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子ども・若者の自殺の動向 2021年になってどうなっているか [2021年05月01日(Sat)]

【コロナ禍の子どもの自殺 その後】

コロナ禍で子どもの自殺が増えたという報道が昨年末から出始めました。

「子どもの自殺が増えている」と夏から言い続けてきた私としては「やっと認識されるようになった」という思いです。

文部科学省も数字を具体的に上げてどれくらい増えたかなどをHPで公表しました。



ところが、報道がいったん収まると、「去年は自殺が増えたね」という過去形になっている雰囲気があり、子どもの自殺対策、油断しているように感じてなりません。

年が変わっても年度が替わってもコロナ禍の状況は変わっておらず、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が各地でとられ、むしろ自殺対策は今まで以上に危機感を持ってなされるべきであると思っています。

ゴールデンウィークという長い休み。

家庭内に問題を抱える子や、家に居場所のない子どもたちのことが気がかかりです。さらに、リモート授業となった際のIT格差による学習機会の格差の拡大も懸念されます。


2020年の自殺者数の確定値が厚労省のHPに公開されましたので改めてデータを紹介し、子どもの自殺対策について記しておきたいと思います。




2019年と2020年の比較】

2020年は11年ぶり自殺が増え、前年比で912人、4.5%増でした。

全体的に増えた印象があるかもしれませんが、実は男性の自殺は前年より少し減っていました。ただし未成年男性の自殺は5.7%増でした。


女性は成人も未成年も増加しています(成人女性14%増、未成年女性は44%増)

9月ころから私は若い女性の自殺が緊急事態だと発信し続けてきましたが、結果的に前年216人が2020年は311人、前年比95人増となってしまいました。


日本全体で2019年から2020年で912人自殺が増えているのですが、このうち10代と20代の自殺が522人:57%を占めています。


つまり、2020年の自殺は若者、とりわけ女性への自殺対策が不十分であった結果と考えられます。



2021年、3か月の動向】

<中学生>

2021年になってから1月は減ったのですが、2月、3月とまた増加しています。

前年・前々年比でも差はありません。


<高校生>

減る傾向にはなく、とりわけ女子高校生は高い水準で推移しています。

女子の昨年の1〜3月の自殺者数は25人でしたが、今年はすでに31人になっていて、依然、厳しい状況と考えます。


<大学生>

中高校生より深刻な状況にあります。

昨年、1389人が今年は116人(27人増)

女子大学生が昨年、1319人が今年は38人。
数は男子大学生より少ないのですが、2倍という増え方なのでとても気がかりです。


3か月だけの推移で、増えた・減ったという議論は難しいのですが、私がみなさんにお伝えしたいことは2点です。


*1点目 現在進行形の問題としてとらえる
「去年は増えた」ではないのです。その前から若者の増えていて、コロナ禍で状況が悪化した。コロナ以前から対策ができていなかった部分が露呈したということです。
さらに、「去年は増えた」過去形ではありません。
年が変わったからといって、子ども・若者を取り巻く環境は良くなるどころか、悪くなっています。現在進行形の課題なのです。


*2点目 とにかく大人が行動すること

今年になってようやく「子どもの自殺が増えた」と数字が表に出るようになりましたが、私は昨年夏から「このままだと増え続ける」と言い続けてきました。


増えてから「増えました」では遅いのです。


今、ちゃんと大人たちがこの数字を受け止め、これ以上、子どもたちが命を落とさないように行動しなければなりません。


子どもたちの自殺は大人の責任他ならないと思うのです。


なので、できるだけ早い段階で周知・対策、コミュニティで何ができるかをみんなに考えてほしいと思っています。

国の対策を待っている場合ではなく、コミュニティの子どもたちの事情に合わせたきめ細やかな対策が必要だと思います。
とにかく、地域ごとに分析をしっかりして対策を練るしかないと思います。

 


【対策として何をすべきか】

2021年、やはり、女の子の自殺が減っていません(減るようにとても思えない)

自粛はまだ続きますし、虐待やDVは自粛で良くなるはずもなく、自殺の数はこのまま高止まりか増えると私は予想します。

安全でない家庭の子どもたちにこれ以上我慢だけ強いるのは社会として、大人として無責任だと私自身は感じています。
家に居場所のない子、家で勉強ができる環境にない子、オンライン環境にない子、こういう子どもたちにはステイホームではなく、家の度とで過ごせる救済措置をしっかりとっていかなければならないでしょう。

先生方もオンラインの授業の準備などに追われ、子どもの様子まで目が届かない状況にあると思います。

なので、市内の教員同士でオンライン教材ツールをシェアして教材つくりの負担を減らし、その分子どもに目を向けるなどの対応が必要だと思われます。


大学生の自殺の増加についてはなぜ増えているのか、しっかりと分析が必要だと思います。
とりわけ大学生は自治体だけではなく大学側も対策を練らなければなりません。

児童生徒学生の中でも大学生が一番、リモートの授業が多く孤立しがちです。
就職もせまり「モラトリアム」の終わる世代でもあります。
後がない上に、誰かに相談できる環境にないのです。




どの年代にも言えることですが、「男子が増えた・女子が増えた」だけでは具体的な対策は練られません。

何が理由で追い詰められているのか、そのために何ができるのか、一つ一つ丁寧に対策をするしかないのだと思います。


昨年末に私は『教師にできる自殺予防』という本を出しましたが、この本の中でも、昨年10月までのデータで強い危機感を持ってコロナ禍の自殺のことに触れています。

あの時点で、もっと大人たちが危機感を持って対策していたら、と悔やまれてなりませんし、「年が明けたから減るかも」というような、根拠のない楽天的な考えが子どもたちを見殺しにするのだと私は思っています。


私もできることをやっていきます。

こうしてブログに記すことも私にできることの一つです。

この記事を読んで、あなたにできることを考え、行動してくださることを願っています。


それぞれの立場でできることには限りがある。微力かもしれない。でも無力じゃない。

私自身、子どもたちの命を守るための努力を惜しまないようにしたいと思います。



子どもの自殺の現状についてはグラフなどを用いてZOOMセミナーで解説します。
詳細はこちらをご覧ください。
https://blog.canpan.info/satomilab/archive/369



Posted by 高橋聡美 at 22:02
この記事のURL
https://blog.canpan.info/satomilab/archive/371
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