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BBCの記事から考える自死報道のありかた [2021年02月19日(Fri)]

BBCで日本で自殺者が増えている報道がなされ,Webでも配信されました。


その中で、昨年、自死したある著名人の名前と写真が掲載されており、あたかもその人の自死が日本の女性の自殺の増加につながったかのような記事になっていました。


【個人名をあげることの害について】

2020年は色んな著名人が自死で命を落としました。

にもかかわらず、BBCの記事は特定のひとりの著名人の名前を挙げて、故人を写真入りで紹介していました。


日本の有識者(dedicated to combating Japan's suicide problem)のコメントもあって、残念ながら、その方も自殺の増加をその著名人の影響だという論調にとどまるのみでした。


自死報道によって自殺が増えるいわゆる「ウェルテル効果」が、2020年の日本の自殺の増加の「要因の一つ」であったことは確かだと私も思います。


ここで問題にしたいのは、「自死報道が自殺の増加に影響を与えた」ということを論じる際に、個人名やその人の写真まで掲載する必要があるのかということです。


自死報道の在り方については、誘発自殺を防止するために、原因を特定しない、写真を掲載しないなど様々な議論がなされてきました。

そんな中での今回の記事は、

@日本人の女性の自殺が増えたのはあの著名人の影響と理由を限定的に報じてしまっている

A個人の名前や写真など、自死報道の議論に直接関係のない情報まで出ている

という点において非常に問題だと感じています。



【自死報道が遺族に与える影響】

この報道を目にしたご遺族や関係者は、身内の自死で自殺がこんなにも増えてしまったと罪悪感やうしろめたさを抱くことでしょう。

遺族への配慮に欠ける記事であると断じたいです。


このような自死報道が自死遺族を生きづらくさせていると、私たちはこれまでも学んできたはずです。

本当にBBCの記事は残念に思えてなりません。


国内の報道でも「あの人は小さな子供がいたのになんで自殺したんだろう?」というような、コメントがよく出ますが、

その言葉を聞いた子供は「自分は親の自殺を止める存在になれなかった」という想いを抱きながら、生きていかなければならなくなります。


このように自死報道は、様々な形で遺族を二次的傷つき体験に晒すリスクがあるのです。



【自死が起きた後、私たちがとるべき行動】

1人の自死で沢山の人が、底知れぬ悲しみを抱きます。

みんなが傷つきます。

なので、犯人捜しをして誰かを責めるとか、今回のBBCの報道のように名指しや写真入りで「この人の自殺の後自殺が増えた」と書くことは、遺族を生きづらくさせるだけです。


自殺が起きた後に、私たちが立ち戻るべき軸足は「もうそれ以上誰も傷つかない・もうそれ以上誰も死なない」ということです。


日本人の自殺をどうしたら減らせるか、その原因追及は必要です。

けれども、誰のせいと個人名を出すことは、新たな心理的危機を生みます。


自殺が増えている中、改めて自死報道を考えていかなければなりません。


「その人が自殺したから自殺が増えた」、ではないです。

「自死報道のあり方が人々を刺激したから自殺が増えた」んです。


グリーフの中にあるご遺族を苦しめないように。

社会の問題を亡くなった方の問題にすり替えたりしないように。





BBCの記事は自死報道としてはよくない記事なので拡散防止のためにリンクは貼りません。


Posted by 高橋聡美 at 23:54
自殺の報道の影響について 知っておきたいこと [2020年09月28日(Mon)]
<自殺の報道の影響について>
芸能人の自死が相次いで、みなさんの心も普段より不安定になっていると思います。

かつて、1980年代にアイドルが飛び降り自殺をした際に、若者の自殺が増えました。
当時の報道は遺体がまだある自殺現場をそのまま報道していたりしたため、世の中に大きな衝撃を与えました。
また、自殺の手段も報じられ、この報道以降、同じような手段での自殺が相次ぎました。


