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「ニッポン人脈記 首相も縛るオートコール」(「朝日新聞」2008年11月28日夕刊1面) [2008年11月28日(Fri)]
録音音声による無人調査機「オートコール」についての記事。麻生首相が衆院解散を見送った背景にはオートコールによる世論調査があったという。

9月22日〜27日に行った調査結果は、自民220、民主210だった。それに自民党選対が経験値を加味して計算しなおすと、両者は逆転する結果となった。

確かに、数字は悪いかもしれない。だが、解散を見送るべきなのは、見送ることによって形勢が逆転できる自信があるときだけだろう。通常、支持率は時間がたてば下がってゆく。さらに、総選挙ナシで首相が3人目である。いいかげん国民の許容範囲を超え始めている。私から見れば自民220、民主210でも、あるいはその数字が逆になっても、自民党にとっては万々歳の結果だと思うがいかがだろうか。

当然、選挙の責任者たる首相、選対委員長は責任を追及される立場だ。どのような結果になっても批判は免れないだろう。となれば、一秒でも現在の地位にいる、つまり解散先送りとなる。

こうして、任期満了まで解散は先送りされ続ける。政治とはなんと難しい判断の連続なのだろう、と改めて思わざるを得ない。
Posted by 佐藤孝弘 at 19:26 | 政治 | この記事のURL
「社外取締役 導入企業、5割に迫る」(「日本経済新聞2008年11月26日朝刊) [2008年11月26日(Wed)]
東証一部上場企業のうち、社外取締役を導入した企業の割合が45%強(776社)になったとのこと。これは2007年度までの話で、2008年度には50%を超える可能性もあるそうだ。

増加の背景には投資家サイドからの強い要請があるものと思われる。M&Aルールの政策提言を検討しているときに多くの投資家の方と議論したが、社外取締役に対する期待は極めて強かった。記事にもあるとおり、米国では社外取締役が取締役会の過半数を占めることも多い。それだけ社外取締役の経営者監視機能が期待されているということだ。

実際にはどこまでその効果があるかは不明である。米英のように社外取締役の“社外性”の要件を厳密に決めれば、利害関係者は排除できるかもしれない。だが、社長と仲の良い“お友達”を排除しきれるとは思えない。

また、理論的に不明確な部分もある。このブログでも何度か書いているが、アメリカの会社法は株主の権限が弱く、取締役会の権限が強い。だからこそ取締役会に株主の代理人たる社外取締役を入れよという議論が出てくる。日本は逆で、会社法上株主の権限が強い。そこで社外取締役をどう位置づけるかについては理論的に詰め切れていいないのではないか。今後検討する必要があるだろう。

また、記事によると社外取締役と買収防衛策をセットで導入した企業も多かったとのこと。しばらくはこのような形で投資家と経営者のディールの材料として社外取締役が使われ、増加してくのかもしれない。
Posted by 佐藤孝弘 at 12:29 | 経済 | この記事のURL
「生活保護の経済分析」阿部彩、國枝繁樹、鈴木亘、林正義 [2008年11月25日(Tue)]
生活保護についての実証的、経済理論的研究の書。生活保護だけで完結するのでなく、年金、医療、就労支援など、他の制度とのかかわりの中で議論が進められるので非常に実用的だ。日本の社会保障制度を考える際の基礎理論として必読の一冊だ。

特に年金制度とのかかわりの部分は極めて重要だ。本書で分析がなされているが、日本の社会保障制度による所得移転は、諸外国と比較して貧困層に厳しく、非貧困層に潤沢になっている。以前ご紹介した「現代の貧困」にも書いてあったが、日本の社会保障は保険原理に偏り過ぎているためだ。たとえば国民年金の第一号被保険者の保険料は収入が少ないフリーターであっても、一律だ。このような逆進的な制度は世界でも珍しいのではないか。結局、ワーキングプア層は保険料を納められず、その分だけもらえる年金給付が減ってしまう。

また、無年金者に生活保護が支給されるため、あらかじめそれを予測して公的年金に加入しない者もあらわれるだろう。本書でもそのようなモラルハザードが起こっている可能性が高いとする論文が紹介されている。

