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「年度内に10万人雇用創出 財源なき年越し対策」(「読売新聞」2009年10月24日朝刊3面) [2009年10月24日(Sat)]
政府が昨日「緊急雇用対策」をとりまとめました。

本文を見たい方はこちらをクリック

パッと見の感想は、これまで(自民党政権下で)もたびたびみてきたような、とりあえずの、見せかけの「緊急雇用対策」だなあというものです。なにしろ「財源なき雇用対策」とのことですからやむを得ないと思いますが、そのこと自体雇用対策を軽視しているようにしか思われません。

失業者数が460万人にもなるという中、「来年3月までに10万人」という目標設定も意味不明です。ターゲットは「貧困・困窮状態にある休職中の離職者や非正規労働者、女性、来春以降の新卒予定者など」とのことですが、要するに何でもありで、10万人なんてこれらの方々のうち、ほんのわずかにすぎないでしょう。

今回の目玉はハローワークで複数の制度申請ができる「ワンストップサービス」だそうです。この読売新聞の記事には生活保護手続きもハローワークでできるそうですが、本当なのでしょうか(緊急対策本文では「一つの窓口で必要な各種支援サービス(雇用・住居・生活支援)の相談・手続きができるようにする」となっており、具体的な内容は不明)。

他にもいろいろと書かれていますが新たな予算措置がない以上、窓口のサービス向上、運用の改善が主眼なのでしょう。ですが、生活保護にしても問題の根本は自治体の予算制約にありますので、どれだけ効果を持つかは大いに疑問です。

ちなみに「ワンストップサービス」は、聞こえは非常によいのですが、実行となると容易ではありません。私が経済産業省にいた頃、中小企業政策のワンストップサービスを目指し、全国各地に「中小企業支援センター」を鳴り物入りで作ったのですが、なかなか成果はあがらなかったように思います。

要するに、窓口でのサービスを大幅に向上させようというわけです。そのためには、既存の業務と平行して、窓口の職員の政策知識の飛躍的な向上や意識改革が必要なのですが、それは一朝一夕にできるものではないということです。ハローワーク職員は年末までにスーパーマンになる必要がありそうです。

また、「緊急雇用創造プログラム」では働きながら資格を取る介護雇用プログラム」などが掲げられていますが、介護サービス産業に人材をシフトしたいのであれば、介護に携わる方々の給料が現在のように低すぎるままではいくら政府が促しても労働者はシフトしないでしょう。

今回の雇用対策では、目の付けどころの良い点はいくつか見えますが実効性の点では甚だ疑問で、総理の本気度を疑ってしまいます。湯浅さんに派遣村を開かないでもらうための言い訳的な「緊急雇用対策」、要するにメディア対策とみられても仕方がありません。そういうことはやめて、時間がかかってもいいから、根本的な改革に手を着けたほうがよいのではないでしょうか。
Posted by 佐藤孝弘 at 14:50 | 経済 | この記事のURL