マスメディアの自殺報道に影響されて自殺が増える事象を、自殺学では「ウェルテル効果」といい、特に若年層が影響を受けやすいとされています。
ウェルテル効果は単に、その人を思って自殺する「後追い自殺」だけを指すのではなく、その報道に触れて自殺する「誘発自殺」も含みます。
ここ数カ月の芸能界の自殺は、ファンも沢山いただろうし、ファンでなくても日ごろ私たちがよく目にする方であったり、何もかもうまくいっているように見えていた方たちだったりしただけに、ファン以外への影響も大きいように思います。

私自身、彼・彼女らは輝いて見えていましたので、本当にショックでした。


自殺の報道の影響に関しては過去の研究で
1. 自殺が大きく報道されればされるほど自殺率が上がる。
2. 自殺の記事が手に入りやすい地域ほど自殺率が上がる。
ということが分かっています。
WHOは自殺報道でしてはならないこととして
1.遺体や遺書の写真を掲載する。
2.自殺方法を詳しく報道する。
3.単純化した原因を報道する。
4.自殺を美化したりセンセーショナルに報道する。
5.宗教的・文化的な固定観念を当てはめる。
6.自殺を非難する。
ということをあげています。


80年代のアイドルの自死の時は、遺体の写真を添えながらセンセーショナルに報道したほか、自殺の方法を詳しく報じ、さらに「恋に殉ずる自殺」というような美化をしました。
結果、その年の若者の自殺は前年より245名増えています。この翌年は225名減っておりこの年だけ増えたわけです。


ここ最近の芸能人の自殺報道は、80年代の報道よりは改善されており、記事の後や放送のあとに、相談窓口の紹介もできています。

しかしやはり、ニュース速報で流れ衝撃的に報道されたり、自殺の手段を詳しく報じたり、原因を単純化したりという傾向が散見され、自殺を誘発する報道になっていると言わざるを得ません。


手段や場所などを報じると、憧れの人と同一化したい人たちを同じ方法・場所での自殺に導く危険性や、自殺を考えている人たちが「その方法・場所なら死ねるんだ」と模倣する危険性が出てきます。

自殺への偏見はあってはならないことですが、一方で自殺を美化することは「自殺は人に認めてもらえる行為」と、自殺へのハードルを下げてしまうので、美化することは自殺を誘発します。

また、自殺の原因は決して一つではありません。
仕事に悩みがある・産後うつ・ネットでの誹謗など自殺の原因を一つにしてしまうと、同じ状況にある人が、やはり死ぬしかないのかなという思いに駆り立てられたりもします。
さらに限定することで、自殺の原因となった「人」が、今度は心理的危機にさらされ、自殺のリスクが上がります。 1つの自殺に4つ以上の原因があります。
原因を一つにせず、犯人は探しをすることのないように、自殺が起きた後、私たちが気を付けなければならないことの一つです。



<今、私たちがやるべきこと>
まず、このことで動揺している人のサポートをしてください。
話を聴いてください。そしてできるだけ報道などを見ないように勧めてください。

皆さん自身も、心に重いものがのしかかっていると思います。
皆さん自身も、自分の気持ちを誰かに話してください。自分を癒してください。

コロナの影響で効果的な気分転換ができない状況ですが、LINEや電話やSNSで誰かとつながっていてください。
誰かとつながっていることは「命をこの世につなぎとめること」につながります。

あなたの命を守りたいと思っている人は必ずいます。
あなたの手を絶対に離さない人がきっといます。
あなたの心の中に浮かんだ人に連絡をしてみてください。

つながっていましょう。

つながっている限り、大丈夫。
Posted by 高橋聡美 at 13:55
自死遺族ケアシンポジウム in 神戸 [2011年02月24日(Thu)]
2月20日(日)に自死遺族ケアシンポジウム(厚労省主催)が神戸で開催されました。

