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「ねじれ」の季節 [2010年07月12日(Mon)]
参院選の結果が出ました。民主党の大敗により、また「ねじれ国会」が再現する可能性が高まりました。個人的には「ねじれ」状況をもたらす制度自体に欠陥があると思ってはいますが、憲法で定められている部分ですので、それ自体はそう簡単には変えられません。当ブログでも引き続き、「ねじれ」が政治に与える影響について考えていきたいと思います。

ねじれ国会をもたらす基本構造については↓こちらのかつてのエントリーをお読みください。

ねじれ国会についてのおさらい

以上の知識を前提としたうえで、ねじれと政治の関係について考えてみたいと思います。

唐突ですが、政権与党となることを目指す野党は、何を目標にして行動するでしょうか?

多くの方がこう答えるでしょう。「来るべき衆議院総選挙で勝つこと」と。

そのとおりです。衆議員議員総選挙に勝ち、自分の政党から内閣総理大臣を出さなければなりませんので、当然です。では選挙に勝つにはどうしたらよいでしょうか?言いかえれば政権与党となることを目指す野党の「攻撃目標」は何でしょうか?(ちなみに、ここでいちいち野党という単語に「政権与党となることを目指す」という言葉を付けているのは、総選挙において議会第一党となり、内閣総理大臣を自党から出すことを目指す野党という意味です)

答えは「内閣支持率・政党支持率を下げ、不支持率を上げること」です。現在の政権与党の政治や政策の問題点を攻撃し、「現政権は頼りない、ダメだ」という印象を国民に与えることで、次の総選挙に勝つことが必要になります。そのもっともわかりやすい指標が内閣支持率・政党支持率というわけです。

そして、もう一つの目標があります。それは、「政権担当能力を国民にアピールすること」です。野党が複数ある中、自分の党がしっかりと政治を運営できる能力があることを国民になるべくリアルに認識してもらう必要があります。

このように、大きく二つになるのですが、政権与党となることを目指す野党がもっとも力を注ぐのは前者です。そのためには政権与党の政策だけでなく、失言やスキャンダルに至るまで、すべての攻撃材料を総動員して行われます。こうした姿勢が倫理的に正しいかどうかは別にして、それが目的達成のために最も効果的なわけですから、権力を目指す政治家達が使わないわけがありません。

さて、ねじれという現象は、この「内閣支持率・政党支持率を下げ、不支持率を上げる」という目的を達成する「武器」を野党に与えます。野党は、様々な手段で政権与党にブレーキをかけることができます。(具体的には次回以降のエントリーでまた書きます)

2007年参院選後のねじれは、55年体制以降初めての本格的なねじれ状態となりました。政権与党がねじれ状態から脱出するには以下のような手段が存在します。

1野党や無所属の参議院議員を引き抜き、自分の党に入党させ、参議院の議席を回復する
2少数野党と連立政権を組むか、協力路線を敷くことで参議院でも過半数を得る
3次の参院選で勝利し、過半数を回復する
4政党の分裂を含んだ政界再編
5いわゆる「大連立」

もちろん、3がねじれ解消の手段としては王道なのですが、参院選で一度ねじれた場合、次の参院選まで3年も待たなければならないのでここでは除外します。そして、4(政界再編)と5(大連立)にしか解決方法が見込めない状況が「本格的なねじれ」です。一方、1や2の手段で解消が比較的容易な場合「軽微なねじれ」と呼びましょう。

1と2の方法は結局は“数合わせ”なのですが、ねじれている参議院の議席が比較的拮抗している場合には容易にねじれは解消されます。242議席中の半分以上をとればよいわけですから、政権与党の参議院の議席数が119議席であれば、野党や無所属から3人引き抜けば過半数を確保することができます。

実際、1989年の参院選後のねじれの場面では、自民党は公明党、民社党との協力路線(連立ではない)によってねじれ状態を乗り切り、1998年の参院選後のねじれでは自由党、公明党の連立(いわゆる自自公連立)で乗り切りました。

2007年の参院選で安倍晋三総理が率いる自民党が小沢一郎代表が率いる民主党に大敗しました。その結果、参議院242議席中、自民党は83議席、民主党は109議席、公明党が20議席と、政権与党である自民党、公明党を足しても103議席しかないという事態に陥りました。こうした状況では、少数政党との連立や無所属議員や離党議員をぽつぽつと引き抜いていくだけでは到底足りないわけです。

当時自民党は参議院で大きく議席を減らした一方で、衆議院では圧倒的多数を確保していました。2005年のいわゆる「郵政解散」において、自民党が296議席、公明党が31議席、合計327議席を確保し、衆議院の議席の3分の2を制していたことになります。

ここで思い出していただきたいのが法律案の成立要件です。衆議院を通過した法案が参議院で否決されたとしても、衆議院で再び3分の2の再議決がなされればその法案は成立します。したがって、2007年参院選後のねじれは「本格的なねじれ」ということに加えて、衆議院で政権与党が3分の2以上を握っているという非常に稀な状況が重なったわけです。

今回の参院選はこれに近い状況を生み出しました。これから2か月ほど、民主党政権のねじれ解消へ向けての動きが活発化するはずです。連立組み替えが模索されると思いますが、有力な連立の相手候補であるみんなの党、公明党は消費税問題で態度を硬化させており、容易ではなさそうです。

今後の政治の動きを展望するためにも、2007年以降のねじれ国会の展開をもう少しみていきたいと思います。
Posted by 佐藤孝弘 at 13:46 | 政治 | この記事のURL