基礎年金と生活保護は制度の目的が異なる。基礎年金はあくまで老後生活の「基礎部分」であるにすぎない。一方、生活保護は最低生活保障である。だから本来は別々に考えるべきなのだが、上記のようなモラルハザードの可能性がある限りはセットで考えなければ制度設計はできない。

本書を読んでみて、個人的にはやはり基礎年金部分は全額税方式でまかない、現在の給付水準(一人あたり約6万6千円)を維持するのが良いのではないかというふうに思えた。そして二階部分は任意加入の制度(積立方式か賦課方式かは要検討)とする。その上で、収入が基礎年金のみで、それだけでは生活ができない方には、生活保護として最低生活費と基礎年金の差額を給付する。

このようなやり方で初めて「国民皆年金」と言えるのではないか。国民年金の空洞化がすすみ、年金制度への不信感が揺らいでいる今、現在の路線(「給付を減らして保険料を値上げ」をくり返す)でいくことには納得が得られないのではないか。

また、本書では就労支援と生活保護についても述べられている。いったん生活保護制度内に入ることで就労意欲が損なわれる、いわゆる「貧困の罠」現象も実際にみられるようだ。生活保護からジャンプするためのインセンティブ設計が必要だろう。今後はこちらも考えてきたい。
「先端医療のルール 人体利用はどこまで許されるのか」島次郎&イベントのご案内 [2008年11月23日(Sun)]
東京財団研究員で、日本の生命倫理関連の政策研究の第一人者、島次郎さんの著書。島さんは本書で問いかける。

「ある人が事故にあって手首から先が切断されてしまった。切り落とされた手は床に落ち、当人は気絶してしまう。そこに別の人が通りかかり、血まみれの手が落ちているのを見つけて、そばにあった焼却炉に投げ込んでしまった。さて、この人はどういう罪で罰せられるか。」

切断された手が「物」であるならば窃盗あるいは器物損壊、「人」であるならば傷害罪になるが、果たしてどちらなのか。

もちろんこの話自体はフィクションであるが、近年に至ってこういった問題を真剣に考える必要性が出てきた。技術進歩により、遺伝子治療や生殖医療、移植医療が可能とする領域が凄いスピードで広がっている。日本でも、いわゆる万能細胞の研究などは世界の最先端を走っている。

ところが、技術の進歩に伴い発生するであろう、法的・倫理的諸問題についての準備は日本ではまだまだ進んでいない。フランスはすでに「生命倫理法」をつくり、人体を「人ではないが単なる物でもない、特別な保護に値する存在」とした。

東京財団政策研究部では、「生命倫理の土台づくりプロジェクト」にて島さんを中心にまさにこの問題に取り組んでいる。本プロジェクトホームページの「時評」はいずれも読み応えがあるので、本書と合わせてぜひお読みいただきたい。

【イベントのご案内】
※11月28日(金)15:00〜17:00、生命倫理の土台づくりプロジェクトにてフォーラムを開催することとなりました。
イベント名は「生殖補助医療はどこまで許されるのか?〜韓国を参考に日本での代理出産を考える〜」

→詳しいご案内はこちらをクリック

島さんはもちろん、宗教学者の島田裕巳先生、社会学者の橋爪大三郎先生という豪華メンバーでの討論になります。興味深い議論になると思いますのでぜひどうぞ!
Posted by 佐藤孝弘 at 10:43 | 思想 | この記事のURL
「道路財源 首相「地方に1.3兆円以上」(日本経済新聞2008年11月20日朝刊2面)」 [2008年11月20日(Thu)]
道路財源の一般財源化について、麻生首相の発言が不明確なようだ。そもそもこの問題は福田首相が今年の5月に全額一般財源化を閣議決定したことにさかのぼる。筋論から言えば、もともと地方向けの道路予算だった部分をそのまま地方交付税とし、使い道は地方に決めさせるということだろう。

当然、道路を作りたい人たちはそれに抵抗する。それにいかに対処するかが麻生総理の腕の見せ所だったはずだ。

しかし、方針もハッキリさせないうちに首相が「使途自由になる地方の取り分は現状以上」とあえてハードルを上げた。早速道路調査会が猛反発し、発言がトーンダウンしたようだ。政権にとっては「給付金」以上の打撃となるだろう。
「政党と官僚の近代」清水唯一朗 [2008年11月19日(Wed)]
昨日の日本経済新聞の「経済教室」は曽根泰教氏がいわゆる「政官関係」について書いていた。内閣を強化しても内閣の実態が官僚であれば、意味がない。強化すべき対象を首相か、内閣官房か、内閣府か、明確にすべきとのこと。