我が国の自死遺族支援をリードしてきた全国自死遺族総合支援センター、自死遺族ケア団体全国ネット、全国自死遺族連絡会のそれぞれの代表がシンポジストとしてお話をされました。私自身、遺族支援をするにあたって、「当事者」と「支援者」の壁に度々ぶつかってきましたが、そのような立場の違いを越えて今、自死遺族支援は「総合支援」の段階に来ているのだと思います。その意味において、立場の違う3団体が一堂に会した今回のシンポジウムは意義深かったと思います。

<総合支援>
従来、自死遺族支援は「わかちあい」などによる心のサポートをメインに展開してきましたが、生活支援も含む「総合支援」のフェーズにやってきたと私は感じています。
全国自死遺族総合支援センターの杉本脩子さんが「違い探しではなく、共通点を探すこと」「心情の共有は難しくても問題意識の共有はできる」ということをシンポジウムで話されましたが、自死遺族の抱える問題は、法律・経済・教育・医療・・・と多岐に渡ります。遺族の声に耳を傾け、色んな立場を越えて問題意識を共有し、それぞれの専門家がネットワークを組んで総合支援を構築していく必要性があると思います。

今の自死遺族支援は、遺族が必要としている支援が必要な時に届いているとは言い難く、わかちあいの充足だけで満足することなく、生活全般を包括できる総合支援システムを考えていかなければならないと思います。

<遺族のレジリエンスと自律(Autonomy)>
基調講演で清水新二先生(奈良女子大学名誉教授)が「自死遺族支援の目指すところは自律(Autonomy)である」ということをおっしゃっていました。
自立ではなくあえて自律という用語を使われたわけですが、Autonomyつまり主体性あるいは自治というニュアンスが含まれます。

何事でも支援をする際には、その人がその人らしく生きることが目的で、支援の主体は当事者でなければならないと思います。つまり、支援者が「こうすることでこの人は自立できるだろう」と独りよがりの支援を提供するのではなく、自分の人生を主体的に選ぶことができる裁量が本人にゆだねられているということが大事なのだと思います。

遺児支援では「主導権は子ども達」「ファシリテーターが何をすればいいかは子ども達が教えてくれる」ということが強調されますが、これは全ての支援の原則と言えるでしょう。

レジリエンス(潜在的回復力)という言葉が最近、よく使われますが、遺族が自律できること:いかに自分自身の人生を自分自身でコントロールできるかということは遺族のレジリエンスによるところが大きいと思います。

指定発言でリメンバー福岡の井上久美子代表が「想像は現実を越えることはない」とおっしゃっていました。私たちがどれだけご遺族の心情を理解しようと思っても、それは想像するしか方法がなく、その現実は私たちの想像をはるかに超えるものだと思います。だからこそ、私達ボランティアは当事者の言葉にきちんと耳を傾け、独りよがりではない支援を構築するべきなのでしょう。

私の人生は私自身のものであり、あなたの人生はあなた自身のものである。
相手の自律を助けるという作業はすなわち、相手の全てをリスペクトすること他ならないと思います。
Posted by 高橋聡美 at 12:04
医療者と考える自死遺族支援報告 [2011年02月14日(Mon)]
2月6日に行われた「医療者と考える自死遺族支援」報告第2弾。

医療者が遺族と遭遇するパターンとしていくつか考えられます。ひとつは病棟内で自死するケース、救急で企図者が搬送され亡くなるケース、あるいは自死遺族が心身に不調をきたし入院してくるケースなどなどです。

今回のワークショップでは、遺族が精神科に入院したケースと、患者さんが入院中あるいは外来加療中に亡くなったというケースについて主に議論がなされました。その中で私が感じたことを。

<入院して来られた患者さんが自死遺族であるケース>
入院された方が大切な人を自死で亡くされているかどうかということは、入院時の情報収集(アナムネ)時などに把握しておく必要があります。
ある精神科病院では患者の3人に1人が身近な人を自死で亡くしている病棟もありました。
しかし、せっかく自死遺族かどうか情報収集はしたものの、そのことに触れられないというのが今の臨床現場の現実かと思います。

