CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2008年09月 | Main | 2008年11月»
プロフィール

佐藤孝弘さんの画像
リンク
<< 2008年10月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
カテゴリアーカイブ
最新記事
https://blog.canpan.info/satotakahiro/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/satotakahiro/index2_0.xml
月別アーカイブ
最新トラックバック
「コンパクトマクロ経済学」飯田泰之、中里透 [2008年10月31日(Fri)]
麻生総理が追加経済対策を発表した。目玉は二兆円規模の生活支援定額給付金だ。どの程度の景気刺激効果があるのだろうか?

本書はマクロ経済学の入門書で非常にわかりやすく書かれている。184ページにはリカード・バローの中立命題というのが出てくる。これは、国債発行により財政出動が行われても、人々が将来の増税を予想して結局は消費の増加につながらないというもの。非常にわかりやすい話だ。

ただ、現実には目の前にお金があればいつもより余計に使ってしまう人もいるわけで、効果ゼロということはない。どのくらい効果が出るかは国民がどのような印象を受けるかでも違うのだろう。

ところが、麻生総理は自分から将来の消費税増税を発表している。国民には「将来の増税に備えてお金を使わないで貯めておきましょう!」というメッセージになってしまうのでは?わざわざ「中立命題」を成立させようとしているように思える。そうなると景気刺激効果は極めて少ないものになるだろう。

それとも、国債ではなく「埋蔵金」を使うから問題ないと考えているのだろうか。だが、それにしても使った埋蔵金の分だけ国債償還の余地は減るわけだから、その分将来の増税があるのは同じことだろう。まさか「将来消費税が上がるので、今使ってしまいましょう!」と言っているわけでもないだろう。まったく理屈が通らない。

麻生総理の意図はわたしにはよくわからない。経済学者の皆様、合理的に説明していただけませんか??
「消費税15%による年金改革」橘木俊詔 [2008年10月30日(Thu)]
年金改革に関する政策提言の書。「橘木案」として広く人口に膾炙し、支持者も多い。

著者は2004年改革を含めたこれまでの政府の年金改革を、結局は「保険料を増やして給付を減らす」ことを繰り返しているだけだと批判する。国民からすれば当然、今後もこのような負担増が繰り返されるだろうと考え、年金制度への不信感や不安がさらに高まる。これはまさにそのとおりだろう。「制度への信頼」は極めて重要な論点である。加えて、社会保険庁の不祥事は不信感をさらに増幅させている。

本書の提言は基礎年金部分を全額消費税で賄うというものである。消費税を15%とし、単身世帯には月額9万円、夫婦2人世帯には月額17万円の年金給付を行う。この金額は家計調査の消費支出データから導いた、最低限生きていくだけの生活費である。

確かに、この案は制度として非常にスッキリするし、本書で指摘する国民年金、厚生年金の“空洞化問題”もクリアーできるだろう。

ただ、年金を税で賄うことについての理論的な問題についてはさらなる検討の余地がある。公的年金制度の財源調達方式は@賦課型保険料方式、A積立型保険料方式、B税方式、の三つがある。
基本原則として賦課方式は「世代間扶助」の精神を、積立方式は「自助努力」の精神を背景とする。では税方式はどうかという問題だ。

「税方式は生活保護のような社会扶助方式と同じになってしまうので、年金の趣旨に反する」という反論に対し、著者は「基礎年金制度による最低生活保障額の給付を公共財とみなせば、税方式が許容されるのではないだろうか。」と答えている。基礎年金給付を教育と同様の公共財とみなせばよいという。

なぜそれが公共財と言えるのかの説明が少なく、よくわからなかった。教育にしても経済学でいう「公共財」ではなく「価値財」のはず。本書は一般向けに書かれているので、わかりやすくしようとしているのかもしれないが、物足りない。「価値財」であるというのであれば、外部性の観点からのより深い理論的検討がされればより説得力が増すのではないだろうか。

