CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2007年06月 | Main | 2007年08月»
プロフィール

佐藤孝弘さんの画像
リンク
<< 2007年07月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
カテゴリアーカイブ
最新記事
https://blog.canpan.info/satotakahiro/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/satotakahiro/index2_0.xml
月別アーカイブ
最新トラックバック
「日本インディーズ候補列伝」大川豊 [2007年07月26日(Thu)]
 選挙における、いわゆる“泡沫候補”についてのエピソードや人物などを紹介した本。著者は、芸人集団である「大川興業」総裁の大川豊氏である。著者は泡沫候補のことを“インディーズ候補”と呼んでいる。供託金を没収されようとも自分の主張を選挙で訴え続ける、個性的な人々が次々と登場する。

 読んでいて思ったのは、泡沫かそうでないかの区別は非常に難しいし、その判断は恣意的にならざるを得ないという点がある。例えば本書に登場する羽柴秀吉氏は、長い間泡沫候補扱いされてきたが、先の夕張市長選では、2988票を獲得し、次点であったし、中川ちょうぞう氏は、長野県知事選に落選後加西市長選に立候補、当選を果たしている。

7月11日、日本プレスセンターでは、自民、民主、公明、国民新党、社民党、共産党、新党日本の7党の党首が討論を行った。この中には、荒井広幸、滝実の2氏が「解党宣言」を表明し、所属議員がゼロに等しい新党日本が入っている。それでいて、新党日本よりも擁立候補者がはるかに多い、9条ネットや女性党がこれに入っていないという理由がわからない。

結局は田中康夫氏の実績などを勘案して選んでいるのであろうが、どうせ恣意的に選ぶのであれば、国民の関心を考慮してスピーカーを決め、深く議論を尽くしてもらったほうがよいのではないだろうか。その点、21世紀臨調主催の党首討論は対照的であった。

私はその恣意性の中に、「社会通念」が現れると思う。マスメディアの代表である日本記者クラブが選んだのがこの7党という点からみて、“政党政治”というものに対するコンセンサスが未だに日本国民の間に定着していないのではないかと思わざるを得ない。自治体の首長ならばともかく、無所属や小政党が国会でできることは極めて限られている。それを考えればメディアの見識で、もう少し絞るという判断があってもよいのではないだろうか。

いろいろ書いたが、単純に読み物としても面白いし、付属のDVDで見られる政見放送も見ごたえがある。

個人的に特に面白かったのは、昔からナゾの候補として注目していた、三井理峰氏の経歴などがわかったことである。どうみても普通のおばあさんなのだが、公約では、
「夏休みの学習は有害禁止」や、「公立料理教室 栄養素=病名=道徳と大巾に改革する 例 にしんを食べると怒らない」など、非常にインパクトが大きいものがあった。
政見放送も、ひたすら著書の「我は平民」を読み上げるというもので、いったい何のために選挙に出ているのかと思っていたが、事情が判明し胸のつかえが取れた感じがする。同じ疑問をもっていた人はぜひ読んでみていただきたい。
Posted by 佐藤孝弘 at 18:21 | 政治 | この記事のURL
「日本経済の生産性革新」宮川努 [2007年07月06日(Fri)]
バブル崩壊以後の日本経済を、「生産性」に着目して分析した一冊。長期不況の主な原因を民間部門の競争力の低下ととらえ、生産性低迷について分析している。

著者はサプライサイドに重点を置いて議論を展開する。特徴は、生産性の伸びを「産業ごと」に詳細に分析している点だ。これまでデータ不足で切り込めなかったところを、著者自身が作成した新たなデータベース(JCERデータベース、JIPデータベース等)に基づいて切り込んでいる。TFP(全要素生産性)の伸びを業種ごとに国際比較しており、よく言われる「日本は製造業の生産性は高いがサービス業の生産性は低い、だからITを導入して生産性を上げよ」という議論を実証している。

小泉政権末期〜安倍政権初期に中川秀直氏が提唱していた「上げ潮政策」においても同様の視点が基底にあり、以後「生産性」は流行のキーワードである。最新の「骨太の方針」でも、「5年間で労働生産性の伸び5割増し」が大目標とされており、「成長力加速プログラム」に、サービス革新戦略があり、その政策(具体的手段)のトップには「IT革新」が来ている。

しかし、生産性の議論を聞いていつも物足りなく思うのは、政策的インプリケーションがあまりないことだ。マクロ的な数値目標にはなっても、どのように具体的な政策に結びつけるかがよくわからない。例えば、本書の議論を企業の社長に一生懸命説明しても、おそらくこんな反応が返ってくるだろう。

「要するに、粗利率を上げろってことだろ、言われなくてもそんなことわかってるよ!」

例えば、ITの導入による生産性の向上の必要性が述べられてるが、経営者から見れば、ITを入れて正社員の人件費をその分削れ(=クビにするor外注する)ということであって、そうすれば生産性が上がることは誰でもわかっている。
だとすれば、企業からすれば、ただ「ガンバレ」と言われているのと同じであろう。「骨太」でも、生産性の議論と具体的政策の因果関係があいまいだ。

問題を解く鍵は、最後の章で論じられている、「IT資本」「人的資本」「知識資本」「組織資本」「顧客資本」「社会資本」などの、「知識資産」にあるのであろうが、残念ながら本書ではそれほど詳しく論じられていない。

私は本書読了後、あるセミナーで著者の話を聞く機会があったのだが、今後「知識資産」の部分についてより深めた研究を続けると話されていたので、大いに期待したい。
Posted by 佐藤孝弘 at 15:20 | 経済 | この記事のURL