そのことをことさら大きく取り上げ根ほり葉ほりと聴くのも、不自然ですが、患者さんが話したい時に話せる雰囲気づくりというのは必要かと思います。

例えば、自死遺族のサポートに関する情報リーフレットを病院内に置いておくなど、自死に関する話を病院内でタブーにしないことがまず大事だと思います。自殺予防デーですら、そのことの院内告知がされていないというのが今の精神科病院の実情ですので、まずは掲示物は配布物などで「入り口」を作っておくことは必要でしょう。

明らかに身近な人の自死が原因で精神的に不調をきたしている患者さんの場合は、きちんとその話を聞くことも大事になってきます。身体の傷と同様、「その傷を見ずして傷は癒せない」と私は思うのですが、患者さんが何に心を痛め、何を苦痛に思っているのかということを彼らのペースで話してもらいながら一緒に考えて行くという姿勢が医療者には求められているように思います。

<入院中(外来通院中)の患者さんが自死したケース>
私も精神科・心療内科で働いた7年半の中で6事例このようなケースに遭遇しました。1年で約1事例に遭遇したことになります。

私の受け持ち患者さんが亡くなったこともありましたし、夜勤の見回りの直後に縊死されたこともあります。
その時の私に、なにかフォローがあったかと言うと何もなかったです。縊死を発見した夜勤を3時に終え、恐怖で眠れぬまま翌朝8時からの日勤に出かけて行ったこともありました。なんで自殺のサインに気がつかなかったんだろう・・・と、どれだけ自分を責めたことが知れません。私が23歳の時の出来事でした。

このように、心理的に衝撃を受けているスタッフに対して何もケアをしてこなかった医療の現場があります。このことはこのことで、きちんと組織的にフォローしていく必要があると思います。

その一方で、このように入院中に自死でお亡くなりになられたご家族に対して、医療の現場が何をしてきたかというと、医師がその死因を伝え、それ以上でも以下でもない対応がされてきたように思います。それどころか、「すみませんでした」と謝ってしまうと訴訟になりかねないという話しさえ現代においてはあり、ご遺族と医療者の溝は深まる傾向にあります。

ご遺族が「入院させたからもう安心と思っていたのに、なぜ病院で自殺しなければならなかったのか」と感じたり、あるいは、「精神科にかかればよくなると思っていたのに」と感じるのは当然のことで、そこの「なぜ」に誠心誠意お答えすることしか、両者の溝を埋める方法はないように思います。

遺族のわかちあいをする中で、精神科医療に対する不満は少なからず聴かれます。
「受診した先々で病名が変わった。誤診だったのではないか?」、「薬だけがどんどん増えて全然よくならなかった」などなどです。精神医療の現場を知っていれば、セカンドオピニオンが変わる可能性が他の診療科に比べて精神科は高いことや、同じ疾患でも出せる薬の種類が多いことはある程度は理解できるのですが、そのプロセスの中で医療者と患者・家族とのコミュニケーションが少ないことに端を発し、さらには自死後の説明も不十分で、ご遺族の不満が高まるのだと思われます。

患者さんが自死で亡くなった時、私たち医療従事者にできることは、哀悼の意をお伝えすることと、誠心誠意、病院で何が起きたかを繰り返し説明することだと思います。

もちろん、そこで「医療の落ち度である」という話にもなるかもしれません。しかし、医療訴訟先進国のUSAの医療現場においても、「事実を隠さない」という大前提がそこにはあります。

課題は多く、現場の意識の改革も時間がかかると思いますが、ご遺族の心と共にあってこそ、人の命を預かる専門職だと言えるのだと思います。
Posted by 高橋聡美 at 17:25
自傷と自殺 [2011年02月13日(Sun)]
2月6日に飯田橋で医療者と考える自死遺族支援と題したワークショップを開催しました。
20名の医療従事者が集まり、医療が抱える自死にまつわる問題点や今後の課題、さらには医療従事者にできる自死遺族支援についてみんなでディスカッションをしました。

