イソジンをめぐるインフォデミック [2020年08月06日(Thu)]
8月4日、大阪府知事のイソジン発言で、イソジンが薬屋から消え、翌5日は、WHO神戸センターが「うがい薬に科学的根拠はありません」とツイートし、知事がデマを言った言わない、イソジンが効く効かないなどなど、TwitterをはじめSNSで混乱が見られています。 一連の騒動とインフォデミックについて思うことを記しておきます。 【吉村知事の対応について】 まず、大阪府知事が商品を並べて効果を知事自らアピールするやり方は軽率であったと率直に思います。 理由は、2つ 一つは、まだ検証段階であり、発表するならそれは知事ではなく、効果を検証している大阪はびきの医療センターがすべきでした。 2つ目は商品を並べて効果をアピールしたことです。 口頭だけならまだしも、商品を並べて説明したことで、インパクトが大きくなってしまいました。 もちろん啓発にはインパクトは大事ですが、アビガンと違ってイソジンは誰でも見たことのある身近な薬品で、マスクみたいな感覚で「あ!買おう」と人々が殺到するのは容易に想像がついたはずです。 パニックを抑える情報伝達を配慮すべきでした。 また、知事はポビドンヨードの可能性についてはお話されましたが、あれは医薬品なので副作用や禁忌もあって、有害性についても同時に情報を添えるべきだったと思います。その意味でも、この話は検証している専門家から発表すべきであったと思うのです。 ただ、吉村知事に関しては、本当に府民のためになにか策をと、日々日々、考えておられたのはテレビなどで拝見していて伝わってましたので、今回のことも、府民に朗報を早くということと、みんなで乗り切りたいという思いから少し先走ったのかなという印象を受けています。 【WHO神戸センターの対応について】 知事の対応より、厄介なのはこちらです。 知事の発表から24時間もたたないうちに、以下のような公式ツイートをしました。 「うがい薬 で うがい をすると、新型コロナウイルス の感染予防になりますか。 いいえ。うがい薬の使用で新型コロナウイルスの感染を予防できるという科学的根拠はありません」 これをわざわざこのタイミングでWHOがツイートする意義を感じません。 今、ポビドンヨードの効果の検証をしている医師や研究者たちへの敬意も感じません。 発信したWHO神戸センターのホームページには 「WHO神戸センターは、世界各国の感染状況や世界全体に向けた一般向け情報、技術的ガイダンスなど、国や地方自治体、日本の人々にとっても有用と思われる情報を、国や地元の保健機関と相談・連携の上で翻訳し、WHO神戸センターのウェブサイト、ツイッター、関係機関のウェブサイトな様々なチャンネルを通じて発信しています。」 とあるのですが、 地元の保健機関と相談連絡してからツイートしたとは思えないです。 ポビドンヨードの効果を検証している大阪はびきの医療センターに相談連絡して協力しながら、情報を統制してインフォデミックを抑え、国民がパニックにならないように対処するのがWHOがとるべき行動だったと私は思います。 権威あるWHOのツイートは瞬く間に拡散され、議論はさらに複雑になり、混乱が収束するどころか、意見の衝突を激化させる結果を招いています。 インフォデミックは人を不安にさせ混乱させるだけでなく、社会に諍いを起こします。 それは、ウイルスが蔓延するのと同じくらい社会にとって災いです。 権威ある機関、影響力のある人たちの情報発信は本当に気をつけなければならない。 そして、私たちもまた、情報に振り回されることなく落ち着いた行動をとることを学んでいかなければならないと思うのです。 URLは大阪はびきの医療センターの記者会見です。 |
Posted by
高橋聡美
at 10:45