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Jimmy (05/08)
scr8888 (03/29)
「希死念慮は依存」という意見への反論 [2022年03月01日(Tue)]

「希死念慮を持つ子どもへの対応」のリモート講演での話。


聴講されたスクールカウンセラーの先生から「希死念慮は依存です」というコメントントをいただきました。


希死念慮は、うつによる思考狭窄でも起きますし、統合失調症でも自殺が多いことを考えると

「希死念慮は依存です」と断言するのは自殺予防の幅を狭めると回答しました。


そうしましたら「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では希死念慮は依存というとらえ方です」とご指導が返ってきました。


不勉強で希死念慮を依存として扱っているセラピーがあるとは知らなったです。


死にたいという子どものSOSを「依存している」ととらえることのメリットって何でしょう。


依存かどうかは別として、「死にたい気持ちがある」ことが大事で、「依存だ。どうせ死ぬ気もないくせに」という態度が、本当に死にたい気持ちに追いやるのだと私は思います。




「希死念慮は依存として扱う」に私は反対します。


ちなみにこの先生「誰しもへこむし、落ち込むことがある、誰でも人の心は折れるものだ」と私が講演で言ってる最中に、「折れない人もいる」とチャットコメントくださいました。


人の心は折れない。

希死念慮は依存だ。

子ども・若者の自殺が減らない理由の一端を垣間見ました。





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Posted by 高橋聡美 at 20:01
若者の自殺急増を考えるZOOM検討会 初日報告 [2021年09月26日(Sun)]


2年目のコロナ禍 若者の自殺急増を考えるZOOM検討会、本日1回目を終了しました。


この3年の自殺の動向をデータで示し、渋井哲也さんがさらに自殺の動機や「場所」について解説

今日はスペシャルゲストとして愛知の小学校で先生をしている野々山さんに、自殺予防教育の実施状況について解説をしてもらいました。

ディスカッションでは、教育関係者・行政・親子支援の方・助産師さんなど多方面の方と意見交換ができ、

私自身「そうか、そういうこが起きているのか」と、みなさんから学ぶことの多い検討会でした。


個人的には、ここ1か月は若いママ世代の自殺の相談が増えており

子育てが孤育てになっていることを感じています。

コロナ禍で

*産前産後の手伝いを実家からもらえない

*子育てサークルなどのママ同士のつながりがなくなっている

*保育園や学校が休校でママ業はさらに激務化

*外に連れてもいけない

*お父さんはテレワークで、子どもを静かにさせないといけない

などなど、いろんな実態があります。

 

「若いママの自殺はシングルマザーの経済問題でしょ?」などという

ステレオタイプな解釈をしている限り、自殺予防はできないと感じます。



明日2回目の検討会も同じデータをお示ししますが、参加される方たちのバックグランドでディスカッション内容が違うので毎回、勉強になります。

そして自殺の原因要因が多様であることを踏まえると、このように多職種での議論が必要であるということを再確認しています。

スライド1.JPG

Posted by 高橋聡美 at 19:55
学校における自殺・自殺未遂についての検討会 [2021年08月01日(Sun)]


ここ数ヶ月で、全国の小・中・高から相談があり、個別に自殺、自殺未遂案件相談を受けています。



中学生の相談が増えているのが特徴で、


少なくとも私が相談された全てケース、「死にたい」と周囲に漏らすことなく亡くなっていました。


むしろ「普通に元気だった」と。



私が学校からあるいは本人から相談を受けている「死にたい」と言っている子たちは


ほとんど家庭で様々な生きづらさをかかえています。


親とうまくいかない(多くは母子関係)、親がわかってくれない。と。


学校は行きたくないわけでもないし勉強もしなきゃいけないのもわかってるけど、行けない。と、不登校になる理由も自分でもわからないという子も多いです。



また、「あの先生が大きな声を出すのがイヤ」というような学校に行きたくない理由のあるケースでも


家庭の中で大きな声で夫婦喧嘩やD Vのある子で、


先生がというより、大きな声に反応して学校に行けなくなるようです。


そんな子達の多くが、「他の子が叱られているのを見るのもつらい」と言います。



このような場合「学校に行きたくない理由」にされた先生も心理的に追い込まれますので、


児童生徒のカウンセリングはもとより、教員のサポートも必要となります。


もちろん、そもそもの原因である家庭問題はスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーと協働して介入できるといいなと思います。