とはいえ、「税方式」の基本書としてわかりやすく、年金に関心を持つ人が読んでおくべき本であることには変わりはない。
「定額減税「給付金」が有力」(日本経済新聞2008年10月29日朝刊5面) [2008年10月29日(Wed)]
これまで与党間で検討が続けられてきた「定額減税」の中身がようやく固まってきたようだ。一人当たり1万円〜2万円の現金かクーポン券を配るという。

絵に書いたようなばらまきで、それ自体の効果がどの程度出るかは不明だ。他の対策との組み合わせにもよるだろう。ただ、@所得制限を設けるのか、A給付の手続きや窓口をどうするか、という今後の議論は要注目だ。税と社会保障の一体化への道筋がつく可能性もある。
「留魂録」吉田松陰 [2008年10月28日(Tue)]
私が幕末で好きな人物を聞かれると、吉田松陰と横井小楠の二人を挙げる。ともに思想に生き、その実践に尽くした人だ。松陰に関してはその真っ直ぐな心と大胆な行動に、小楠に関してはその圧倒的な構想力と先見性に惹かれる。

本書は吉田松陰の遺書で、安政の大獄により処刑される前日に、松下村塾の門下生達に対して書かれたものである。

そもそも幕府が松陰を呼び出したのは、尊攘派の若狭藩士、梅田雲浜との関係を問いただすことだった。それ自体は大した問題ではなく、松陰は無難に釈明した。しかし、その際、勢い余って自分から老中の間部詮勝暗殺計画を立てていたことを告白してしまう。

結局これにより処刑が決定されるわけだが、この留魂録には生と死を揺れうごく気持ちが実に正直に表現されている。

「留魂録」と言えば人の一生を四季に例えた一節が有名だが、動揺期を過ぎ、死の覚悟を決めた後の心境を綴ったものだ。死を目前にした松陰の言葉は、純粋さを極限まで推し進めるとこうなるのかという名文だ。ぜひ味わっていただきたい。

冒頭には、江戸に移送されることになった時、木綿の布に「孟子」の「至誠にして動かざる者、未だ之れ有らざるなり」の一句を書いて、手ぬぐいに縫いつけ、江戸に持ってきたというエピソードが出てくる。この句の意味は「真心を尽くして臨めば、心を動かされない人はいない」といった意味である。吉田松陰の人生はまさにこの言葉を地で行くものとなった。この言葉は、私も座右の銘にしている。

人生で迷いが生じた時にぜひ読んでいただきたい一冊だ。
Posted by 佐藤孝弘 at 21:09 | 思想 | この記事のURL
「年金問題の正しい考え方」盛山和夫 [2008年10月27日(Mon)]
年金制度の入門書。とはいっても現行の年金制度の構造やこれまでの経緯だけでなく、世代間格差や未納問題など、複雑な制度とその問題点をかなり詳細に、わかりやすく解説している。また、基礎年金の消費税化、年金の一元化、積立て方式への移行など、近年の年金改革案についても網羅的に述べられている。

著者は、年金制度が危機に瀕しているのは、少子高齢化のせいではなく、1973年のスキームがあまりに"大盤振る舞い”だったことにあるという。その上で2004年の制度改正を肯定的にとらえ、マクロ経済スライド調整率の導入によって、初めて持続可能なスキームとなる可能性が出てきたと指摘する。

マクロ経済スライド調整率とは、年金支給のベースとなる物価上昇率・平均賃金上昇率から一定の調整率を引くことで給付水準を低く抑える仕組みだ。これは法律ではないので、法改正しなくとも給付水準を下げられる。ただ、著者は現在の調整率(0.9%)では、到底制度を維持することはできないとも指摘しており、ある程度の経済成長と、調整率の引き上げが必要とする。

後半は、最近よく議論される年金の制度改革論議についての著者の見解が述べられる。最も問題視される未納問題を論じた第7章のタイトルは「未納は本当に問題なのか」として、おり、初めから未納問題の悪影響について懐疑的な姿勢だ。著者によると、未納の解消は年金財政の収支の改善には役に立たず、むしろマイナスだという。基礎年金は構造的に赤字体質なので、著者の資産だと収支が悪化するというのだ。

