CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2010年11月 | Main | 2011年01月»
プロフィール

佐藤孝弘さんの画像
リンク
<< 2010年12月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
カテゴリアーカイブ
最新記事
https://blog.canpan.info/satotakahiro/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/satotakahiro/index2_0.xml
月別アーカイブ
最新トラックバック
IFRS政策提言へのベンチャー企業CFOの方の感想 [2010年12月21日(Tue)]
先日、政策提言「日本のIFRS(国際財務報告基準)対応に関する提言」を公表して以来、多くの方からご意見ご感想いただいております、本当にありがとうございます。今後の政策立案に活かしていきたいと思います。

中でも、某ベンチャー企業のCFOの方からいただいた以下のメールの内容は公開して多くの方に読んでいただくべきだと思いました。ご本人の許可をいただいた上、中身に関する部分だけ公開させていただきます。IFRSに関わる方には必読の一文かと思いますのでぜひどうぞ。

--------------------------------------------------------------------

さて、会計現場の現実的対処の部分からお話しします。

【原則主義と細則主義について】

日本では、細則主義でありながら、その実態は、細則主義を前提とした原則主義だというのが現場の実感です。

これは、監査法人の規模にもよりますが、監査法人は決してルールの範囲内だから何でもOKという立場ではありません。

もう一つの要素として“継続性”という概念が付け加わります。

その結果、疑わしきは罰するという今の(有限責任という名前になり、より鮮明)監査法人特有の超保守主義的な思考傾向を生んでしまったのではないかと思います。

その契機になったのは、カネボウ等の不正経理による、監査法人の業界再編成にもあると思います。

監査法人の再編成により、大手監査法人が分解し他の大手に吸収される。

その結果、吸収された会計士と、吸収したほうの会計士との組み合わせで監査グループが結成されるのですが、お互いが(個人レベルで)保守的な監査をすることに競争意識を燃やすという悪循環を生んでいます。

IFRSという新しい考え方は、監査人の新たなスキルとして監査人としての監査法人内における位置付けに新たな付加価値を生むものになるため、監査人はしのぎを削って、その新しいスキルを理解し、実践しようとします。

エンロンまで遡らなくとも、日本国内においての会計処理の不正に端を発し、監査人同士が疑心暗鬼になり、自らその基準を厳格化することで、自身の保身を図る。そこに登場したIFRSは、彼らにとって(特に血の気の多い会計士)格好のツールであり、これを自分のものにできるか否かで会計士としての生き残りが決まるというイメージでしょうか。

その結果、産業界に何が起こったか…

上場廃止が、IPOの数を上回ってしまい、今後も上場企業数の純減傾向は止まらないということではないでしょうか。

特に、従来許されていた新興市場は、確実に疲弊します。

管理部門にコストを割けないからです。(上場企業の廃止は親子上場の回避という理由ももちろんあります)

IPO可能な企業規模は、これから売上高で30億円がミニマムになると言われています。

日本は、その会計制度の超保守化により、企業の芽を摘もうとしているのです。


【公正価値と期間損益について】

公正価値という件については、時価の客観性(それも変な表現ですが)と現在価値の算出における限界点(客観性という意味においても限界点がある)を、誰がどう公正であると判断するかがポイントですね。

客観性があるのは、市場価値のみです。

例えば、不動産価値についてですが、普通は路線価とか、附近の実際の価格などを参考にすることは可能ですが、より客観性を持たせるために、鑑定士による証明書というものが水戸黄門の印籠となるわけです。

ところが、実態はすべてがそれを持って客観的と言えるかどうか疑わしいのです。

正確に言うと、確かに鑑定士の評価だから、(社外の第三者による評価という意味で)もちろん客観的です。

問題は、客観的であることと、公正であること(現実的であること)は別物であるということです。

要するに、「このレンジで評価しといて」とお願いすれば、こちらの意を汲んで「柔軟に」対応してくれる方もいるということです。そういう方は、路線価との大きな乖離があってもお構いなしです。

通常、企業にとって(所有していればの話しですが)最も価値の高い資産は、多くの場合不動産です。しかし、その不動産さえ、公正価値という名の下、不正価値の温床になりうるのです。

いずれにしても、企業が所有する資産で、真に客観的な測定ができるものなんて、現預金以外に何があるのでしょうか?