それと、これも複数相談があるのですが、保護者が外国籍で、日本の教育システムがよくわからず、親子で混乱してしまうケースです。


日本語が母国語でない保護者さんにはより丁寧なサポートが必要と思われます。


外国籍の保護者さんたちは、日本のお母さんたちに引けを取らないようにと頑張りすぎる傾向があり


誰にも頼らないで頑張ろうとしたりします。


その頑張りを子どもにも強いたり


子どもの成績が良いことで自分の海外での子育ての「成功」を実感したがります。


肩の力を抜けるといいなと思います。




たいていの場合、親と子どもでも見えている情景が違います。


つまり、親が「問題」と思っていることを子どもは「問題」と思っておらず


子どもが「問題」と思ってことを親は問題とは思っていないことがよくあります。


例えば、親は成績が悪いことや不登校気味なことを「問題」と思ってて、


子どもは「なんで、自分がそういうことになってるのか、わかろうとしない親が問題」と思っている


そんな感じです。



学校の先生と児童生徒の間でも同じようなことが起きています。


例えば、ある子が親子喧嘩をしてリストカットをしました、もしくはピアスを開けてきましたという時に


「困りました」と先生は私に相談します。


「先生たちは何に困っておられますか」と聞くと


「だって、先生それはもう進路の問題ですよ


とおっしゃるのです。


おそらく、子どもはさしあたって進路問題にはぶつかっておらず


親子関係で困っていて、その相談先もなく体に傷をつけているのだと思うのですが


先生たちはその先の先に起こるかもしれない進路について心配しているわけです。



子どもと大人と見ている風景が全然違うと感じます


子どもの自殺が増えている一方で大人たちは子どもに何が起きているか、


子ども達に聞かないで、自分たちの価値観で解決しようとしているのかもしれません。




ケース検討会でも経緯を詳細に書いた資料が配られ、先生たちは私にこう聞きます。


「あの子は何に困ってるんでしょうか」


「どうしたらいいかわかりません」



私もわかりません。とお答えしています。

だって、私はその子じゃないから。


「何が一番しんどいか、何に困ってるか?本人はなんと言ってますか?」と尋ねると


「聞いてません」と


聞いてみてください。先生達で話し合ってもその答えは出てきません。


本人の話を聞いてあげてください。


何をしたらいいかも、私たちにできることは何かを「私たちに何ができる?」「どうして欲しいか」を聞いてみてくださいとお伝えしてます。



できるサポートはやる


できないサポートはどこかにつなげる。


教師に限らず、おそらくたち私たち大人は子ども達が起こしている「問題行動」にだけ目が行き、それをコントロールすることに翻弄し


こちらの心配や要望を伝えるばかりで


その子の話を聞いていないんだと思うんのです。


どうたらいいかわからない時はまず


子どもの情景を見させてもらう。


そして、私が何をすべきかも聞いてみるといいと私は思っています。


子どものことを考えるのにその子の話を聞かずしてその子の理解はできません。


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Posted by 高橋聡美 at 10:08
子ども・若者の自殺の動向 2021年になってどうなっているか [2021年05月01日(Sat)]

【コロナ禍の子どもの自殺 その後】

コロナ禍で子どもの自殺が増えたという報道が昨年末から出始めました。

「子どもの自殺が増えている」と夏から言い続けてきた私としては「やっと認識されるようになった」という思いです。

文部科学省も数字を具体的に上げてどれくらい増えたかなどをHPで公表しました。



ところが、報道がいったん収まると、「去年は自殺が増えたね」という過去形になっている雰囲気があり、子どもの自殺対策、油断しているように感じてなりません。

年が変わっても年度が替わってもコロナ禍の状況は変わっておらず、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が各地でとられ、むしろ自殺対策は今まで以上に危機感を持ってなされるべきであると思っています。

ゴールデンウィークという長い休み。

家庭内に問題を抱える子や、家に居場所のない子どもたちのことが気がかかりです。さらに、リモート授業となった際のIT格差による学習機会の格差の拡大も懸念されます。


2020年の自殺者数の確定値が厚労省のHPに公開されましたので改めてデータを紹介し、子どもの自殺対策について記しておきたいと思います。




2019年と2020年の比較】

2020年は11年ぶり自殺が増え、前年比で912人、4.5%増でした。

全体的に増えた印象があるかもしれませんが、実は男性の自殺は前年より少し減っていました。ただし未成年男性の自殺は5.7%増でした。


女性は成人も未成年も増加しています(成人女性14%増、未成年女性は44%増)