従来の自民党政権においては、内閣提出法案であっても、官僚が自民党に根回しし、自民党の部会→総務会での了承を経てから国会審議が始まる。要するに調整まで含めて官僚に丸投げする体制だ。

小泉内閣期に、多少の変化がみられたが、最近の「給付金」をめぐる混乱を見ていると、記事にあるような「政治が官僚をつかいこなす」ことなどまったくできていないと言わざるを得ない。現行制度から言えば給付金に所得制限をすることで実務的なハードルが高いというのは役所から見ると“常識”なのだが、なぜあんな混乱が起こるのか。私は所得制限をやると言うからには、そのハードルを越える目算があるのかと思っていたが、そうではないようだ。財務省や総務省から出向していた秘書官は何をやっていたのか。役所と総理の距離が非常に大きいように感じる。

小泉首相は経済財政諮問会議がうまく活用し、「大臣―役所」のラインと総理とのバランスをとりつつ政治主導で物事を決めていた。麻生総理は諮問会議はあまり重視していないようだが、諮問会議でなくとも実務的な裏付けをとりながら、省庁間をまたがる問題を解決する意思決定の場をつくることが必要なのではないか。その中で、新たな政と官の関係を構築していかなければならないだろう。

実は政治と官僚制の関わりについての問題が始まったのは戦後からではなく、明治国家が成立して以来の話だ。本書を読むと、行政の中立性と政党政治をめぐる議論の経緯が良く分かる。大隈重信の系統は、政治任用職に意思決定を集中することで行政をコントロールするモデルを志向し、板垣退助の系統は行政の専門性をある程度尊重し、その上に政治が乗りつつコントロールするモデルを志向していたという。特に、政治任用の問題などは、政権交代の可能性が高まった現在にも応用できるだろう。

なお、本書については、東京財団政治外交検証プロジェクトで五百旗頭薫先生が書評を書いておられるのでそちらもご覧いただきたい。
Posted by 佐藤孝弘 at 18:00 | 政治 | この記事のURL
「再建ため息二重ローン」(「読売新聞」2008年11月17日朝刊) [2008年11月17日(Mon)]
平成17年に発覚した耐震強度偽装事件の偽装物件購入者のその後についての記事。事件の発覚で使用禁止になったマンションの建て替えの動きが進んでいるが、住民は新旧二重のローンに苦しんでいる。

記事に出ている会社員の方は、もともと3800万円のローンを背負い、建て替えで新たに2000万円のローンが加わり、毎月の返済額が15万円から23万円になったという。その方々のご苦労を考えるとほんとうに胸が痛む。

建築物が建てられ、販売されるまでには様々な関係者が登場する。建築士が設計し、建設会社が施工を実施し、ディベロッパーが販売し、顧客がそれを購入する。設計にしても、意匠を担当する建築士が構造や設備の設計を行う建築士に下請け仕事を出すし、施工についても大手ゼネコンを頂点に、無数の下請け、孫請けが広がっている。現状では、このような膨大な関係者が関わる結果、建築物の生産プロセスに一貫して責任を負う者が誰もいないという状況になっている。最終的に泣くのは知識のない一般消費者だ。

ではそうならないためにはどうしたらよいか、近日公開する政策提言で明らかにしたいと思う。
「地震と防災 “揺れ”の解明から耐震設計まで」武村雅之 [2008年11月15日(Sat)]
地震を理解するための基礎知識と地震対策の現状についての解説書。“震度”や“地盤”など、基本的な概念からはじまって、地震予測や耐震設計など、ひと通り学ぶことができる。しかも、歴史的経緯も合わせて説明されているのが面白い。「震度」は明治30年に4段階ではじまり、その後7段階となり、平成8年からは10段階になっているという。

