首相問責決議案の可決
・参議院における国政調査権発動や証人喚問
・参議院における議員辞職勧告決議

たくさんありますね。これらの武器は実際にどのように機能したのでしょうか。今回は、2007年のねじれ状態における、テロ特措法を巡っての混乱を見てみましょう。

2007年9月26日に発足した福田内閣の最初の課題はテロ対策特別措置法の延長問題でした。日本の自衛隊は、2001年以降、「テロとの戦い」としてアフガニスタンに展開する米軍等の艦船への給油活動を行ってきました。もともと2年間の時限立法だったのですが、数度の延長を経て次の期限が11月1日という状況だったのです。

しかもこの案件は、同年7月の参院選に大敗した安倍総理が、9月9日オーストラリア・シドニーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席後の記者会見で、「職を賭して取り組んでいかないといけない」と発言し、わずか数日後に本当に辞意表明してしまった、といういわくつきでした。安倍総理は辞意表明の記者会見で次のように述べています。

「本日、小沢党首に党首会談を申し入れ、私の率直な思いを伝えようとしたが、残念ながら断られてしまいました。テロとの戦いを継続させるうえで、私はどうすべきか。むしろ、局面を転換しなければならない。新たな総理のもとでそれを目指していくべきではないだろうか。今の状況ではなかなか、国民の支持、信頼の上において政策を力強く進めていくことは困難な状況である。ここは自らがけじめをつけることによって局面を打開しなければならない。そう判断するに至ったわけでございます。」

実際の主な辞任理由は持病の悪化であることが程なく判明したわけですが、テロ特措法の処理について、福田総理が強く意識したことは間違いありません。安倍総理辞任後の総裁選を勝ち抜き、総理となった福田氏は、就任後の所信表明演説で、野党と重要な政策課題について誠意をもって話し合いながら国政を進めたいと述べ、低姿勢で臨みました。

当時の与党には、法律案の衆院3分の2再議決という手があるとはいえ、そうそう簡単には使えるわけではありません。なぜなら法律案の再議決には「60日ルール」というものがあります。日本国憲法54条4項には以下のような記述があります。

「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」

ということですので、再議決を行うには少なくとも60日は待たなければいけないわけです。必然的に通せる法案の数は限られてきます。

福田内閣のそうした方針に対し、民主党の小沢代表は、年金保険料流用禁止法案、被災者生活再建支援法改正案など、独自法案を次々と出していきました。政府の「話し合い」提案に安易に乗って、法案を成立させてしまうとすべて政府・与党の手柄になってしまうことを恐れてのことだったといわれています。福田総理は低姿勢をしばらく続けましたが、野党は一向に歩み寄っては来ません。

そうした中、テロ特措法の議論がはじまります。2007年10月9日から始まった衆院予算委員会にて、福田総理はこれまた低姿勢で野党の理解を求めました。しかし、民主党は海上自衛隊の給油がイラク戦争に従事したアメリカの空母に使われていたのではないかという疑惑を追及、テロ特措法の延長の見通しは立たなくなりました。

結局、政府はテロ特措法の延長はあきらめ、10月17日に新法である新テロ対策特別措置法案を閣議決定しました。これにより11月1日のテロ特措法の期限切れによる自衛隊艦船の一時撤収が確実になったわけです。結局新テロ対策特別措置法案は年明け、57年ぶりの衆院再議決による法案の成立という事態となりました。

窮地に陥った福田総理は2007年11月、野党第一党である、民主党と連立(いわゆる「大連立」)を模索することとなりました。福田総理と小沢代表のトップ同士の話し合いのレベルでは合意しかけたものの、民主党内の強い反発によって小沢代表はこの話を断念せざるを得ませんでした。その直後小沢代表は「政治的混乱のけじめをつける」とし、辞意表明するという事態にまで騒動が発展しました。結局、党執行部の慰留により、辞意は撤回することとなりました。

このことは、「本格的なねじれ状況が起こったとき、ねじれを解消したい与党は最終的には大連立を画策する」ということを示唆します。3分の2再議決すら使えないデッドロック状態の菅政権。同じ道をたどるのでしょうか。
Posted by 佐藤孝弘 at 14:44 | 政治 | この記事のURL
「ねじれ」の季節 [2010年07月12日(Mon)]
参院選の結果が出ました。民主党の大敗により、また「ねじれ国会」が再現する可能性が高まりました。個人的には「ねじれ」状況をもたらす制度自体に欠陥があると思ってはいますが、憲法で定められている部分ですので、それ自体はそう簡単には変えられません。当ブログでも引き続き、「ねじれ」が政治に与える影響について考えていきたいと思います。

ねじれ国会をもたらす基本構造については↓こちらのかつてのエントリーをお読みください。

ねじれ国会についてのおさらい

以上の知識を前提としたうえで、ねじれと政治の関係について考えてみたいと思います。

唐突ですが、政権与党となることを目指す野党は、何を目標にして行動するでしょうか?

