家族が犯罪者になったなら [2010年06月08日(Tue)]
テレビ放映後から、犯罪加害者のご家族からよくお電話を頂戴しています。仙台以外の所からのお電話が多く、実際にお会いすることはなかなか難しいのですが、それでも電話越しに、その苦悩が伝わってきます。
電話で受けた相談を、個人が特定されない範囲で記したいと思います。 数年前に息子さんが地元で事件を起こしたというお父様から相談の電話を頂戴しました。 息子の事件のせいでお父様はお仕事を辞めたそうです。 息子は刑期を終え、仕事に就きました。しかしネット上からその事件のことと、息子さんの実名は消えることなく、ある日、事件のことが会社に発覚し、息子さんは会社をクビになりました。 地元の就職を望んでいた兄弟もまた、事件から10年近く経った今も、いまだ仕事に就くことができないそうで、行き場のない怒りを両親にぶつける家庭内暴力の日々だそうです。 「いつになったら、ネットから実名が消えるのでしょうか」と切実に訴えるお父様の声を聞きながら、刑期を終えた人の更生を望むなら、真っ当な道を歩けるような環境づくりを社会はしてあげるべきなのに、日本は更生の道が断たれるような社会なのか?と悲しくなりました。 また、刑期を終えた人は前科者であっても犯罪者ではないわけなので、普通の人として社会で生きるために守られるべき人権というのもあるのではないかな?と思ったりしました。 家族の中に犯罪者がいるということは、すなわち家族全員が将来、社会で安全に生きていくことを剥奪される、今の日本の社会はそんな社会です。果たしてそれは正義なのか?と率直に思います。 「いつでもお辛い時はお電話を下さいね。1人で悩ないで下さいね」と最後にお声かけをした時に、「ありがとうございます」と声を震わせたお父様の声がまだ耳に残っています。 |
Posted by
高橋聡美
at 10:08