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「消費税15%による年金改革」橘木俊詔 [2008年10月30日(Thu)]
年金改革に関する政策提言の書。「橘木案」として広く人口に膾炙し、支持者も多い。

著者は2004年改革を含めたこれまでの政府の年金改革を、結局は「保険料を増やして給付を減らす」ことを繰り返しているだけだと批判する。国民からすれば当然、今後もこのような負担増が繰り返されるだろうと考え、年金制度への不信感や不安がさらに高まる。これはまさにそのとおりだろう。「制度への信頼」は極めて重要な論点である。加えて、社会保険庁の不祥事は不信感をさらに増幅させている。

本書の提言は基礎年金部分を全額消費税で賄うというものである。消費税を15%とし、単身世帯には月額9万円、夫婦2人世帯には月額17万円の年金給付を行う。この金額は家計調査の消費支出データから導いた、最低限生きていくだけの生活費である。

確かに、この案は制度として非常にスッキリするし、本書で指摘する国民年金、厚生年金の“空洞化問題”もクリアーできるだろう。

ただ、年金を税で賄うことについての理論的な問題についてはさらなる検討の余地がある。公的年金制度の財源調達方式は@賦課型保険料方式、A積立型保険料方式、B税方式、の三つがある。
基本原則として賦課方式は「世代間扶助」の精神を、積立方式は「自助努力」の精神を背景とする。では税方式はどうかという問題だ。

「税方式は生活保護のような社会扶助方式と同じになってしまうので、年金の趣旨に反する」という反論に対し、著者は「基礎年金制度による最低生活保障額の給付を公共財とみなせば、税方式が許容されるのではないだろうか。」と答えている。基礎年金給付を教育と同様の公共財とみなせばよいという。

なぜそれが公共財と言えるのかの説明が少なく、よくわからなかった。教育にしても経済学でいう「公共財」ではなく「価値財」のはず。本書は一般向けに書かれているので、わかりやすくしようとしているのかもしれないが、物足りない。「価値財」であるというのであれば、外部性の観点からのより深い理論的検討がされればより説得力が増すのではないだろうか。

とはいえ、「税方式」の基本書としてわかりやすく、年金に関心を持つ人が読んでおくべき本であることには変わりはない。
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