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Jimmy (05/08)
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医療者と考える自死遺族支援報告 [2011年02月14日(Mon)]
2月6日に行われた「医療者と考える自死遺族支援」報告第2弾。

医療者が遺族と遭遇するパターンとしていくつか考えられます。ひとつは病棟内で自死するケース、救急で企図者が搬送され亡くなるケース、あるいは自死遺族が心身に不調をきたし入院してくるケースなどなどです。

今回のワークショップでは、遺族が精神科に入院したケースと、患者さんが入院中あるいは外来加療中に亡くなったというケースについて主に議論がなされました。その中で私が感じたことを。

<入院して来られた患者さんが自死遺族であるケース>
入院された方が大切な人を自死で亡くされているかどうかということは、入院時の情報収集(アナムネ)時などに把握しておく必要があります。
ある精神科病院では患者の3人に1人が身近な人を自死で亡くしている病棟もありました。
しかし、せっかく自死遺族かどうか情報収集はしたものの、そのことに触れられないというのが今の臨床現場の現実かと思います。

そのことをことさら大きく取り上げ根ほり葉ほりと聴くのも、不自然ですが、患者さんが話したい時に話せる雰囲気づくりというのは必要かと思います。

例えば、自死遺族のサポートに関する情報リーフレットを病院内に置いておくなど、自死に関する話を病院内でタブーにしないことがまず大事だと思います。自殺予防デーですら、そのことの院内告知がされていないというのが今の精神科病院の実情ですので、まずは掲示物は配布物などで「入り口」を作っておくことは必要でしょう。

明らかに身近な人の自死が原因で精神的に不調をきたしている患者さんの場合は、きちんとその話を聞くことも大事になってきます。身体の傷と同様、「その傷を見ずして傷は癒せない」と私は思うのですが、患者さんが何に心を痛め、何を苦痛に思っているのかということを彼らのペースで話してもらいながら一緒に考えて行くという姿勢が医療者には求められているように思います。

<入院中(外来通院中)の患者さんが自死したケース>
私も精神科・心療内科で働いた7年半の中で6事例このようなケースに遭遇しました。1年で約1事例に遭遇したことになります。

私の受け持ち患者さんが亡くなったこともありましたし、夜勤の見回りの直後に縊死されたこともあります。
その時の私に、なにかフォローがあったかと言うと何もなかったです。縊死を発見した夜勤を3時に終え、恐怖で眠れぬまま翌朝8時からの日勤に出かけて行ったこともありました。なんで自殺のサインに気がつかなかったんだろう・・・と、どれだけ自分を責めたことが知れません。私が23歳の時の出来事でした。

このように、心理的に衝撃を受けているスタッフに対して何もケアをしてこなかった医療の現場があります。このことはこのことで、きちんと組織的にフォローしていく必要があると思います。

その一方で、このように入院中に自死でお亡くなりになられたご家族に対して、医療の現場が何をしてきたかというと、医師がその死因を伝え、それ以上でも以下でもない対応がされてきたように思います。それどころか、「すみませんでした」と謝ってしまうと訴訟になりかねないという話しさえ現代においてはあり、ご遺族と医療者の溝は深まる傾向にあります。

ご遺族が「入院させたからもう安心と思っていたのに、なぜ病院で自殺しなければならなかったのか」と感じたり、あるいは、「精神科にかかればよくなると思っていたのに」と感じるのは当然のことで、そこの「なぜ」に誠心誠意お答えすることしか、両者の溝を埋める方法はないように思います。

遺族のわかちあいをする中で、精神科医療に対する不満は少なからず聴かれます。
「受診した先々で病名が変わった。誤診だったのではないか?」、「薬だけがどんどん増えて全然よくならなかった」などなどです。精神医療の現場を知っていれば、セカンドオピニオンが変わる可能性が他の診療科に比べて精神科は高いことや、同じ疾患でも出せる薬の種類が多いことはある程度は理解できるのですが、そのプロセスの中で医療者と患者・家族とのコミュニケーションが少ないことに端を発し、さらには自死後の説明も不十分で、ご遺族の不満が高まるのだと思われます。

患者さんが自死で亡くなった時、私たち医療従事者にできることは、哀悼の意をお伝えすることと、誠心誠意、病院で何が起きたかを繰り返し説明することだと思います。

もちろん、そこで「医療の落ち度である」という話にもなるかもしれません。しかし、医療訴訟先進国のUSAの医療現場においても、「事実を隠さない」という大前提がそこにはあります。

課題は多く、現場の意識の改革も時間がかかると思いますが、ご遺族の心と共にあってこそ、人の命を預かる専門職だと言えるのだと思います。
Posted by 高橋聡美 at 17:25
この記事のURL
https://blog.canpan.info/satomilab/archive/143
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コメント
ゆうさん
コメントをありがとうございます
隔月で行っているワンデイプログラムは、裏方の仕事でしたらFT養成講座を受けていなくてもOKです。

メールを頂けるとありがたいです。
staka@xf7.so-net.ne.jpです
Posted by:高橋聡美  at 2011年02月18日(Fri) 23:41

こんばんは。
二月の初旬に、高橋さんにお電話を差し上げ、折り返しお電話を頂いた者です。

折り返しお電話を頂いたのですが、あいにくお電話に出ることが出来ず、申し訳ございませんでした。
以前から高橋さんのブログを拝読させて頂いておりましたので、お電話の代わりに用件をこちらに書かせて頂きます。

高橋さんが理事を務めておられる、仙台グリーフケア研究会の活動の中でも、遺児のプログラムに関心があり、次回のプログラムの際に、ボランティアとして参加させて頂きたいと思っております。

ファシリテーターの研修を受けた経験もなく、初めてのことになると思いますが、参加させて頂くことは可能でしょうか?
Posted by:ゆう  at 2011年02月18日(Fri) 20:30