9月ころから私は若い女性の自殺が緊急事態だと発信し続けてきましたが、結果的に前年216人が2020年は311人、前年比95人増となってしまいました。


日本全体で2019年から2020年で912人自殺が増えているのですが、このうち10代と20代の自殺が522人:57%を占めています。


つまり、2020年の自殺は若者、とりわけ女性への自殺対策が不十分であった結果と考えられます。



2021年、3か月の動向】

<中学生>

2021年になってから1月は減ったのですが、2月、3月とまた増加しています。

前年・前々年比でも差はありません。


<高校生>

減る傾向にはなく、とりわけ女子高校生は高い水準で推移しています。

女子の昨年の1〜3月の自殺者数は25人でしたが、今年はすでに31人になっていて、依然、厳しい状況と考えます。


<大学生>

中高校生より深刻な状況にあります。

昨年、1389人が今年は116人(27人増)

女子大学生が昨年、1319人が今年は38人。
数は男子大学生より少ないのですが、2倍という増え方なのでとても気がかりです。


3か月だけの推移で、増えた・減ったという議論は難しいのですが、私がみなさんにお伝えしたいことは2点です。


*1点目 現在進行形の問題としてとらえる
「去年は増えた」ではないのです。その前から若者の増えていて、コロナ禍で状況が悪化した。コロナ以前から対策ができていなかった部分が露呈したということです。
さらに、「去年は増えた」過去形ではありません。
年が変わったからといって、子ども・若者を取り巻く環境は良くなるどころか、悪くなっています。現在進行形の課題なのです。


*2点目 とにかく大人が行動すること

今年になってようやく「子どもの自殺が増えた」と数字が表に出るようになりましたが、私は昨年夏から「このままだと増え続ける」と言い続けてきました。


増えてから「増えました」では遅いのです。


今、ちゃんと大人たちがこの数字を受け止め、これ以上、子どもたちが命を落とさないように行動しなければなりません。


子どもたちの自殺は大人の責任他ならないと思うのです。


なので、できるだけ早い段階で周知・対策、コミュニティで何ができるかをみんなに考えてほしいと思っています。

国の対策を待っている場合ではなく、コミュニティの子どもたちの事情に合わせたきめ細やかな対策が必要だと思います。
とにかく、地域ごとに分析をしっかりして対策を練るしかないと思います。

 


【対策として何をすべきか】

2021年、やはり、女の子の自殺が減っていません(減るようにとても思えない)

自粛はまだ続きますし、虐待やDVは自粛で良くなるはずもなく、自殺の数はこのまま高止まりか増えると私は予想します。

安全でない家庭の子どもたちにこれ以上我慢だけ強いるのは社会として、大人として無責任だと私自身は感じています。
家に居場所のない子、家で勉強ができる環境にない子、オンライン環境にない子、こういう子どもたちにはステイホームではなく、家の度とで過ごせる救済措置をしっかりとっていかなければならないでしょう。

先生方もオンラインの授業の準備などに追われ、子どもの様子まで目が届かない状況にあると思います。

なので、市内の教員同士でオンライン教材ツールをシェアして教材つくりの負担を減らし、その分子どもに目を向けるなどの対応が必要だと思われます。


大学生の自殺の増加についてはなぜ増えているのか、しっかりと分析が必要だと思います。
とりわけ大学生は自治体だけではなく大学側も対策を練らなければなりません。

児童生徒学生の中でも大学生が一番、リモートの授業が多く孤立しがちです。
就職もせまり「モラトリアム」の終わる世代でもあります。
後がない上に、誰かに相談できる環境にないのです。




どの年代にも言えることですが、「男子が増えた・女子が増えた」だけでは具体的な対策は練られません。

何が理由で追い詰められているのか、そのために何ができるのか、一つ一つ丁寧に対策をするしかないのだと思います。


昨年末に私は『教師にできる自殺予防』という本を出しましたが、この本の中でも、昨年10月までのデータで強い危機感を持ってコロナ禍の自殺のことに触れています。

あの時点で、もっと大人たちが危機感を持って対策していたら、と悔やまれてなりませんし、「年が明けたから減るかも」というような、根拠のない楽天的な考えが子どもたちを見殺しにするのだと私は思っています。


私もできることをやっていきます。

こうしてブログに記すことも私にできることの一つです。

この記事を読んで、あなたにできることを考え、行動してくださることを願っています。


それぞれの立場でできることには限りがある。微力かもしれない。でも無力じゃない。

私自身、子どもたちの命を守るための努力を惜しまないようにしたいと思います。



子どもの自殺の現状についてはグラフなどを用いてZOOMセミナーで解説します。
詳細はこちらをご覧ください。
https://blog.canpan.info/satomilab/archive/369



Posted by 高橋聡美 at 22:02