「ちょっといい話」その226
―終活作業は大変です―
先般、日本財団に遺贈を決断された方からのお手紙を拝受しました。終活は、実際にはなかなか大変な作業であります。終活をお考えの読者の皆さんにとって参考になるのではと思い、発信者のご了解を得て、以下のとおり掲載します。
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私が日本財団と深くかかわったのは10年ほど前に遺贈をお願いした時にさかのぼります。われわれには子供がなかったので、だいぶ以前からふたりで終活のことを話し合ってきました。
そして私が70歳の喜寿が近づいたころから、本格的な終活を始めました。結構のエネルギーを要するので、心身ともに健康なうちでないと進められないと思ったからです。
まずは親類縁者に迷惑をかけず、安心して過ごせる終の棲家探しから始めました。2年くらいかけていろいろ研究し、結局都内のシニアマンションに落ち着きました。入居時に健常者であることが条件でしたので早めに契約しました(現在は週末だけ通う別荘扱い)。
次は自宅にあふれる「物」の処分。3000枚以上のCDやレコード、何本ものギターなどの楽器、いただいたまま手のついていない陶器などの装飾品や食器、土産物などを業者やメルカリ、ガレージセールを使って処分しました(1年以上要しました)。
その次は墓です。われわれの後は誰も墓参りにはいきません。そこで、いろいろな寺社巡りなどした結果、所沢にあった聖地霊園を墓じまいし、そこに眠っていた家族を築地本願寺の永代供養の合同墓に移しました。同時にわれわれの分も予約しました(すでに墓名が刻まれています)。
さらに将来病気や認知症などで自分の処理ができなくなった時や、どちらか残った一人が亡くなった時の手続きをお願いすべく、シニア総合サポートセンターという公益法人と契約しました。
そして最後に残ったのが財産問題です。家内は長年開業医を続けてきたし、私も銀行員時代と経営コンサルタント時代を通じてそれなりの資産を築いてきました。このまま何もしなければ法律上は弟か遠い親戚に相続されますが、それはお互いに本意ではないでしょう。
そこで、家内とも何度も相談し、やはりどこかに遺贈して社会の役に立ててもらうのが一番ということになりました。われわれが築いた資産はわれわれが生きてきた証でもあるのです。その思いを何らかの形で残したいという強い思いがあります。
それから遺贈先探しの苦労が始まりました。いろいろ研究しましたが、われわれの願いは日本の子供が豊かに育ってほしいということであり、その思いを実現してもらうには日本財団が一番、という結論に達しました。
ただ、遺言信託を契約する際、手続き的には相続財産に不動産が含まれていると親族など第三者を関与させる必要があるという問題があり、クリアできない銀行もありましたが、りそな銀行は日本財団との直接交渉の場を設定し、全資産を遺贈するという包括遺贈であれば不動産が含まれていてもOKという日本財団の見解を得てようやく契約締結にこぎつけたのです。
こうしてわれわれの終活はようやく完了しました。ただ、正直言って遺贈先が日本財団で本当によかったのか、という一抹の不安は心のどこかにありました。
その矢先、思いがけず日本財団の活動を間近に知る機会に恵まれました。この間に、日本財団がしっかりとしたまっとうな組織であるという確信を得られたことは、大いにうれしいことでありました。
当時の会長以下若いスタッフに至るまで、ほんとうに粉骨砕身、社会貢献に邁進している姿に触れることができました。
われわれのささやかな資産も、きっと日本の子供たちのために有効に使ってもらえると確信しました。
今は家内ともども日本財団に遺贈してよかったと心から思っています。この安堵感は当事者でなければなかなか理解してもらえないかもしれません。
おかげさまで、この先残された人生は、人様に迷惑かけず、心安らかに楽しむことができそうです。家内も数年先には引退すると思います。その時は二人で長い旅行でもしようかと話し合っているところです。
日本財団はこれからも走り続けます。唯一の心配はこの数年業容が急拡大しており、どこかで落とし穴やひずみが出てはこないかということです。役職員一体となって、ガバナンスやコンプライアンスをしっかり築いていってほしいと思います。日本財団の益々のご発展をお祈りいたします。