ワークショップに先立ち、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(自殺予防総合対策センター 副センター長/薬物依存研究部 診断治療開発研究室長)の松本俊彦先生に自傷と自殺について講演を頂きました。

精神科で働いているとリストカットを繰り返す患者さんと出逢いますが、医療従事者は「またか」とか「どうせ死ぬ気なんかないんだろう」といった、陰性感情を抱くことがあります。(ガッデムシンドローム)
あるいは「人の気を惹くためにやっているんだろう」と思うことも多々あります。

松本先生は「リストカットは気を惹く行動ではなく、心の痛みを麻痺させるための行為です」と話されました。

実際、なぜリストカットをするか?という問いに対して半数以上の患者が「不快感情への対処」と答えているそうです。不快感情の対処行動としての自傷行為であれば、放っておけばいいのではないか?というとそういうわけではありません。
自傷行為をすることでいわゆる脳内モルヒネが分泌され、心の痛みに対する鎮痛効果が生じたり、自傷行為によって周囲が気を配ってくれたりすることにより、自傷行為がアディクション化します。また、繰り返すごとに耐性が上昇するため、自傷がひどくなるということでした。

自傷行為をされた場合、私たちはどのように声かけをしていいか、戸惑うことが多々ありますが、その傷を見せに来てくれた時はSOSのサインだということを認識して、患者さんと向き合う必要があります。
打ち明けてくれた患者に対し「自傷行為をしてはダメ」と頭ごなしに言うのではなく、まずは「よく言えたね」と援助希求を評価・支持すること、そしてそのような行動を起こさなければつらくて仕方のない状況にあることに対し共感し、存在を肯定することが大事となります。

10年前の精神科領域ではこのようにアクティングアウトを起こす患者には「治療契約」を結び、約束が守れなかったら退院して頂くというような治療がなされていましたが、自傷を繰り返しSOSを求めている人の手こそ、私たちは離してはならないのだと思います。

自傷行為に対する正しい理解と、ケアがなされるように心から願っています。
Posted by 高橋聡美 at 22:03
医療者と考える自死族支援 [2011年01月29日(Sat)]
自殺対策における医療の果たす役割は、啓発・要因となる精神疾患のケア・未遂者ケア・自殺が起きてしまった後の遺族ケアと多岐にわたります。

私が自殺予防活動をしようと思ったきっかけの一つに、新卒時代に受け持ちだった当時18歳の青年を病室で自死で亡くしたという経験があります。
ご遺体が運び出された後の空っぽになった彼の病室の窓から、青空にくっきりと浮かぶ飛行機雲を眺めたことを今でもよく思い出します。

患者さんからみた医療の抱える問題は沢山ありますが、それと同じように私たち医療従事者が抱える苦悩も沢山あると思います。自殺にまつわる課題や取り組みを皆さんとディスカッションするために、下記の企画をいたしました。
関心のある方は是非ご参加ください。


ワークショップ「医療者と考える自死遺族支援」
日  時:平成23年2月6日(日)10:30〜16:30

内  容:講義とグループワーク(敬称略)
*医療に関わる自殺対策〜自殺の基礎知識 
 講師:松本俊彦(自殺予防総合対策副センター長)
*医療の中での自死遺族支援への期待
 1)行政から見る医療への期待 
   講師:白川教人(横浜市こころの健康相談センター長)
 2)遺族の集いに寄せられる声から 
   講師:杉本脩子(NPO法人全国自死遺族総合支援センター代表)

コーディネーター:
 山口和浩
 (NPO法人全国自死遺族総合支援センター理事・
  NPO法人自死遺族支援ネットワーク代表)
 高橋聡美
 (仙台青葉学院短期大学 精神看護学)

