夏の教職員研修、子どものSOSの受け止めの講演を連日しています。 <教員の専門性> そもそも、日本の教員は労働時間が長いことが国際比較でも明らかで、仕事内容も非常に多岐に渡っています。 そこにメンタル的に課題を抱える子どもの話を聞く、生きづらさを抱える保護者の対応をするということが加わると、さらに負担が増します。 1月の衆議院予算委員会で教育人材の確保と専門性について大臣が 「SC(スクールカウンセラー)やSSW(スクールソーシャルワーカー)などの専門スタッフは常勤ではない。 心理や福祉に専門知識を持った教員が常にいることが子どもにとっていつでも相談できる環境」 という話をしていました。 日本の教員にマルチタスクを求めてきた結果、教職員の精神疾患による病気休暇の数は過去最多です。 教員がSCやSSW的役割を担えばいい。 そんな簡単な話ではないと私は思います。 教育(教師)、心理(カウンセラー)、社会福祉(SSW)、それぞれが専門職です。 なので、メンタルのことはSCに、家庭に問題を抱える子どもはSSWが介入する方がより確実な解決につながると私は考えます。 <SCに繋げたくない教員心理> 一方で、講演をしていると「子どもの心をちゃんとケアできてこそ教員だ」と主張する先生もおられます。 教師がカウンセリング的マインドを持つことは私も賛成します。 が、教師にカウンセラーの役割を担わせることとそのことは別問題だと考えています。 「抱えきれない教師もいる」というと、 「そんな奴は教師に向いていないんだからやめたらいい」とも言われます。 だから、教員は定員割れするし、精神疾患の休職者が過去最多なのだと痛感します。 講演の質疑で「SCに繋いだら ‘SCに繋ぐ事例が多すぎる。SCに繋がないように‘ と上司に言われた」という話も出てきて やはり「教師が子どものメンタルはみないとだめだし、SCにつなげるような子どもが多いのは教師としての敗北だ」と思っている先生は一定数いるのだと感じます。 <SC,SSWの増員について> 「SCやSSWは常勤じゃないからあてにならない」という趣旨のことを1月に文科大臣が言っていましたが 「だったら常勤にしたらいい」と思うのです。 先月、永田町で開催された「都市自治体の自殺対策のあり方に関する研究会」でスピーカーで呼ばれ、レクをしました。 自殺対策の中枢組織(厚生労大臣指定団体)のいのち支える自殺対策推進センター 代表理事が臨席されておられたので 「SC、SSWの増員と言っていますが具体的な目標値はありますか」とお尋ねしたら「文科の決めることなので知らない」という回答。 SNS相談業務を市町村からの業務委託でライフリンクがやるそうです。 まずは、身近にいる人に相談ができるようにSCもSSWもすべての学校に常勤で配置し それでも匿名の相談が相談しやすい子たちがSNSにつながる。 そういう順番が子どもにとってはいいに決まってると私は思っています。 |
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教職員向け研修で感じること 〜教員を救いたい〜
Posted by
高橋聡美
at 21:03
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