• もっと見る
<< 2024年02月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    
プロフィール

高橋聡美さんの画像
カテゴリアーカイブ
リンク集
グリーフを支える仲間たち
最新記事
https://blog.canpan.info/satomilab/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/satomilab/index2_0.xml
最新コメント
最新トラックバック
Jimmy (05/08)
scr8888 (03/29)
新刊『大切な人を亡くした人の気持ちがわかる本』法研出版より2022年4月

講演および
自殺予防・SOSの出し方・受け止め方の授業
お申込みは下記のメールまで
satomiit114@gmail.com

養護教諭向けオンラインセミナー [2024年02月04日(Sun)]

今日は全国の養護教諭向けのオンラインセミナーでした。

オンデマンドでも視聴できるサブスク企画にお声掛けいただきまして、 「子供の困りごとによりそうために」〜リストカット・ゲーム・スマホなど社会現象を理解し、どう対応したらよいかを探る〜という内容でお話をしました。



<どこまでが自分の守備範囲なのか>

メンタルヘルスの話をする時に、4段階に分けて話しています。

@子どもたちの生きづらさ・困りごと

Aストレス

B心の病気

C自殺


担任の先生や部活の先生は、@のところに関わります。

勉強や進学、交友関係での困りごとはないか?

SSWも子どもや家族に社会支援が必要な時@の部分に関わります。

養護教諭はAストレスやB心の病の部分に関われます。

けれども、カウンセリングが必要な場合はSCにつなげ、社会支援が必要な場合はSSWにつなぐことが大事です。

そこはもう、養護教諭の守備範囲ではないのです。



<複雑な課題と向き合う時>

今日、ゲーム依存・リスカ・市販薬の乱用について個々のお話をしました。

それぞれに対する理解と「誤った対応」をしないために。

しかし、学校の先生たちが子どもに起きている問題を知る時には、すでに複数の問題が起きている場合があります。

例えば、「風邪薬とリスカ」「リスカと摂食障害」と問題が複数起きている場合や、「虐待とリスカ」「ヤングケアラーと不登校」と家庭問題が起因している時もあります。

教員はこれをなんとかしなければと、どうしても自分たちで解決することを考えがちですが、そのような時こそ「自分の守備範囲」を考えて、範囲外はつながって支援して欲しいのです。


摂食障害などは生命にかかわる疾患であるので、医療機関との連携が必要ですし、

家庭の問題はSSWや保健師さんに家庭に介入してもらう。

それらの機関の方針と足並みをそろえて、協働するということです。



<人を支える時の連携の重要さ>

私は看護の世界の人間なので、看護業界のことで例えますと

私が学生だったころに比べると看護も他の職種との役割分担が非常に進んでいます。

看護技術の基本中の基本「環境整備」なる「お部屋の掃除」はハウスクリーニング業者さんがやっていたり、内服の詳しい指導は今は薬剤師さんのお仕事です。

退院時の地域連携はケースワーカーさんがやってくれますし、地域にはケアマネさんがいます。

これらは、40年前は看護師の仕事の範疇でしたが、分業化が進みました。

結果、患者さんたちはより専門的な支援と、病院から地域への移行サービスもスムーズに受けられるようになりました。

教育現場も同じことが言えます。

今、学校の先生たちは授業・生活指導・進路指導・部活・学校の備品管理・子どもたちのカウンセリング・家庭環境の調査と介入と、非常に多岐に渡るタスクを要求されています。

先生たちの専門性って何?と問うた時に「人を育てること」なのだと思うのですが、

人を育てるのに、先生たちがすべてを背負う必要なないのです。

看護師たちがこの半世紀の間に患者さんのためにやってきた様々な「大切なこと」を誰かにゆだねたように

先生たちも、マルチタスクから解放され、本来の専門に専念できると教師のやりがいも出てくると感じます。

金八先生のような熱い先生を否定するわけではありません。

でも、学校の先生はカウンセリングやソーシャルワークをもっと手放し委ねていいと私は思っています。

連携すること。

学校って社会の中で孤立しがちだと私は感じています。

そんなに背負わなくていいし、社会も学校にそんなに責任を押し付けないで、一緒に、子どもたちを支えていこうよ。

Posted by 高橋聡美 at 16:29
自分は「無力だ」と感じている支援者 [2024年02月03日(Sat)]