とはいえ、未納者が将来生活保護支給を受けるようになれば、結局それは税負担が増える話になる。これは私も非常に懸念するところだが、著者は以下のように述べる。

「まず、注意しておきたいのは今日の未納者のすべてば、一生涯未納を続けるわけではないということだ。未納率は20代で約50%と若年層で高く、中高年層では低い。免除者を含めると、若年層の割合はもっと高くなる。たしかに、これらの人々が今後40年間ずっとどんな保険料も払わないでいたら、大勢の無年金老人が出現するだろう。しかし、20代で無職やパート・アルバイトであっても、30代になって定職について二号被保険者になる可能性や、結婚して三号被保険者に成る可能性は少なくない。」

などと書かれているが、ここだけ妙に楽観的だし根拠がわからない。私は就職氷河期世代のド真ん中で、実感としてわかるが、そう簡単に「30代になって定職について」と言えるようなようなご時世ではないと思う。また、著者は年金は払うのは得であることを強調するが、年収200万円のフリーターに損得論を説いても説得力はない。

しかも、本書前半では「公的年金制度は、すべての国民、それもいま存在している世代だけでなく、これから生まれてくる人々を含めた将来の世代を包括的に対象として、老後の生活に一定の保障を提供するものである。」と書いているにもかかわらず、未納者が多く発生しても年金制度は破綻しないから問題ないとするのは矛盾にも思える。

このように、本書は不明な部分があるものの、基本的には明快な論理で、新たな気づきを与えてくれる部分も多い。年金問題を考える上では欠かせない一冊だろう。
「自由放任は第二の終焉」岩井克人(「日本経済新聞10月24日朝刊27面) [2008年10月24日(Fri)]
本日の日経新聞「経済教室」に岩井先生が寄稿されております。ケインズとフリードマンを対比させつつ、現在の金融危機を分析しています。

岩井先生が凄いのは、発言にブレがないところです。サブプライム問題以降、多くの論者(特に市場原理主義者)がトーンダウンしたり、論調を微妙にシフトする中、岩井先生の主張は一貫した理屈で述べられていました。

今回も資本主義の本質をえぐるような、読み応えのある論評です。ぜひご覧ください!
Posted by 佐藤孝弘 at 10:28 | 経済 | この記事のURL
「政治神学」カール・シュミット [2008年10月23日(Thu)]
本日の日経新聞によると、今般の金融危機への対応を協議する緊急サミットの日程は11月15日とのことだ。麻生総理は今まさに重大な決断の局面にいるのだろう。衆議院の選挙期間は12日間なので、11月30日投票日にすればサミットとは日程がかぶらなくて済む。

20世紀前半に活躍したドイツの法学者カール・シュミットは、「主権者とは、例外状況に関して決定をくだす者」と言っている。そして戦争のときのように、平時の法体系が想定していなかった事態にこそ政治の本質が現れるとする。政治学にとっての「例外状況」とは、神学にとっての奇跡と同様の意味を持つ。シュミットは例外状況に正面から取り組むことを避けてきた既存の政治学を批判する。さらに議会制民主主義の批判へと続き、後にはナチスの御用学者という批判を浴びることとなる。

実際にはシュミットの意思と反し、議会制民主主義が世界に広まったわけだが、シュミットが提示した例外状況理論のエッセンスは(多少薄まった形で)今でも当てはまるように思われる。

いかなる政治制度であれ、トップに立つものが決断を迫られている点には変わりがない。そして、例外状況にあるかどうかは、概念としては明確に区別できても、実際の政治においてはそれほど明確ではない。

マスメディアが発達した現在、「例外状況」をいかに演出するかという要素が加わる。郵政解散が典型事例だが、総理の行動により例外状況的な舞台をつくり(国民にそう認識させ)、勝負に出る。小泉総理以降、日本の首相はいつもそのことを考えているのではないだろうか。

