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コロナ禍 若者の自殺の傾向についてサマリー [2020年10月23日(Fri)]

若者の自殺の傾向についてZOOM検討会のサマリーです

1.若者の自殺に地域差があり、それがかなり顕著である

  大阪・兵庫が例年より顕著に増えていて首都圏はその傾向はなかったです。

ちなみに過去10年で8月のデータ、東京は過去最少。コロナで都内に学生がいなかった可能性もあるかもしれません。

 地域差があるとすると、報道によるウェルテル効果だけでは説明がつきません。 


2.増えた地域の特徴

失業率や倒産の数と比べてみましたが、相関はありませんでした。(渋井哲也氏調べ)

虐待件数などの詳細がでていないので分析できないのですが、事件件数などとは相関がなかったです。
ただ全国的にスートーカー規制法違反やDV法違反は増えています。(渋井哲也氏調べ)

大阪などは未遂で救急搬送される人がもともと多いので、コロナ禍の自粛で精神科の受診や救急病院へのアクセスが制限されたかなども考察したのですが、
これもデータが年末にならないとないのですが、現場の話では「制限された感覚はない」ということでした。

ということで、地域差の要因は見えてこなかったです。

なぜこれほど地域差が出たのかは今後注視し、地域ごとの対策が重要だと考えています。


3.既遂の確実性

 中高生の自殺の場所が高層ビルと鉄道自殺が過去3年間の中でも増えていてより確実に死ぬ方法を選んでいます。自殺に至るまでの心理プロセスが普段より違うことが予想されるので、支援体制をそれに合わせて変えていく必要があると思われます。

  


4.データがなくて議論に限界があった点

 1)性的な問題

女の子の自殺が増えていることを考慮したとき、やはり性的な被害を考慮すべきと思っています。中絶件数などは年末にならないと出ないのでこれは明らかにならなかったです。

ただ、相談窓口へのヒアリングやZOOM検討会に参加された助産師さんたちやチャイルドラインからは、妊娠相談増えているという声はありました。

もともと世界的にも女子が男子より自殺の多い国は性的搾取のある国です。

女の子の自殺の急増において性的な問題は無視できないと考えています。

 大阪の助産師さんたちには緊急で性教育をお願いして動いてもらっています。

         

2)未遂者の状況

そもそも、自殺未遂自体が増えているのかを見たかったのですが、データがなく分析できなかったです。

コロナの影響で病院に制限があって搬送が遅れて既遂に至っているのか見たかったのですが。 



3)相談窓口

 従来、保健所のメンタルヘルスに関する業務は相当な量ありましたが、コロナ禍でメンタルヘルス事業に手が回らなかったのではないか?これもデータなかったです。今後、要考察事項。

  



以上のような状況で、データがなくてわからないものが結構多かったのです。
 


それで、厚生労働大臣指定法人「いのち支える自殺対策推進センター」(JSCP)の分析に期待をしていたのですが、
自殺報道のせいだということを強調するあまり、今後のコロナ禍の自殺対策に有用なデータは示されませんでした。(あとは私でも調べればわかるようなデータでした)
 




若者の自殺が自殺報道によるウェルテル効果だと、断言してしまうと、もし、自殺急増の要因がそれでなかった場合、増え続けるというリスクがあります。
実際、9月の自殺も大学生は増えてしまっています。 




あの会見の報道を見る限り、何も手を打たないでこのままいくのではないかと危惧しています。


もちろん、若年者層に自殺報道の影響はありました。
しかし、それがすべてではなく多角的に考えていかなければならないと思っています。



JSCPの分析結果には本当にがっかりしました。

一方で、だから自殺が増えたんだと納得もしました。

この国の自殺対策の実力を見た気がしました。
 



今後について少し考えを記しておきます。

<自殺報道について>

芸能人の自殺報道やいじめ自殺報道のあとは若者の自殺が増えるということはわかっていることなので、報道規制をしっかりできるといいと思います。

自殺対策基本法の中に入れ込むくらいにしないとだめだと思います。

「自殺報道の後は若者が死ぬ」何回、これを繰り返せば、何人命を落とせば、改善されるのでしょう。次起きる自殺に備え、国は早急に対策を講じるべきです。

  
<相談体制について>

これはずっと言われていることですが、そもそも相談窓口をいのちの電話やボランティアのSNS相談では限界があります。
正常時でも限界があるところに危機状態になったらパンクするのは分かり切ったことです。
「こんなに苦労しているのに」というようなことを、相談業務を取り仕切る
JSCPの方はおっしゃっていましたが、善意や根性論で相談業務をやろうという発想をまず変えるべきだと思います。


相談体制にしっかりお金を落として整えるということはすぐにでもやるべきことだと思います。
同じように心理的危機の状況が来た時に「相談業務が回らない」は言い訳になりません。
相談員の負担を考慮しても、早急に整うことを切に願います、

<若者の自殺の対策>

データが出るのを待っている間に子どもたちが命を落とします。

私たちにできることのすべてを全力でやり、子どもたちの心と命を守らなければなりません。 


そもそも若年者層の自殺は減っておらず、なんら効果的な対策を打てずにきたところのコロナ禍の自殺の急増です。 



経済問題、学業・進路問題、家庭内のDVや虐待、これらを従来の課題を一つ一つ丁寧に対応していくこと、そして、コロナ禍で子どもたちに起きていること、とりわけ、急増している女の子たちについては性の問題もしっかりと対策を練ってあげなければなりません。
 


子どもたちの自殺は大人たちの責任でしかありません。
 


私自身、2人の娘を持つ母としても、子どもが命を落とす悲劇を誰かに経験してほしくないです。


みんなでできることをやっていきましょう。


Posted by 高橋聡美 at 09:52
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