支援者たちの心のケアの中で、感じていることを記してきたいと思います。

 

<その1 出来ることと出来ないことの見極め>

事例が困難であればあるほどやるべきことが沢山あり、

それは、時にその支援者の「専門領域」を超えている場合があります。

熱心な支援者たちほど「あれもできない、これもできない」とできないことに苛まれ、無力感に襲われます。

例えば、行政の相談窓口はカウンセリング機関でもないですしメンタルクリニックでもないので、心理カウンセリングや精神疾患治療に関しては専門外です。

教師も、心理や社会福祉、法律の専門家ではないので、自分ができることとできないことを見極めながら、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)、スクールロイヤーや行政に「つなぐ」ことが、「できること」です。

自分にもっとカウンセリングのスキルがあったら、法律的な知識があったら、と他の領域のことに関心があり、学び連携することは大事だと思いますが、ひとりの人ができることには限りがあります。

誰かの力になりたいと思う時、「自分ができるかぎりやる」ではなく、「自分のできることにベストを尽くす」

できない時は誰かに繋ぐ、支援者も誰かSOSを出すことが大事だと思うのです。

 

<その2 葛藤力:DoしないでBeする>

話を聞くしかできなかった。

保護者に変わって欲しいけど、なかなか変わってくれない。

こんな風な無力感を抱く支援者はとても多いです。

こうしたらいいのに、なんで!?と思うことも沢山あると思います。

でも、やはり当事者のスピードもあるので、支援者が思うようなスピードで物事が動くことはむしろ少ないと感じます。

「どんな声かけをしたら変わりますか?」

「こんな時、どうしてあげたらいいですか?」

とよく質問を受けます。

これは、支援者がどのように介入したらよいか、という質問なのですが、

当たり前のことながら、ケースバイケースで、これが正しいという絶対的な回答はありません。

でも、私が「必ず支援になる」と思っていることは、「安心安全な他者」として「そばにいる」こと。「Be」することです。

人は何かしたい、「Do」したがります。

DoしないでBeして、そして、葛藤を一緒に抱えて。

葛藤を抱えるのも支援力。といつも言っています。

膠着した状態でBeすることはとても根気のいることです。

でも、それが、当事者にとっても支援者にとっても大事だと私は思っています。

あなたはただそばにいて、何もできていないと思うかもしれない。

けれども、その人にとり安心安全な存在であること、その人がより良い方向にいくようにいつも願っているあなたがいること。それはその人のレジリエンスだと私は信じます。

どうDoしたらいいか、焦らないこと。

安心安全な他者としてBeすること。

解決できないことを受け入れながら、ともに葛藤し、必ずよりよい方向に向かうことを、それでも絶対に信じること。


自分が無力だと感じているすべての支援者にエールを送ります。



Posted by 高橋聡美 at 19:44
イ・ソンギュンさんが亡くなって気付くパパゲーノ [2024年01月07日(Sun)]