会  場:飯田橋レインボービル 会議室 (東京都新宿区市谷船河原町11 飯田橋駅下車5分)

対  象:医療従事者、医療関係の有資格者、医療系の研究者・学生等で自殺対策、遺族支援に関心がある方。 資格の種別は問いません。

募集人数: 30人

募集期間:平成23年1月6日〜平成23年2月4日

応募要領:別紙に記入後、郵送・FAX・メールのいずれかで申込んで下さい

参加費 :無料


申込先 :NPO法人全国自死遺族総合支援センター
〒102-0071東京都千代田区富士見2-3-1信幸ビル302 
NPO法人ライフリンク内
電話03-3261-4350 090-1794-9356 FAX 03-3261-4930
メール office@izoku-center.or.jp


Posted by 高橋聡美 at 15:12
自殺未遂者ケア研修 [2011年01月16日(Sun)]
自殺未遂者ケア研修が医療従事者を対象に仙台市内で開催されました。
約50名の受講生が講習を受け、事例を通してのグループワークを行いました。

多くの自殺企図者が病院の救急に搬送されますが、果たしてそれが自殺企図なのか事故事件なのかという判断は、なかなか難しいことがあります。
その判断をどのようにするか?本人や家族にどのように対応するかということが前半のレクチャーでありました。
今回の講習の内容は自殺未遂者への対応 救急・外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引きに基づくものでした。

この手引きの中には、自殺未遂患者ケアの全体の流れや、救急医療の現場での自殺未遂患者への対応のフローチャートなど、実際の現場で具体的に何をすればよいかということが示されています。

自殺未遂者が搬送され、入院してきた時に、従来の医療従事者はそれが自殺企図であったのか?とか、まだ死にたい気持ちがあるのか?といったことを患者に確かめることを躊躇してきました。

このような現場の戸惑いに答えるべくこの手引きでは、TALKという以下の原則をあげています。
 Tell;誠実な態度で話しかける
 Ask;自殺についてはっきりと尋ねる
 Listen;相手の訴えに傾聴する
 Keep safe;安全を確保する


私たち医療従事者は、自殺未遂をした人に対して、腫れものに触るように接したり、その話題を私たち自身が抱えきれないが故にその話題をさけたりしますが、自殺企図をしたことは事実であり、その結果、病院に搬送されたことは現実のことなので、患者と共にそこにきちんと向き合うべきなのです。そのことなしで、再企図防止は成しえません。

この手引きは好ましい対応とやってはいけない(意味のない)対応についても言及しています。
好ましい対応例として以下のような声かけがあります。
 「とてもたいへんな思いをしたのですね」
 「とっても辛かったのですね」
 「話せる範囲で構わないので、私で良かったら話していただけますか」など
   

逆にやってはいけない対応例としては
 言 語
  「こんな方法じゃ死ねないよ」
  「死ぬ気になれば、なんでもできるでしょう」
  「自殺は、してはいけないことだ」、など
 態 度
  「他にも命を助けたい人がいるので」と忙しいそぶりをする
  「ここ(救急部)に入ったから大丈夫でしょ!」と相手にしないなど

以上のような紹介があります。

自殺の問題は精神科領域だけではなく、救急、外科、内科などなど全ての科に関係する喫緊の課題です。
より多くの医療従事者が自殺についての正しい知識とあるべき対応を実践できることを願ってやみません。
Posted by 高橋聡美 at 19:54
大切な人を自死で亡くすこと [2010年11月17日(Wed)]
連日、松平健さんの奥様の自殺の報道がされています。報道で知る限りでは、色んな困難を抱えての自死だったとのこと。心よりお悔やみ申し上げます。

松平さんのコメントで私が印象的だったのが「いろいろな病院にもかかりましたが、結局、心通じ合う医師とはめぐり合うことができませんでした。」という言葉でした。

厚生労働省のキャンペーンのおかげで以前より国民は精神科につながりやすくはなっているのですが、つながった先の精神科で理解してもらえなかったという体験をする患者さんは少なくないです。

