ハームリダクションHarm Reduction 危害削減 [2016年06月10日(Fri)]
先日、ハームリダクションについて勉強する機会を頂きました。
清原和博さんの薬物使用で、薬物依存の人を罰しても治療にはならないということが、あちこちで取り上げられるようになり、ようやくわが国の薬物依存者への対応も処罰から治療に移行していくのかなという感じがしています。
さて、そんな中、看護はどうハームリダクションと向き合い、理解していけばいいのか?ということをここ最近考えています。
例えば精神看護のテーマで考えると、子どもに虐待をする親やDVなどの加害者、彼ら/彼女らを処罰しただけでは、再虐待は防げませんし、暴力を振るう側もまた様々な生きづらさを抱えていてケアを必要としています。
私は加害者家族支援をやっていますが、それは加害者が更生するために家族の力が加害者のレジリエンスになり、ひいては再犯防止になると確信するから他なりません。
被害にあわれた方の保護や福利がまず先にあり、さらにこれ以上被害者を出さないために、危害削減(ハームリダクション)するために加害者のケアは必要なのだと思います。
暴力を単に罰という暴力で押し込めるだけでは人は更生していかないだろうし、やり直しの効く社会はきっと、どんな人にとっても安全な社会であるように思います。
まずは、罪を犯した人をどう受け入れるか?という自身の価値観や感情との対峙からかもしれません。人は「こうあるべき」という枠組みの中から出ることがなかなかできません。 その枠組みを取っ払い、罪を犯した人にとって最善の対応とは何なのか?ということを精神看護を軸足にしながら考えることをじっくりとやってみようと思います。
私たちは検察でも裁判官でもないです。医療の専門職として、それから社会の一員として、レジリエントな社会つくりをしていきたいなと思っています。
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家族が犯罪者になったなら [2010年06月08日(Tue)]
テレビ放映後から、犯罪加害者のご家族からよくお電話を頂戴しています。仙台以外の所からのお電話が多く、実際にお会いすることはなかなか難しいのですが、それでも電話越しに、その苦悩が伝わってきます。
電話で受けた相談を、個人が特定されない範囲で記したいと思います。
数年前に息子さんが地元で事件を起こしたというお父様から相談の電話を頂戴しました。 息子の事件のせいでお父様はお仕事を辞めたそうです。 息子は刑期を終え、仕事に就きました。しかしネット上からその事件のことと、息子さんの実名は消えることなく、ある日、事件のことが会社に発覚し、息子さんは会社をクビになりました。 地元の就職を望んでいた兄弟もまた、事件から10年近く経った今も、いまだ仕事に就くことができないそうで、行き場のない怒りを両親にぶつける家庭内暴力の日々だそうです。
「いつになったら、ネットから実名が消えるのでしょうか」と切実に訴えるお父様の声を聞きながら、刑期を終えた人の更生を望むなら、真っ当な道を歩けるような環境づくりを社会はしてあげるべきなのに、日本は更生の道が断たれるような社会なのか?と悲しくなりました。
また、刑期を終えた人は前科者であっても犯罪者ではないわけなので、普通の人として社会で生きるために守られるべき人権というのもあるのではないかな?と思ったりしました。
家族の中に犯罪者がいるということは、すなわち家族全員が将来、社会で安全に生きていくことを剥奪される、今の日本の社会はそんな社会です。果たしてそれは正義なのか?と率直に思います。
「いつでもお辛い時はお電話を下さいね。1人で悩ないで下さいね」と最後にお声かけをした時に、「ありがとうございます」と声を震わせたお父様の声がまだ耳に残っています。
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犯罪加害者家族わかちあいの会 6月のご案内 [2010年06月05日(Sat)]
犯罪加害者家族のわかちあいを仙台市内で行います。
日時:6月19日(土曜日)2時から5時まで 場所:仙台市内 詳細はお電話で説明しますお問い合わせ先 TEL: 090-5831-0810 (阿部恭子) FAX: 022-268-4042 Mail: world_open_heart.08@docomo.ne.jp今後の犯罪加害者家族わかちあいの予定 偶数月 8月、10月、12月、2月 第3土曜日14:00〜17:00 奇数月 7月、9月、11月、 1月、3月 第1金曜日18:00〜20:00
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犯罪加害者家族の分かち合いを開催します [2010年04月16日(Fri)]
犯罪加害者家族のわかちあいを仙台市内で行います。
日時:4月17日(土曜日)2時から5時まで 場所:仙台市内 詳細はお電話で説明しますお問い合わせ先 TEL: 090-5831-0810 (阿部恭子) FAX: 022-268-4042 Mail: world_open_heart.08@docomo.ne.jp今後の犯罪加害者家族わかちあいの予定 偶数月 4月、6月、8月、10月、12月、2月 第3土曜日14:00〜17:00 奇数月 5月、7月、9月、11月、 1月、3月 第1金曜日18:00〜20:00
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クローズアップ現代放映の反響 [2010年04月10日(Sat)]
7日にNHK「クローズアップ現代」で、犯罪加害者家族の支援について放映されました。 メールやお電話で感想を沢山、頂戴いたしました。ありがとうございます。
制作をご担当下さったNHK鈴木伸元さん、そして何度も仙台に足を運んでとても丁寧な取材をして下さったクルーの皆さま、ありがとうございました。
番組は一般の方にこの問題をわかりやすく提示してくれるものでした。深く考えさせられたという感想を沢山頂いています。
