ウガンダの娘 [2010年12月06日(Mon)]
スウェーデンに住んでいたころ、不思議な光景を見ました。
それはスウェーデン人夫婦がアジアの子どもを連れて歩いている風景です。 私の住んでいた町は人口2000人の小さな村でしたがそこにも何人かのベトナムの子どもがスウェーデン人の家族に囲まれ幸せそうに住んでいました。 日本では馴染みがないですが、スウェーデンでは子どもに恵まれない家庭が、別の国から子どもを里子として迎えて、自分の子どもとして育てることがよくあります。子どもが欲しいと望む家庭がある一方で、世界各地に貧困や戦争・内紛で子どもを養育できない家庭や紛争やエイズ・天災による遺児が多数いることをスウェーデン人は理解しており、先進国に住む自分たちのやるべきことも認識しています。 スウェーデンは人口の10%が移民で占められていますが、移民以外でスウェーデンは多くの国際養子を迎えています。1960年代末以降これまでに47000人を超える外国の子どもたちがスウェーデンの里親に引き取られ、中でも一番多いのが韓国からの養子で8500人にのぼるそうです。90年代以降は、ベトナム、中国、アフリカ、南米などから年間1000人の里子が来るそうです。 ちなみに、これらの里子制度は人身売買ではなく、子どもを手放す側と里親の間で、金銭のやりとりは禁止されています。 私は、スウェーデンの人たちが沢山アジアから孤児や難民を養子としてもらっている事実を知って大きな衝撃を受けました。 アジアの中で最も裕福な国、日本は一体、この子たちにどれだけのお手伝いして来ただろう?と、アジアの子ども達を我が子のように育てるスウェーデン人の姿をみるにつけ恥ずかしい気持ちを抱きました。 そんなわけで、スウェーデンから帰国して間もなく私は教育費を仕送りするだけのスポンサー・ペアレントではありますが、ウガンダに里子を持つことにしました。 エヴァリネ・ムシメンタという8歳の娘(里子)です。 エヴァリネの両親は健在ですが、ウガンダの情勢から彼女の家は貧しく、ムシメンタ家には子どもたちに教育を享けさせるだけのお金がないのです。 もちろん日本にも貧しい子どもたちや教育を受けられない子ども達もいるわけですが、それでも、日本は裕福な国で国内でお金を回せばなんとかなるはずなのです。 しかし、ウガンダのような国は国内で回すお金もなく、私たち先進国が支援するしかないということになります。 どんなに平等な社会を私たちが望んでも、人は裕福な家に生まれたり、貧乏な家に生まれたり、優しい両親のもとに生まれたり、虐待をするような親のもとに生まれたり、健康な体で生まれ育つ子どももいれば、病気を抱えた体で育つ子どももいます。 私たちはどんなにがんばって平等を唱えても、世の中は理不尽に不平等なのだと私は思います。 だからこそ、少しでも恵まれた人たちがやるべきことがあると思うのです。 NPOを通してエヴァリネにささやかな仕送りを始めて5年が経ちました。 彼女が、私の送ったお金で人並みの教育を受け、彼女の人生を自由に生きていってくれることを楽しみにしています。 夢はお金で買えないけど、エヴァリネが願い努力すれば叶う夢は必ずあるはずなのです。 もうすぐクリスマスです。我が家の子どもたちにサンタが来るように、エヴァリネにも遠い国から今年もクリスマスカードが届くはず。 「未来を信じて。あなたはあなたのなりたい自分にきっとなれるよ。 日本のママより」 |
Posted by
高橋聡美
at 22:29