多くの方がこう答えるでしょう。「来るべき衆議院総選挙で勝つこと」と。

そのとおりです。衆議員議員総選挙に勝ち、自分の政党から内閣総理大臣を出さなければなりませんので、当然です。では選挙に勝つにはどうしたらよいでしょうか?言いかえれば政権与党となることを目指す野党の「攻撃目標」は何でしょうか?(ちなみに、ここでいちいち野党という単語に「政権与党となることを目指す」という言葉を付けているのは、総選挙において議会第一党となり、内閣総理大臣を自党から出すことを目指す野党という意味です)

答えは「内閣支持率・政党支持率を下げ、不支持率を上げること」です。現在の政権与党の政治や政策の問題点を攻撃し、「現政権は頼りない、ダメだ」という印象を国民に与えることで、次の総選挙に勝つことが必要になります。そのもっともわかりやすい指標が内閣支持率・政党支持率というわけです。

そして、もう一つの目標があります。それは、「政権担当能力を国民にアピールすること」です。野党が複数ある中、自分の党がしっかりと政治を運営できる能力があることを国民になるべくリアルに認識してもらう必要があります。

このように、大きく二つになるのですが、政権与党となることを目指す野党がもっとも力を注ぐのは前者です。そのためには政権与党の政策だけでなく、失言やスキャンダルに至るまで、すべての攻撃材料を総動員して行われます。こうした姿勢が倫理的に正しいかどうかは別にして、それが目的達成のために最も効果的なわけですから、権力を目指す政治家達が使わないわけがありません。

さて、ねじれという現象は、この「内閣支持率・政党支持率を下げ、不支持率を上げる」という目的を達成する「武器」を野党に与えます。野党は、様々な手段で政権与党にブレーキをかけることができます。(具体的には次回以降のエントリーでまた書きます)

2007年参院選後のねじれは、55年体制以降初めての本格的なねじれ状態となりました。政権与党がねじれ状態から脱出するには以下のような手段が存在します。

1野党や無所属の参議院議員を引き抜き、自分の党に入党させ、参議院の議席を回復する
2少数野党と連立政権を組むか、協力路線を敷くことで参議院でも過半数を得る
3次の参院選で勝利し、過半数を回復する
4政党の分裂を含んだ政界再編
5いわゆる「大連立」

もちろん、3がねじれ解消の手段としては王道なのですが、参院選で一度ねじれた場合、次の参院選まで3年も待たなければならないのでここでは除外します。そして、4(政界再編)と5(大連立)にしか解決方法が見込めない状況が「本格的なねじれ」です。一方、1や2の手段で解消が比較的容易な場合「軽微なねじれ」と呼びましょう。

1と2の方法は結局は“数合わせ”なのですが、ねじれている参議院の議席が比較的拮抗している場合には容易にねじれは解消されます。242議席中の半分以上をとればよいわけですから、政権与党の参議院の議席数が119議席であれば、野党や無所属から3人引き抜けば過半数を確保することができます。

実際、1989年の参院選後のねじれの場面では、自民党は公明党、民社党との協力路線(連立ではない)によってねじれ状態を乗り切り、1998年の参院選後のねじれでは自由党、公明党の連立(いわゆる自自公連立)で乗り切りました。

2007年の参院選で安倍晋三総理が率いる自民党が小沢一郎代表が率いる民主党に大敗しました。その結果、参議院242議席中、自民党は83議席、民主党は109議席、公明党が20議席と、政権与党である自民党、公明党を足しても103議席しかないという事態に陥りました。こうした状況では、少数政党との連立や無所属議員や離党議員をぽつぽつと引き抜いていくだけでは到底足りないわけです。

当時自民党は参議院で大きく議席を減らした一方で、衆議院では圧倒的多数を確保していました。2005年のいわゆる「郵政解散」において、自民党が296議席、公明党が31議席、合計327議席を確保し、衆議院の議席の3分の2を制していたことになります。

ここで思い出していただきたいのが法律案の成立要件です。衆議院を通過した法案が参議院で否決されたとしても、衆議院で再び3分の2の再議決がなされればその法案は成立します。したがって、2007年参院選後のねじれは「本格的なねじれ」ということに加えて、衆議院で政権与党が3分の2以上を握っているという非常に稀な状況が重なったわけです。

今回の参院選はこれに近い状況を生み出しました。これから2か月ほど、民主党政権のねじれ解消へ向けての動きが活発化するはずです。連立組み替えが模索されると思いますが、有力な連立の相手候補であるみんなの党、公明党は消費税問題で態度を硬化させており、容易ではなさそうです。

今後の政治の動きを展望するためにも、2007年以降のねじれ国会の展開をもう少しみていきたいと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 13:46 | 政治 | この記事のURL