番組が放映される2日前に「犯罪加害者家族実態調査」の調査結果を記者発表しました。全国初の加害者家族調査だったということで新聞にも掲載されました。 この調査自体は、まずは加害者家族が晒されている現実を知ることが目的でした。 この結果をエビデンスとして、加害者家族支援のシステムが構築され、支援が全国に展開されていった時、初め てこの調査研究の意義が生まれます。
自殺予防活動をしていても「死にたいやつらは死なせておけばいい」と言われたことは何度もあります。 犯罪加害者家族支援だと言えばやはり、「なぜそんな人たちに?」と聞かれます。 でもどれも結局は社会の中で何かのストレスに晒され苦しんでいる人たちですし、私たちは誰でも、加害者家族になる可能性がありますし、「加害者家族への加害者」になる可能性はさらに大きいと思います。 そういう意味で、この問題は決して他人事ではないでしょう。
今回このように大きく報道されたことを受け、各地からこのような活動に協力したいという声を頂戴しています。
これら社会のセーフティネットは自殺予防はもちろんですが、誰もが住みやすいコミュニティづくりということで大事な視点だと思っています。
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NHKクロ−ズアップ現代 [2010年03月06日(Sat)]
犯罪加害者家族のケアについて、NHKの方々が取材に見えました。 何度も何度も東京から仙台に足を運んでいただき、私たちの活動を丁寧に取材して下さっています。
犯罪加害者の家族の支援は、時に理解を得られないこともありますが、私たちは、理不尽な差別に遭っている罪のないご家族を見過ごすわけにはいきません。
今回の取材については、今月末か来月の初めに「クローズアップ現代」で放映されるとのこと。
多くの人にこの活動が正しく理解され、罪のない人たちが孤立しないような仕組みを作れればと思っています。
最近、「お父さん(お母さん)が罪を犯してしまった子どもたちの心のケアをどうするか?」ということを考えています。 多くの子どもたちは、誰にもケアされず、ケアされるどころか、差別を受けたりいじめを受けたりしているのが現状です。 親の犯した罪に関して子どもには何の責任はありませんし、むしろ子どもたちはそのことで傷つき、被害をうける立場にあると私は理解しています。
親の犯罪を、子どもたちにいつ、誰が、どんなふうに伝え、それを伝えた後にどのようなフォローが必要か?ということを模索しているところです。
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犯罪加害者家族の心のケア [2010年01月20日(Wed)]
犯罪加害者家族のケアに関する記事が、昨日の毎日新聞に掲載され、私のコメントも紹介されました(一部の地域では、コメントが掲載されていなかったようです。関西の関係者の方、あとでPDFで送ります…(__) )
犯罪加害者家族のわかちあいをはじめて1年経ちますが、実際にご家族のお話を伺うと、その実情は深刻でした。この活動自体は容易に社会の理解を得られるものではないと認識していますが、罪を犯していない人たちが理不尽な社会的制裁を受けることは、コミュニティにとってプラスにはならないと思っています。
また、社会の中から孤立した人に手を差し伸べることは、新たな犯罪を防ぐことや自殺を防止することにつながると、私は信じています。
「一つの事件で、これ以上犠牲者を出さないために、これ以上被害を拡大させないために」という思いは被害者支援の目指すところと共通するところでもあります。
今後、実態調査を進め、また皆さんにきちんとご報告できればと思っています。
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犯罪加害者家族のケア ワークショップのお知らせ [2009年09月11日(Fri)]
間近のお知らせで、恐縮です。 犯罪加害者家族支援のワークショップが9月13日(日)に仙台市内で行われます。
身近な人が犯罪を犯してしまったら?ということを念頭に、その支援を考えます。 どなたでも参加できます 詳しくは電話090−5831−0810 メール:world_open_heart.08@docomo.ne.jp World Open Heart 阿部さんまで
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犯罪加害者家族のわかちあい [2009年06月22日(Mon)]
犯罪被害者の支援が少しずつ体制が整いつつある中、犯罪「加害者」家族のこころのケアということも少しずつ考えていかなければならない時期に来ているのかな?と思い、2月から「犯罪加害者家族のわかちあい」を2ヶ月に1回開催しています。
6月20日に、加害者家族をあつめたわかちあいを行いました。
犯罪者は罪があり、法によって裁かれるべきだと思うのですが、加害者家族というのは、罪がないにも関わらず、あたかも加害者本人かのような扱いを受けたりします。
私が実際出会ってきた加害者家族たちも、そんな理不尽な思いをされてきた人たちです。
もちろん、親の育て方が悪かったなどという「家族原因論」はあるのですが、だからと言って、家族が社会から差別を受けたり、誹謗中傷といった被害を受けることがあってはならないと思います。
わかちあいでは、加害者のご家族にそんな心の苦痛を話してもらっています。 家族が犯罪者になってしまって悲しい気持ち 社会から差別される悲しい気持ち 「犯罪を犯したその家族と一緒に死んでしまおうと思ったこともある」というお気持ちを持たれる方も少なくないです。
私は今まで、自殺に関する一次予防(啓発活動)と、三次予防(自死遺族支援)を行ってきましたが、犯罪加害者のこころのケアはまさに自殺二次予防だなと思いながら、ご家族の皆さんの苦悩と向き合っているところです。
ご家族のみなさま、20日はいろいろお話をしてくださってありがとうございました。 また、お話をお聞かせ下さい。
次の犯罪加害者わかちあいの会は8月15日土曜 2時から仙台市内で行います 詳しくは 阿部さんにまでご連絡を
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