一番好きなドラマは何かと聞かれたら、イ・ソンギュンさん主演の「マイ ディア ミスター 〜私のおじさん〜」と迷わず答える。



イ・ソンギュンさんが亡くなって、全話、見直した。



このドラマの出てくる人たちは色んな生きづらさを抱えている。


貧困・ヤングケアラー・失業・離婚・暴力・挫折・裏切り・過ち。


そんな中でも、それぞれが生きていて、最後は希望で終わる。



パパゲーノなドラマだなと思う。




ドラマの中での彼の台詞にこんなものがある。


「殴られる人生はやめよう。これからは君も楽しめ」



「君が気にしなければ、みんなも気にしない。なんでも本人次第なんだ」



「過ぎたことは、どうってことない 君がそう思う限り、どうってことない。君がなんでもないと思えば、なんでもないんだ。」



「死にたい時に、『死ぬな、あなたは価値のある人だ、頑張れ』


 そう応援してくれると、息ができる。ありがとう。そばにいてくれて。」





イ・ソンギュンさんが亡くなるに至るまでの報道は、ひどく彼の尊厳を傷つけ、私たちに絶望を見せるものだっと思う。





彼のこのドラマはパパゲーノそのものだったのに。


なぜ、私たちは彼を守ってあげられなかったんだろう。




ドラマを見直し、「あなたにこの言葉をかけたかった」と思いながら、自分ではどうしようもできないことに対して、取り返しのつかない後悔を感じる。


みんなが生きやすい社会になるための「マイ ディア ミスター」だったのに、たった一人の彼を世界は喪ってしまったんだ。




それでも生きていくために、何度でも「マイ ディア ミスター」を観ようと思う。


そして、同じようなことが起きることのないように、生きづらさに向き合っていきたいと思う。


お芝居も声も大好きだった。

生きていてほしかった。


でも、最後はやっぱり、ありがとうと言いたい。



*パパゲーノ効果とは


希死念慮のある人が、困難を乗り越えた他の人のエピソードで自殺リスクが低下するもの




Posted by 高橋聡美 at 18:56
小中学生の自殺の増加について その1 [2023年10月16日(Mon)]

【小中学生の自殺の増加について その1】


文部科学省は今年10月4日、2022年度の児童・生徒の自殺者が411人で、前年度比43人増えたという調査結果を発表しました。(令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査)



中でも、小学生と中学生の自殺は過去最多でした。




<解明されない子どもの自殺の原因>


子どもの自殺の半数以上が遺書などが残っていないため、原因がわかっていません。


令和5年から子どもの自殺対策については、こども家庭庁が担うことになりました。


こども家庭庁の「こどもの自殺対策緊急強化プラン(6月2日)」の中でも「こどもの自殺の原因の分析」が挙げられています。


その内容は


「警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が保有する自殺統計及びその関連資料を集約し、多角的な分析を行うための調査研究の実施」


となっています。



しかしこれは、これまで警察・消防・教育委員会・自治体が集めてきた従来の方法で、分析するというやりかたです。


情報収集方法はこれまでと変わらないわけなので、新たな分析は見込めません。



このやり方では、子どもの自殺の原因の分析は進まないでしょう。


子どもが何が原因で自殺しているのか、よくわからないまま、やみくもに対策をとってきたのが子どもの自殺対策なのだと、私は考えています。


原因もわからないまま自殺対策をする。


つまり、効果的な自殺対策が練られていないわけです。



各部署にデータを出せというような乱暴なやりかたではなく、


心理学的剖検のように、一人ひとりの事例に対し専門家が丁寧に遺族のヒアリングをするなどの方法が望ましいと考えています。



数字だけ、その時の現場検証だけ、教員任せで自殺の原因の解明をするのは無理です。



子どもの自殺が起きた時に緊急チームが派遣され、関係者への心のケアと、原因の解明について丁寧な対応がなされるべきだと思うのです。



Posted by 高橋聡美 at 21:06
教職員向け研修で感じること 〜教員を救いたい〜 [2023年08月07日(Mon)]

夏の教職員研修、子どものSOSの受け止めの講演を連日しています。
私は「教員もSOSを出しながら、誰かに支えてもらいながら子どもをサポートしてください」とお伝えしています。


 