日本の医師が1日に診察する患者さんの数が多いということもあり、一人ひとりの患者さんやご家族に親身になってとことん向き合える余裕が今の日本の精神科医療にはありません。

もちろん、時間の問題だけではなく、病院のスタッフの対応の問題もあるとは思います。

「死にたい」と思った人がつながった先に、「心通じ合う精神科医療」がなくてはなりません。
一人一人の痛みに向き合えること、一人一人の悩みを親身に聞けること、とても単純なことではありますが、その単純なことをまず丁寧に丁寧に行ったそのまた先に「専門性」があるように思います。

いえ、もしかしたら、その単純で大事なことをいかなる時でも実践できることこそ、精神看護の専門性なのかもしれません。
Posted by 高橋聡美 at 22:06
自殺対策 秋田市民フォーラム [2010年10月17日(Sun)]
昨日、秋田市の自殺対策フォーラムに参加してきました。

私からはスェーデンの自殺対策の話をさせて頂きました。

スウェーデンは15年ほど前から国家プロジェクトとして自殺対策を行い、自殺を確実に減らした実績があります。
しかし、私自身がスウェーデンで暮らして感じたことは「特別なことではなく、誰もが住みやすい社会の作りをやった結果として、自殺率が減ったのではないか」ということでした。

<雇用政策>
スウェーデンの経済状況は1990年代から厳しく、失業率も上がりました。
日本では、失業率が上がるのと同じように男性の自殺率が連動して上昇するのが常ですが、スウェーデンは失業率が上昇するさなか、自殺率が減っているのです。

これはいろいろな要因があると思うのですが、一つには、職を失った人が路頭に迷わない社会のシステムをスウェーデンは持っているということが挙げられます。
それは、十分な失業手当であり、再出発のための教育であったりさまざまです。
スウェーデンでは、失業前の給与の80%が保障されますが、失業給付を受けられる期間は25 才から55 才が通常300 日、60 才以上の高齢者は600 日となっています。
また、リストラする場合でも若い人からリストラすることが法律で定められており、日本のように「中高年の方々が仕事を失って自殺」という方程式は、スウェーデンにはありません。

さらには、小学校から大学、大学院に至るまで教育が全て無償で、十分な子ども手当が各家庭に支給されていますので、親が仕事を失ったからといって、子どもたちの教育にはさほど影響はありません。

日本では失業すると、経済的なダメージが生活にも子どもの教育にもダイレクトに影響してきますので、その心理的苦痛により自殺のリスクが必然的に高くなるわけです。

<遺児のおかれる状況>
日本では、教育費がかかるため、親を亡くした子どもたちは進路をあきらめたり、大学をやめたりということが起きています。
スウェーデンでは教育費がただで、親の死によって子どもたちが進みたい道に進めないなどということは起きません。
「水や空気と同じように、どんな人も平等に教育を受ける権利がある」とスウェーデン人たちは言います。

確かにスウェーデンは消費税は25%など高税率ですが、福祉・教育給付をGDP比で見ますと、出産・育児等、家族政策給付は日本の約7倍、高齢者・障害サービス関連の給付は日本の約10倍、雇用政策関連の給付は日本の約4倍となっています。

仕事を失っても未来を奪われない、親を喪っても未来への希望が奪われない
スウェーデン国民が高い税金を納め、作り上げたスウェーデンのソーシャル・セーフティ・ネットです。

生きやすい社会のシステム作りをすること、その積み重ねが究極の自殺予防なのではないか。
スウェーデンが私に教えてくれたことは、自殺予防の本質のように思います。


10月17日付 秋田さきがけ新聞
連携強め自殺予防を 秋田市で市民フォーラム

 「秋田市の自殺対策を考える市民フォーラム」が16日、同市上北手の遊学舎で開かれた。約40人が参加、意見交換などを通して自殺予防活動の在り方について理解を深めた。市とNPO法人「蜘蛛(くも)の糸」の主催。

