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Jimmy (05/08)
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自殺予防教育中にわかる先生と生徒の関係性 [2021年03月13日(Sat)]

自殺予防教育・SOSの出し方教育をはじめて5年。

色んな学校の特徴があるのですが、学年ごととか全校生徒を対象にした100人以上の規模で授業をするときに、

日頃の先生と生徒の関係性が垣間見えることがあります。


【トラウマへの配慮のない指導】

まず、体育館などに行くと、大きな声で「早く並べ!!!」「〇組、何やってんだ!!」「ほら、整列したら動かない!!」

と、怒鳴り散らして生徒に指示を出している場面に結構出くわします。

虐待や面前DVなどでトラウマのある子たちにとって、このような大きな声で怒鳴り散らされるのは、トラウマの再体験となってしまいます。

その時点でその場が安心安全な場でなくなってしまうのです。

授業では「困ったときは、大人にSOSを出そう」と子どもたちに説明しないといけないのすが

虐待や面前DVなどの経験のある子どもほど、

トラウマ体験と重なって、先生たちにSOSは出さないでしょう。

おそらく、怒鳴って従わせる、従わない子は叱られる(罰を受ける)ということが

その学校では日常的に行われているのだと思います。

実際、最初の整列指導が威圧的である学校の生徒は授業中、発言が少ないというのが私の印象です。


【授業中、ついて行けない生徒にサポートのない学校】

1クラスの授業なら、私一人でも目が届くのですが、体育館での授業、とりわけワークシートに記入するなどのワークを伴う授業では目が届きません。


ワークは個人ワークなのですが100人以上の児童生徒となると、当然のことながら、ワークの中身が理解できない子やうまく書けない子、集中できない粉など様々です。


私は、生徒たちの中に入って、さ〜っと見渡して、

「あれ?」と思った子のところに行って、声をかけるようにしています。

「わからなかった」「説明が聞き取れなかった」「書きたくない」「この漢字が読めない」などいろいろです。

ふざけあっている子たちにも声をかけるようにしています。

普段の様子がわからないのでその時の感覚(直観)でワークのサポートしています。


学校によって先生方の対応も違います。

ワークが始まった時に、さっと、先生たちが生徒の中に入って、サポートしてくれる学校もあります。

そんな学校は生徒と先生のやりとりから、「わからないことをわからないと言える」普段の関係性が見えます。

その時点で子どものSOSを受け止められる教育現場になっていると思うのです。


一方で、先生方が体育館の脇や後ろのパイプ椅子に座って、生徒たちを眺めている学校もあります。

生徒の様子も見ず、なにやら自分の仕事をしている先生もいます。

「ああ、この子達は日ごろからケアを受けていないんだな」と感じます。

もちろん、外部講師である私への遠慮が先生方にあるのかもしれません。

しかし、授業中、困っている子たちに何もしないのは、教育現場でのネグレクトだと私は思っています。

これまで、数校、「ちょっとこれはひどいな」と思った学校がありましたが

その数校すべての学校で共通していることが一つあります。

生徒の授業のあとの教員対象の「SOSの受け止め方」研修で必ず寝ている先生が複数人いるということです。




人の気持ちや生徒の心のケアに関心がないのだと思います。


SOSを受け止められる人を増やす】

とはいえ、だからと言って、そんな先生に「起きてちゃんと話を聞きましょう」なんて私は言いません。

関心のない人に関心を向けましょうとエネルギーを注ぐより、

今、理解できる人に理解をしてもらい、SOSを受け止めることのできる大人を一人でも増やすことの方が大事だからです。

例えば、30人教員がいて、研修前まで3割くらいの先生が子どもの話を傾聴できていた。

研修で、6割なり7割なりの先生がSOSの受け止めを理解できて、SOSを受け止められる人を増やせたらそれでまずはいいかなと思っています。


学校が子どもたちにとって安心な場所であるように

それは、子どもにSOSの出し方教育をする前に、やるべき環境整備だと私は思います。



Posted by 高橋聡美 at 21:31
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