冒頭解散の機会を逃した麻生総理にとっては、今回がラストチャンスだろう。欧米の金融機関が軒並みマヒしている状況、ユーロ・ポンドが暴落し、円が相対的に最強の通貨となってしまった状況。(戦争ほどではないが)真の例外状態に近い状況が麻生総理に起こっている。ここで大胆な提案を打ち出して世界に対してリーダーシップを示し、強いリーダー像をもって選挙を戦う。これ以外に戦略としては無いのではないか。

ここで解散を先送りすれば、民主党は再び「ガチンコ対決」モードとなり、物事が何も決まらない状態が続くだろう。そして、総理の支持率は低下を続け、解散の機会を失うことになる。

とはいえ、サミットが失敗するリスクも当然存在する。ここでいかなる決断をするか、総理の真価が問われている。
Posted by 佐藤孝弘 at 12:59 | 思想 | この記事のURL
「学校選択制で格差 男女比にも偏り」(毎日新聞10月22日朝刊1面) [2008年10月22日(Wed)]
おどろおどろしい見出しに驚いて記事を読んでみたら、ここでいう「格差」は今春の各校の入学率に大きな差があるということだった。

このような意味での差が出ることは学校選択制を導入したのだから当然予想されたことだ。それを殊更に派手な見出しを掲げているこの記事は学校選択制に悪いイメージを植え付けるレッテル貼りにすぎない。

以前このブログで品川区の教育長、若月秀夫氏の著書を紹介したが、若月氏も述べているように、学校選択制の導入の目的は既に隠れて存在している学校の格差(教員の指導力の差など)を浮き彫りにし、対策を打つことにある。

そうである以上、ここで明らかになるのは、指導力がないと保護者や生徒に判定された学校に、教育委員会や区がしっかりテコ入れしているかどうかということだ。入学率の差を放置している区はそれをサボっていることになる。それを無視して、学校選択制度自体を批判するのは、サボっている人たちにとっては絶好の責任逃れになるだろう。

ただし、保護者や生徒に学校の情報が正確に、豊富に伝わらない場合は、単なる噂話などが大きな影響力を持ってしまうのはこの記事の指摘する通りだろう。各学校には積極的に情報開示を行うインセンティブを与える必要があるだろう。

以前もブログで書いたが、格差と言えば、東京のお金持ちの子供は「私立」という豊富な選択肢がたくさんあって、自分の特性にあった学校を自由に選べるのだが、そうではない子供は学校選択制がなければ全く選べない。どちらかと言えばこちらの格差が本質だ。毎日新聞にはこれについても調べてほしいと思う。
Posted by 佐藤孝弘 at 12:52 | 教育 | この記事のURL
「森信茂樹の税制改革道場!」のお知らせ [2008年10月20日(Mon)]
16日のエントリについて、何件か反響があったのでお知らせします。このたび東京財団の森信茂樹上席研究員のサイト「税制改革道場」がオープンしました。

このサイトは税制のプロ中のプロである森信先生が、皆さまの税制改革へのご意見にコメントをし、議論を盛り上げていこうというものです。忌憚ないご意見をどんどんいただければ幸いです。よろしくお願いします。
書評「M&A国富論」(読売新聞10月19日朝刊12面) [2008年10月19日(Sun)]
本日の「読売新聞」朝刊の書評コーナーで、拙著「M&A国富論―「良い会社買収」とはどういうことか」をとりあげていただきました。ぜひご覧ください。

また、下記のように、多くのブログ等でご紹介いただいています。この場を借りて御礼申し上げます。

http://miyajima.ne.jp/index.php?mode=res_view&no=97
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/oyassannsabu/view/20080915
http://kachitas.iza.ne.jp/blog/entry/718672/
Posted by 佐藤孝弘 at 11:55 | 経済 | この記事のURL
| 次へ