<教員の専門性>

そもそも、日本の教員は労働時間が長いことが国際比較でも明らかで、仕事内容も非常に多岐に渡っています。

そこにメンタル的に課題を抱える子どもの話を聞く、生きづらさを抱える保護者の対応をするということが加わると、さらに負担が増します。

1月の衆議院予算委員会で教育人材の確保と専門性について大臣が

SC(スクールカウンセラー)やSSW(スクールソーシャルワーカー)などの専門スタッフは常勤ではない。

心理や福祉に専門知識を持った教員が常にいることが子どもにとっていつでも相談できる環境」

という話をしていました。


日本の教員にマルチタスクを求めてきた結果、教職員の精神疾患による病気休暇の数は過去最多です。


教員がSCSSW的役割を担えばいい。

そんな簡単な話ではないと私は思います。


教育(教師)、心理(カウンセラー)、社会福祉(SSW)、それぞれが専門職です。

なので、メンタルのことはSCに、家庭に問題を抱える子どもはSSWが介入する方がより確実な解決につながると私は考えます。



SCに繋げたくない教員心理>

一方で、講演をしていると「子どもの心をちゃんとケアできてこそ教員だ」と主張する先生もおられます。

教師がカウンセリング的マインドを持つことは私も賛成します。

が、教師にカウンセラーの役割を担わせることとそのことは別問題だと考えています。

「抱えきれない教師もいる」というと、

「そんな奴は教師に向いていないんだからやめたらいい」とも言われます。

だから、教員は定員割れするし、精神疾患の休職者が過去最多なのだと痛感します。



講演の質疑で「SCに繋いだら ‘SCに繋ぐ事例が多すぎる。SCに繋がないように‘ と上司に言われた」という話も出てきて

やはり「教師が子どものメンタルはみないとだめだし、SCにつなげるような子どもが多いのは教師としての敗北だ」と思っている先生は一定数いるのだと感じます。



SC,SSWの増員について>

SCSSWは常勤じゃないからあてにならない」という趣旨のことを1月に文科大臣が言っていましたが

「だったら常勤にしたらいい」と思うのです。



先月、永田町で開催された「都市自治体の自殺対策のあり方に関する研究会」でスピーカーで呼ばれ、レクをしました。


自殺対策の中枢組織(厚生労大臣指定団体)のいのち支える自殺対策推進センター 代表理事が臨席されておられたので

SCSSWの増員と言っていますが具体的な目標値はありますか」とお尋ねしたら「文科の決めることなので知らない」という回答。


SNS相談業務を市町村からの業務委託でライフリンクがやるそうです。



まずは、身近にいる人に相談ができるようにSCSSWもすべての学校に常勤で配置し

それでも匿名の相談が相談しやすい子たちがSNSにつながる。

そういう順番が子どもにとってはいいに決まってると私は思っています。


Posted by 高橋聡美 at 21:03
山形工業高校 新入生へのメンタルヘルスの授業 [2023年04月11日(Tue)]

【山形県立山形工業高校 新入生へのメンタルヘルスの授業】

新年度スタートしました。
今年度も既に150講演入っていますが、今年度もスタートは山形工業高校。

新入生のオリエンテーションの中に、メンタルヘルスの授業が1コマ、入っているのです。すばらしい。

生徒さんは色んな中学から集まっているので、適応するのも大変だし
新しい科目もあるし、中には、進路に迷いつつ入学した子もいて
この時期にメンタルヘルスの授業はとても大事だと思っています。

内容は
1.ストレスについて
2.自尊感情
3.レジリエンス
4.SOSの出し方とストレス対処法
5.物事の捉え方とセルフケア

中学でうまくいかなかった子も、高校で再スタートできる。
逆に、高校で挫折を味わう子や、お友達をつくるのが不得意な子もいる。

どんな風にしたら、いいスタートがきれるか?
ワークをしながら一緒に考えました。

機械技術・電気電子・情報技術・建築・土木/科学の科がある高校。
「あなたたちがこれからの世の中をつくって行くんだよ。どんな世の中にしたいか、わくわくしながら高校で面白いこと、楽しいことをどんどん学んで。

あなたたちが作る未来を楽しみにしている」

そんなことを伝えました。

Posted by 高橋聡美 at 21:17
子どもの対応でよく受ける質問 [2022年11月04日(Fri)]

子どものSOSの受け止めについての講演の時に質疑の中でよくあるご質問をシェアします。



【「死にたい」とよく言う子がいるが、本気かどうかどう評価したらいいか】


高橋聡美の回答

具体的に準備していたり、日にちを予告していたり、そんな時は「本気度」を感知するのは大切です。

でも、そうでない場合に「この死にたいは本気か、そうでないか」の判断はあまり必要ないと考えます。

例えば「あ、この死にたいは本気じゃないな」と判断してそのような態度で対応をしたなら、本当に死にたい気持ちに追いやられてしまう可能性があるからです。


本人もどれくらい本気かよくわからないこともあるし、気持ちは行ったり来たりします。

本気に見えなくても本気かもしれないし、先生の対応ひとつで本気にさせるかもしれない。

だから、本気かどうかを評価するより

今はそう言う気持ちなんだということをそのまま受け止めることの方が私は大切だと思います。

「本気に見えないから、軽くあしらう」は子どもを孤立させてしまいます。





【リスカをしている子が親には言わないでと言う。以前、学校が通報した時、親にひどく叱られたと。

どうやって親に通報することを子どもに納得させたらいいですか(穂保健室の先生たちの集まりなどでの質問)】


橋聡美の回答

過去に酷い目に遭ってるとしたら、また酷い目に遭う可能性が高い。

この子の親に通報して、この子のリスカはおさまりますか?

