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「革命と独裁のアラブ」佐々木良昭 [2011年07月19日(Tue)]
(最近、あまりに多忙につき、ブログの更新が滞っており失礼しました)

待望の佐々木先生の新刊が出ました。2010年12月、チュニジアの一青年の焼身自殺をきっかけに始まった「ジャスミン革命」はまたたく間に周辺国へ波及。今も混乱が続いています。

私たちはニュース報道で知るしかないのですが、このような事態に至った歴史的、政治的背景はどこにあるのかまでは理解できず、モヤモヤした気持ちでいる方も多いかと思います。本書は、アラブの表から裏まで知り尽くした著者が、そのモヤモヤを解き明かしてくれます。

例えば、そもそもなぜアラブには独裁国家が多いのか。本書第2章では、革命当初は民主主義の理想に燃えていたリビアのカダフィ大佐が、独裁に移行せざるを得なくなった経緯が書かれています。背景には教育水準の問題や、イスラム教の教えに端を発する独特の「甘え」文化があり、それを理解しなければ読み解けないのです。

また、第4章では、米・英・仏などの国が中東地域とどのように関わってきたかが書かれています。いうまでもなく、石油資源が豊富な中東。国内対立や宗教対立が外国の介入のチャンスとなり、軍事顧問団など、影響力のあるポジションを確保する、構造的な問題を解き明かしていきます。

本書のあとがきで今後のイスラムの主導権を握る国として、トルコが挙げられています。エルドアン首相のリーダーシップのもと、憲法改正をはじめとしたさまざまな改革に取り組み、いずれは中東地域の指導者となるという見立てです。まさに現在ダイナミックに進行中の事態であり、いずれはトルコについても書いていただきたいです。

そのほか、各所にちりばめられているエピソードも大変面白く、あっという間に読めました。「ムスリム同胞団」「ヘズメト」など、重要キーワードについても詳しく書かれております。アラブのことを知りたいと思う方には絶対お勧めですので、ぜひお読みください。

(目次)
はじめに
第1章 これを知らなければイスラム国家の本当の姿が見えない
第2章 独裁者は大衆が創り出すものである
第3章 栄光と屈辱 アラブ諸国の歴史的背景
第4章 外国はこうしてアラブ世界に食い込んでいく
第5章 イスラム世界で成功してお金持ちになる方法
第6章 アラブの人々は現実と幻想の間を行き来している
第7章 瞬時と永遠の言霊の世界
おわりに
Posted by 佐藤孝弘 at 15:13 | 外交 | この記事のURL