 自殺予防活動に取り組む民間団体間と、行政と民間団体の連携を深めるのが目的で、昨年から開催している。市保健所の伊藤千鶴所長が「2008年秋のリーマン・ショックなど、市内では景況に変化があった翌年に自殺者が増加する傾向がある」と分析。同市の昨年の自殺者は101人(男性74人、女性27人)だったとして、「男性や高齢者、無職者が多かった。広報活動の手法や、マンパワー不足の中での対応などが課題となっている」と述べた。

 意見交換では、仙台青葉学院短大(仙台市)の高橋聡美講師(精神看護学)が、失業率が上昇する中で自殺率が減少したスウェーデンの状況を紹介。「失業者に給与の8割を300日間給付するなど、保障体制が充実している。生きやすい社会のシステムづくりの積み重ねが、究極の自殺予防だ」と話した。

 遺族支援を行っている「秋田グリーフケア研究会」の山内幸子さんは「自死の大きさは周囲の人の心の中に生き続ける」と指摘。「世間が自殺予防に取り組むのと裏腹に、遺族が『自殺率ワースト』などの言葉に傷つき、追い詰められている現状もある」と訴えた。

 県内の26団体で組織する「秋田こころのネットワーク」の袴田俊英会長は「自殺予防が、特別な人が行う特別な活動と認識されては意味をなさない」として、幅広い活動を展開する必要性を強調した。

Posted by 高橋聡美 at 21:57
スウェーデンの自死遺族支援 [2010年09月04日(Sat)]
9月1日、自死遺族支援をされているRigmorさんにインタビューをしました。

彼女は10年前に娘さんを自殺で亡くされたご遺族で、遺族支援団体SPESの代表をされています。

SPESはスウェーデン国内にある唯一の自死遺族支援サポート団体ということで1987年設立し全国にオフィスがあり、会員は50,000人だそうです。
15,000ではなく?と確認しましたが50,000と言っていました。
全員がご遺族で6割が「母親」だそうです。

会員はボランティアで予算は国からではなくラスティング(県)から出るそうです。

スットクホルムの場合50,000SEK/年間にでるそうなので、70万円程度でしょうか。
東京都はそれより多い予算を自死遺族支援に出してはいますが、60万都市と12000万都市という差を考えると、東京都の投資は少ないように感じます。

遺族以外では200名の医師や看護師らの専門職スタッフがいるそうです。

毎週1回ミーティングがあるそうで、聞きましたら会議というよりもわかちあいいう感じでした。
イベントも、講演会やリラクゼーションについてやるそうです。

SPESを誰が遺族に紹介するのか?と聞いたら、「多くは警察」だそうで、ケースによって医師や看護師だそうです。
警察が自死遺族支援団体を紹介するケースは日本ではあまりないので、連携がうまくいっているのだなと感じました。

遺族の抱える問題としては日本のように経済的な問題はないようですが、コミュニティの偏見がとても強くて(特に田舎は)、引っ越す人もいるそうです。

通常、ご近所の人にそのような話はできないので、ご遺族は精神科やカウンセラーに話を聞いてもらうしかないとのことでした。ただプライベートカウンセラーは日本と同じように保険対象外なのでとても高く、利用できる人はごくごく限られているとのことでした。

病院に行く前にカウンセラーを使うというのは一つの有効手段だと私は思うのですが、両国とも保険が効くといいと思います。

スウェーデンは遺族支援については日本の20年も前から組織が存在しているわけですが、スティグマが強く、遺族だけでやらざるを得ないのかなと思いました。
そういった意味で、わが国は遺族・市民ボランティア・行政が連動しながら遺族支援をやっているという点において、スウェーデンの先を行っているのかもしれません。


Posted by 高橋聡美 at 19:20
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