政策提言にカリスマ社長の例もありましたが、絶対大丈夫、なはずの債権が、ある日突然会社の消滅(何らかの理由)によって、霧消してしまうというような可能性も、一つのリスクとして評価しなければならないのであれば、まさにきりがないという状況になります。

その結果、想定できるリスクの評価は、過去の事例(実績)からということになり、それは細則主義を活用せざるを得なくなるという原点回帰に陥ります。

また、公正価値は、BSによる期首と期末の純資産比較による包括利益算出のための手続きであると同時に、自社によるデューデリジェンス(DD)を、その将来において(特に海外の)どこかの企業から買収されるためのお膳立てをしてあげているようなもので、まさに日本企業のたたき売りにつながります。

なぜなら、超保守主義に基づく、企業価値の測定が、そのままDDの結果として決算書に計上されるわけですから、実態面がBSの数字を上回っていたとしても、企業買収価格がBSの数字を上回ることは許されず、日本企業全体の資産価値を、会計基準が押し下げるという結果になりかねません。

そこで下がった価値は、最初に株価に反映されるはずです。

DDは、あくまでもM&Aの話があって初めて実施すればよいのであって、それをいつでも、この価格で売りに出てますよ、というようなアナウンスをする必要は全くない訳です。

また、投資家は、本来企業の将来性を買うはずなのに、IFRSによって、保守的なBSの数字しか見なくなる可能性があります。

その、2つの側面からIFRS@日本売りの会計制度であると同時にA投資家離れを引き起こす会計制度でもあると言えるのではないでしょうか。


【原則主義と内部統制について】

そもそも、原則主義の考え方を補完する意味で内部統制があったのではないかと思います。その二つが制度として必要というのであれば、IFRSは超保守主義であると同時に、二重に保守主義であるとも言えます。

現行制度においても、資産除去債務の計上等、将来考えうるリスクを数値化し、これに引当金を計上する、退職給付の考え方も既に行き過ぎであるという認識です。

しかも、そのリスクを測定するために、第三者による作業に対する支払いが発生するという二重の負担。このままでいくと、その負担に対して引当金を計上しなければならないなどというばかげた三重苦にも陥りそうな勢いです。

だれか、この狂った制度を昭和50年まで戻してもらえないでしょうか…
Posted by 佐藤孝弘 at 13:19 | 経済 | この記事のURL
内閣提出法案の絞り込みについて [2010年12月21日(Tue)]
菅総理・岡田幹事長と小沢代表の攻防が注目を集めておりますが、その影で霞ヶ関の各省と官邸が妙な攻防をしているようです。

先日忘年会をドタキャンしたある省庁の友人のお話し。「官邸が年明けの通常国会に提出する法案数を絞り込む方針にしていて、なんとかウチの法案は提出したいと折衝していて出られない」とのことでした。

もともとは菅直人首相が10日午前の閣僚懇談会で、各大臣に指示したことに端を発しているとのこと。それ自体は既に報道されているかと思います。

「何それ?どういう意味があるの?」

と思う方が大半でしょうが、ピンと来た方もいらっしゃると思います。

先の臨時国会における、政府提出法案の成立率は過去10年で最低の37・8%でした。それに対して、菅総理の政権運営能力を疑問視する報道がなされました。となると、打つ手は一つです。法案成立率を上げるには、分母である法案提出数を減らすのが一番効果的ですね。

筋論から言えばこれはおかしいです。国会がねじれていようが、内閣支持率が低かろうが、政府として通さなければならない法案の数は変わらないはずです。必要なものは必要として提出し、一本でも多く成立させる努力をするのが王道かと思います。

政府提出法案であっても、国会提出後の扱いは党(国対)のほうに比重が移るので、事前に絞り込もうというのはわからないでもないですが、結局王道をいったほうが、国民の支持は得られるのではないでしょうか。

そういえば昔、社会保険庁が「年金の未納率を下げるために、保険料免除を乱発する」ということをやっていましたが、それと同じようなイメージで捉えられるリスクもあると思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 11:20 | 政治 | この記事のURL
| 次へ