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「鳩山政権の雇用政策の基軸 技能蓄積と生産性に的を」岩井克人、佐藤孝弘(「日本経済新聞」2010年3月19日朝刊35面「経済教室」) [2010年03月19日(Fri)]
本日の日経新聞経済教室に、標記のタイトルで岩井先生と私が雇用政策に関する記事を書いております。これは先日出たばかりの政策提言「新時代の日本的雇用政策〜世界一質の高い労働を目指して〜」を提言を踏まえ、鳩山政権が抱える直近の労働政策である最低賃金、派遣法について論じたものです。

内容はぜひお読みいただきたいと思いますが、字数も限られる中もっと詳しく説明したかった部分もありますので、ここで補足しておきます。

本文では、今後国会審議される派遣法改正案の問題点について、

「第一に、「常時雇用」の定義に関してである。現行案では、短期の有期雇用でも反復継続されると「常時雇用」扱いにすることができる。この抜け道を使えば、これまでの登録型と変わらない経営が可能になってしまう」

と述べています。

これまでの派遣法に関する報道を見ていた人の中にはこの意味がよくわからないという方もいらっしゃると思います。なぜなら、多くのメディアでは、今回の改正案については、登録型派遣は禁止され、「常用雇用」(「常時雇用」ではありません)だけが認められるという報道の仕方をしています。

多くの方は、「常用雇用」という単語から受ける印象として、派遣会社と労働者が期間の定めのない契約を結ぶタイプの契約を思い浮かべると思います。しかし、今回の改正案成立後も、そうではない、派遣会社と労働者が期間の定めのある契約を結ぶタイプの業態も維持することができます。

そもそも、派遣法の適用に関する正確な用語としての「常用雇用」というものは存在しません。

あるのは「常時雇用」される労働者という概念で、これは、厚生労働省が出している
「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の16ページにのっています。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/1.pdf

(以下引用)

具体的には、次のいずれかに該当する場合に限り「常時雇用される」に該当する。

1.期間の定めなく雇用されている者

2.一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用されている者であって、
その雇用期間が反復継続されて事実上@と同等と認められる者。すなわち、過去1年
を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き
続き雇用されると見込まれる者

3.日日雇用される者であって、雇用契約が日日更新されて事実上1と同等と認められる者。 すなわち、2の場合と同じく、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者

(引用ここまで)

以上のうち、本日の経済教室原稿でいう、「無期雇用型派遣」はこのうち1のみをさすことになります。2、3は読んで一目瞭然ですが、当事者の解釈次第でどうにでもなる抜け穴そのものです。 1と、2・3はそもそもまったく性質が違い、労働者のおかれる立場も全く異なるのに、同じ定義に入れていること自体が問題です。 ところが民主党政権はこの部分は全く変えずに今回の法改正を行うことになります。

今回の派遣法改正案にはいろいろと法律をいじっていますが、「一番重要な部分だけが抜けている法案」という評価をせざるを得ないと思います。一体誰を向いて政策を打っているのかよくわかりません。

以上の内容については、政策提言のほうにも詳しく書いておりますので、そちらもぜひご覧ください。
Posted by 佐藤孝弘 at 09:55 | 経済 | この記事のURL