タイムリーな問題としては、「長周期地震動」の解説が述べられている。平成16年の新潟県中越地震では、震源から200キロも離れた東京の、六本木ヒルズのエレベーターが緊急停止され、停止装置が働かなかったものについては機器が損傷したり、ワイヤーの一部が切断してしまった。震度でいえば東京は3程度で、大したことはなかったのになぜそのような事故が起こったのか、その原因が「長周期地震動」である。

長周期地震動は、通常の短周期の揺れと異なり、数秒から十数秒の周期でゆっくりと揺れる地震動のことだ。関東平野は地震基盤が平野の真ん中に向かった急激に落ち込み、すり鉢状になっている。そこに震源から伝わった地震波が入ると、水を入れたバケツの底をたたいたときのように平野の縁から地震波が出る。この地震波は速度が遅く周期が長くゆったりとした成分を持つという。

六本木ヒルズはこの長周期地震動に耐えるようには作られていなかったわけだ。だが、これは六本木ヒルズだけの問題ではない。これまで建てられてきた超高層ビルすべてにおいて問題が生じる可能性がある。特に最上階近くの揺れは極めて激しいものとなる。土木学会と日本建築学会は協力して「巨大地震対応共同研究連絡会」を設立し、長周期地震動への対策の検討がすすめられた。

このような大問題について、多くの国民が知らないでいるということは恐ろしいことだと思う。地震国日本の国民として、本書程度の知識は身につけておく必要があるだろう。

※なお、近いうちに東京財団「会社の本質と資本主義の変質研究」において、建築基準法に関する政策提言を出す予定です。ご期待ください!
「教科書の上限撤廃」(「日本経済新聞」2008年11月13日朝刊) [2008年11月13日(Thu)]
現在、文部科学省が教科書検定基準の改定作業を進めている。その中で、生徒全員が学ぶ必要のない「発展的内容」について、小中学校で教科書全体の分量の10%程度、高校で20%程度と定めた現行の上限規制を撤廃する方針を決めたとのこと。

久しぶりに全面的に賛成できる政策。これまではこの制限のおかげで、最新の理論や事例を紹介することができなかった(特に理科)。今後各社は創意工夫を重ねて、活きた学問への興味を書きたてるような「発展的内容」のコンテンツを作ってほしい。

記事によると「ゆとり路線」がでこのような規制が維持されていたとあるが、まったくの余計なお世話である。若者の知的好奇心を育てるチャンスをこれまでみすみす放棄してきたわけだ。教科書は全ての生徒が手にするのだから、これを活かさない手はない。
Posted by 佐藤孝弘 at 16:19 | 教育 | この記事のURL
「M&Aの成否 経営陣の“有言実行”がカギ」(「日経ビジネス2008年11月10日号掲載) [2008年11月12日(Wed)]
「勤務先がM&Aを経験した社員」に対するアンケートが掲載されている。「自分の職場にとって有意義なM&Aだったか?」という問いに対して肯定的な回答をした人が47.0%、否定的な回答は43.7%と、拮抗している。M&Aをしてもその半分は社員の納得を得ていないわけだ。

この数字への評価はなかなか難しいが、企業価値や利益創造の源泉が人的資本にシフトしている現在、多くの会社ではネガティブな社員が多いと生産性もあがらないだろう。以前、冨山和彦さんのお話を伺った時に話されていたのは、ある会社を再生するために乗り込んでいくとき、社員に横暴な占領軍と思われるか、会社を良くする解放軍と思われるかということには非常に気を使っていたとのことだ。

特に、優秀なコア人材であるほど、流出してしまう危険性が高い。また、そういう人材ほど新しいトップの一挙手一投足を注意深く見ているということだった。

また、このアンケートによると、肯定的な回答をした人にM&A後の状況について聞いたところ、「M&Aの目的が社員に明確に示されていた」「新しい戦略や、課題解決に向けた施策が実行されていた」といった回答が最も多かったとのこと。

やはり経営者がビジョンを示し、それを具体的な形で実行することが大切である。金融危機を受けて、ファンドによるM&Aは減るだろう。一方、現在の株価の状況はキャッシュが豊富な企業にとっては、大チャンスだ。そのチャンスを無にしないためにも、経営者はこの点をあらためて強く認識すべきだろう。
Posted by 佐藤孝弘 at 18:03 | 経済 | この記事のURL
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