自殺未遂者ケア研修 [2011年01月16日(Sun)]
自殺未遂者ケア研修が医療従事者を対象に仙台市内で開催されました。
約50名の受講生が講習を受け、事例を通してのグループワークを行いました。 多くの自殺企図者が病院の救急に搬送されますが、果たしてそれが自殺企図なのか事故事件なのかという判断は、なかなか難しいことがあります。 その判断をどのようにするか?本人や家族にどのように対応するかということが前半のレクチャーでありました。 今回の講習の内容は自殺未遂者への対応 救急・外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引きに基づくものでした。 この手引きの中には、自殺未遂患者ケアの全体の流れや、救急医療の現場での自殺未遂患者への対応のフローチャートなど、実際の現場で具体的に何をすればよいかということが示されています。 自殺未遂者が搬送され、入院してきた時に、従来の医療従事者はそれが自殺企図であったのか?とか、まだ死にたい気持ちがあるのか?といったことを患者に確かめることを躊躇してきました。 このような現場の戸惑いに答えるべくこの手引きでは、TALKという以下の原則をあげています。 Tell;誠実な態度で話しかける Ask;自殺についてはっきりと尋ねる Listen;相手の訴えに傾聴する Keep safe;安全を確保する 私たち医療従事者は、自殺未遂をした人に対して、腫れものに触るように接したり、その話題を私たち自身が抱えきれないが故にその話題をさけたりしますが、自殺企図をしたことは事実であり、その結果、病院に搬送されたことは現実のことなので、患者と共にそこにきちんと向き合うべきなのです。そのことなしで、再企図防止は成しえません。 この手引きは好ましい対応とやってはいけない(意味のない)対応についても言及しています。 好ましい対応例として以下のような声かけがあります。 「とてもたいへんな思いをしたのですね」 「とっても辛かったのですね」 「話せる範囲で構わないので、私で良かったら話していただけますか」など 逆にやってはいけない対応例としては 言 語 「こんな方法じゃ死ねないよ」 「死ぬ気になれば、なんでもできるでしょう」 「自殺は、してはいけないことだ」、など 態 度 「他にも命を助けたい人がいるので」と忙しいそぶりをする 「ここ(救急部)に入ったから大丈夫でしょ!」と相手にしないなど 以上のような紹介があります。 自殺の問題は精神科領域だけではなく、救急、外科、内科などなど全ての科に関係する喫緊の課題です。 より多くの医療従事者が自殺についての正しい知識とあるべき対応を実践できることを願ってやみません。 |
Posted by
高橋聡美
at 19:54