自殺予防教育・SOSの出し方教育を色んな学校でやっていますが(今年は70校ほどでしょうか) 「命を大切に」とか「自殺はダメ」とか、「生きるって素晴らしい」とかそんな話は全然しません。 よく学校で「橋先生のこと『命の大切さの授業を今日はしてくれます』と紹介すればいいですよね?」と言われるのですが 「命の話はしません。自分と相手を大切にするためのお話をします」とお伝えしています。
自分のことを知れた。 SOSを出していいとわかった。 などの感想が多く、「自殺はだめだと思った」というような感想は皆無です。
「生徒の発言をもっとコントロールすべきだ」という感想がありました。
ただしそれは授業に関すること。 なので、学生が隣の人と私語をしていたら、「そこは今、何が気になってた?」と学生の会話をしながら授業をしていました。 ああ、なるほど、そういう見方もあるよね。と学生の意見に気づかされることもとても多かったです。
私はそれに一つ一つ応えながら授業を進めます。
最初に「この配ったワークシートをこの時間内に済ませたいから、みんながいっしょにやらないとこの授業終わらないからね、頼んだよ!(笑)」と言っているので 子どもたちだって、あれこれ、私に言葉を投げかけながらもしっかりワークを進め、授業に協力してくれているのです。 私の授業は子どもたちが作ると私はいつも思っています。 さて、この「生徒の発言をもっとコントロールすべきだ」とご意見を頂いた学校では 確かに1つのクラスで極端に発言の多い子がいました。 「そうだね、それはいいね、他の子は?」と振りながら、 沢山、発言をするその子を無視したり、「ちょっと黙ってて」ということは一切しませんでした。 そして、「はい、みんな、1回、全員、聡美さんの方を向いて、お話を聞いて」と声をかけると みんな、前を向きお話を聞くのです。 その子もそうでした。 そして興味深いことに、この子は授業の前半は多弁だったのに、 電池が切れたみたいに後半、ワークの間、寝てしまったのです。 この子、普段、学校でケアされているのかな?と感じました。 「この人は話を聞いてくれる」とわかった瞬間、すごいエネルギーで発言をしてたんだろうな、と 逆に言えば普段は「静かに聞きなさい」と言われているのではないかと思ったのです。 ワークの途中で寝ているその子に声をかけ、 「後からでもいいから、このワークやってみてね」というと、うんと言って、ちゃんと起きてワークを静かに再開しました。 あとはずっと黙って授業に参加していました。 「生徒の発言をもっとコントロールすべきだ」とご意見をくださった先生の本当の意図は文字からはわからないですが 生徒たちが自分らしく、ありのままでいることが許されない空間なんだろうということは想像ができました。 ちなみに、この学校では子どもたちの授業の後に教員研修をしました。 その時、先生方から質疑がなかなか出ませんでした。 そうしたら、管理職の方が 「はい!先生たち! アクティブラーニングですよ。 先生たちがまずやらないと!!」と笑顔で声をかけたのです。 自由に発編を促しているようで、実はこの「あるべき姿」というプレシャーが、個々が考えを述べにくい雰囲気を作っていることが伺えました。 先生たちが自分らしくいられない環境で、子どもたちが自分たちらしくいられるはずがありません。
子どもたちの「らしさ」を受け止める環境があり 子どもたちが弱音をはける、SOSを出せるのだと私は思うのです。
色んな考え方があっていいよ その安心安全があるから「聡美さんの話はおもしろかったです」という感想になると思うんです。
この時間はすごく楽しかった、これだけで自殺予防の一歩であると私には思えます。 子どもたちの感想にこんなのがありました。 「私は聡美さんのことを一生、忘れません」 |
|
自殺予防教育:見学した教師の感想
Posted by
高橋聡美
at 21:40
|