おさまらないと思います。

何か改善されますか?

通報するだけでは何も改善されないどころか事態は悪くなると私は思います。


保健室の先生たちが優先すべきは親に通報することを子どもに納得させることではなく

どうやったらリスカが少しでもおさまるか?だと私は思います。

保健室に来てお話して安心したいのに「親に言っていいか」と毎回、言われたら保健室にも来なくなると思う。

リスカの代わりになる方法を伝えたり、

どんな時にリスカしたい衝動に駆られるか、一緒にモニタリングしたり

保護者を伝えることを説得する前にできること、やるべきことは沢山あるのではないでしょうか。

保護者さんのケアや心理教育も必要でしょう。

何のために親に通報するのか、それをやって何が改善されるのか、なにを期待するのか考える必要があると思います。




とても大切な質問だと思いました。

私も一緒に考える機会をもらえありがたかったし、先生たちが何に困っているかがわかった質疑でした。



Posted by 高橋聡美 at 12:16
川崎市立西御幸小学校5・6年生授業 [2022年09月02日(Fri)]

今日は川崎市立西御幸小学校5・6年生120名くらいを対象に
自分と相手を大事にするためにというタイトルで
90分授業でした。

*心の痛み

*レジリエンスワーク

SOSのだしかた

*リフレイミング

*アンガーマネジメント

という内容で体育館で授業。



人懐っこい子たちでした。

私とのやりとりもとても活発に発言してくれて、のびのび。

のびのびしている学校の子たちは先生たちの関わりがやっぱりいいなと思います。

日頃から安心で安全な環境で過ごしているんだろうなと。



今日は欠席の子たちはリモートで参加してくれました。

欠席の子が家で授業を受けられたりできるのはやっぱり大事だなと思いました。

授業はもちろん、先生とリモートでお話もしているんだそうです。

普段からクラスの連絡も「クラスルーム」というwebグループでやっていて

そこを見れば連絡事項や課題(宿題)がわかると。

夏休みの宿題の質問も担任の先生が対応してお手伝いをしてくださっていたのだそうです。

ICT化でコミュニケーションの質が下がるなんてよく言われるけど

そうじゃない。こうして学習の多様性が実現するし、先生との距離を縮めることも可能。

子どもたちに「あなたの担任はどんな先生ですか」と授業で聞いたら

「私たちのペースに合わせてくれる」

「宿題を減らしてくれる」

「わかりやすく説明してくれる」

と、次々と手を挙げて教えてくれました。

子どもたちに寄り添ってくれているの、子どもたちが一番よくわかってるよね。


ある子は担任の先生のことを「神」と言いました。

みんな手をたたいて大笑いしていましたが

その先生、授業の間中、リモートの子どもたちが置いてけぼりにならないように

チャットでずっと声掛けをしてくださっていました。

子どもたちが神っていうわけだよね。



校長先生も何気に子どもたちと一緒にパイプ椅子に座って授業に参加していて

「先生!わかんないし、てか紛らわしいから!」と笑ったのでした。

素敵な学校でした。



続きを読む...
Posted by 高橋聡美 at 17:25
自死報道のありかたについて その2 [2022年05月17日(Tue)]

