東京財団研究員、平沼光さんの本が出版されました。全政治家必読の本かと思います。平沼さんは資源エネルギー外交の専門家で、最近ではテレビでレアアースの解説をよくされており、ご存知の方も多いと思います。
今後の日本を支える分野として、環境・エネルギー関連を挙げない人はいないでしょう。電気自動車をはじめ、いずれも将来有望な分野です。こうした分野について、日本は「技術はあるが、資源がない」というイメージでとらえている方が多いと思います。
昨年9月の尖閣諸島問題を契機に中国がレアアースの輸出を制限したことでそのことはますます多くの方の脳裏に焼き付いているのではないでしょうか。日本だけでなく、世界が資源戦略の重要性を再認識するきっかけとなりました。
本書において平沼さんは、見方を変えれば日本も資源大国だと主張します。例えば「都市鉱山」と呼ばれる、不用となった家電の部品に含まれている金属類。海底の鉱床から採取できるレアアース、海水から抽出できるリチウム。これらの資源を日本人の英知を結集して採集、活用できれば、本当の意味での「金属資源大国」になれるというのです。
実現までにはクリアーしなければならない多くの課題があるでしょう。しかし、資源争奪戦は激化する一方です。日本もこのまま黙って見ているわけにはいきません。国として戦略的な重点投資が必要な部分であることは間違いないでしょう。
本書を読んでいると、日本も大きく飛躍できることがわかります。エネルギーは政府の果たすべき役割が大きい部分でもあります。ここをベースにした新たな国家戦略の構築が望まれます。
(目次)
はじめに 日本を「黄金の国」に導く三つの資源
第1章 新時代の核心的技術を手にした日本
第2章 激化する金属資源争奪戦争
第3章 廃棄物が膨大な資源となる近未来
第4章 世界最大級の資源を誇る日本の海
第5章 無限の資源「日本の英知」
第6章 金属資源が招く超・高度成長
あとがきに代えて