人気芸人さんの逝去から1週間。

私もいろんな番組を視聴し故人を偲び、涙することの多い1週間でした。

そんな中でもやはり、報道のあり方についてはいろいろと考えさせられることがありました。


WHOのガイドラインからの逸脱>

人気芸人さんの逝去で、その日の朝はスクープ合戦のような形で

様々な配慮に欠ける報道がなされました。

*手段や場所について報じる

*繰り返し報じるなどはWHOの自殺報道のあり方の提言を無視するものでしたし、

本人の自宅前から生中継をしたしたり、街頭インタビューをするなど

必要でないと思われる報道も散見されました。


週末の「1週間を振り返る」番組でも局により報じ方がかなり違うと感じました。

ある番組は故人を偲ぶ報道で、私自身、笑いながら泣き、本当におもしろかったなと、生前のギャグを見ました。

誰かが亡くなった時に、その人を偲ぶことはとても大切ですし、死の話題をタブーにすることはむしろ自死に対する偏見を助長すると考えます。

なので、故人の思い出を丁寧にまとめた番組は視聴者のグリーフワークの一助となったと感じます。


<自殺の原因の詮索することの悪影響>

一方である局はゲストがひたすら「何が原因だったか」などの憶測を議論していました。

自殺の原因は4つ以上あるとされていて、一つに限定することは

遺された人のグリーフにも良い影響はありません。

また同じような立場にある人たちが「死ぬしかないんだ」と思うので

遺書のない自死において原因をあれこれ詮索し犯人捜しをすることは、さらに誰かを傷つけることにつながります。


BPOの「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解>

昨日、ダウンタウンの松本人志さんが「痛みを伴うことを笑いの対象とする番組」のBPOの見解に触れ

「それだけが理由とは思わないですけど、BPO(放送倫理・番組向上機構)さんどうお考えですかね?ってちょっと思いますね」と言及されました。

BPOの委員として見解を作成したものの一人ですが、ここでのメッセージはあくまで橋聡美個人の見解とご理解ください。

痛みを伴うバラエティに関しては、長年の議論があり、昨今では普通にまねができるようなものも増え、さらに、視聴者がSNSなどで発信できる時代になりました。


爆薬をしかけるような大掛かりなドッキリではなく、

いたずらのような安易なドッキリも増えているなと個人的には思っています。大がかりなものは子どもたちは真似はできないですがいたずら程度のものはまねができます。

さらに、LGBTが象徴するように、「笑いのネタにしてはいけない」ことも時代で変化しています。


この20年で、社会では「ハラスメント」のこと「LGBT」のことの捉え方も変わってきていますし、いじめに関しては法律もできました。


このように社会が変化する中で、お笑いだけが許されていいはずもありません。

誰も傷付けない笑いをやはり追及すべきだし

笑いは人を幸せにするものであって、その笑いで誰かが傷つくのは本末転倒だと私は思います。

さらに先ほどの自殺の原因の追究の有害さを考えた時、「BPOの見解が自殺に追い込んだ」というような誰かに責任をおしつけることは自殺が起きた後してはならないことだと思います。


原因を憶測で語り、「BPOの見解で仕事に影響した」と断じることは、故人にもご遺族にも礼に欠けると私は感じます。

上島さんはよりよい笑いを追求されていたと思うからです。


故人を悼む気持ちは人それぞれで、コロナのせいとか、BPOのせいとか、志村さんが亡くなったからとか、なにかを原因にしたい気持ちはわかりますが、それを報道に乗せることはまた違うと思うのです。


*繰り返しになりますが、これはBPOの見解ではなく橋聡美個人の見解です


Posted by 高橋聡美 at 16:47
自殺報道のあり方について [2022年05月11日(Wed)]

自死が起きた後の報道のあり方についてはかねてよりWHOから提言が示されていますが、今日の報道を見る限り全く守られていないと感じます。

センセーショナルに報じたり、繰り返し報じたりすることで心傷つく人もいます。

報道のあり方次第で自殺者は増えてしまいます。


今の時代、マスメディアだけが発信者ではありません。

私たちが自死の情報の扱い方について正しい知識があることはとても大事。

行き過ぎた報道には行き過ぎたと言えること、シェアしないこと。

見てつらくなる情報から距離をとり自分自身の心を守ること。

自死報道の影響(ウェルテル効果)は若者ほど多いとされていますが

この数日、中高年も含めかなりこたえていると感じます。

厚労省は若者子どもについての注意喚起をしてますが、報道された方たちと同世代、あるいは影響を受けてきたすべての人に配慮が必要です。


今日の報道の中でも自宅前からの中継や町の人たちへのインタビューなどは行き過ぎています。必要のない情報であり、悪影響のほうが大きいと考えます。


一方で、NHKの夕方のニュースでは芸能従事者の 心の悩み相談窓口が新たに設置されたことが報道されました。

こういう報道こそ必要。



Posted by 高橋聡美 at 19:10
| 次へ