「日本研究者来日」
―日本財団フェロー20名―
近年、アメリカの大学における日本に関する講座が極端に減少しており、我々はこれを危惧し2012年より横浜にあるアメリカ・カナダ大学連合(IUC)の施設を活用して毎年、日本研究を行う大学院生を中心に20名を選抜して、10ヶ月間上級日本語プログラムを受講すると同時に専門分野の研究も行ってもらっている。今年も博士課程修了者7名、修士課程修了者9名、学士課程卒業者4名の方々が来日された。以下10月9日に実施された2024-2025フェロー奨学金授与式での私の挨拶とフェローの略歴です。
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アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター日本財団フェローシップ
2024-2025フェロー奨学金授与式挨拶
みなさん、はじめまして。日本財団の会長の笹川です。横浜からわざわざ東京までお越しいただき恐縮しております。皆さんをお迎えできましたことを、大変喜んでおります。ようこそ、そして我々の奨学金を受け取って勉強されることを嬉しく思うと同時に、心から歓迎をしたいと思います。
「日本財団から、奨学金をいただいたけど、一体何をしている組織なのか」と思われるでしょう。日本財団は、世界で唯一のユニークな財団です。世界中に沢山非営利組織がありますが、ほとんどは単に助成金を出すだけです。しかし、日本財団は、単に助成金を出すだけではなく、世界中で自らも活動をしています。
例えば世界で69の大学に基金を設置し、35年にわたり奨学金を提供しています。その卒業生の中には、ベオグラード大学を卒業して外務大臣になった方、中央銀行総裁になった方、最近ではノルウェーの外務大臣になった方もいらっしゃいます。既に修士・博士課程だけで15,000名以上いらっしゃいます。
また、海が健全な状態でないと人類は生きていけません。しかし、どうも人々は宇宙開発に目が行きがちで、我々が住む地球の7割を占める海に対する知識は限られていました。日本財団は50年前から海洋の専門家を育成をしており、例えば、火星の地図があるにもかかわらず、海底地形図は存在しないという課題に対し、これを解明すべく育成した専門家を中心に世界中の研究者と努力しています。また、海の生物は10%しか知られていないということで、オーシャン・センサスと称して、世界中の海洋研究所と共に新種発見事業をしております。そして英国の有名な雑誌であるエコノミストと提携して、海洋問題を世界中の人に知ってもらおうということで、ブルーエコノミーの国際会議を開催し、海の大切さを理解いただく活動もしています。
なせ日本財団が世界で唯一のユニークな組織かと申せば、例えば、コングロマリットという言葉がありますが、少し意味はちがうので、もしかしたらホールディングスという言葉が適切かもしれません。子会社を持っている組織と申しましょうか、日本財団は自ら今私が説明したような事業をするだけではありません。例えば、今から30年前にもっとスポーツを科学しないといけないということで笹川スポーツ財団を作りました。芸術分野では素晴らしい音楽を聞かせたいということで、ストラディバリウスを集め、世界の音楽家に無料で貸与する日本音楽財団、あるいは「全ての人々に健康を」ということになると、WHOと連携し、世界のハンセン病を無くす活動をしている笹川保健財団があります。ハンセン病は偏見と差別が厳しい、旧約聖書の時代からある病気であり、この病気そして病気にまつわる偏見と差別と闘っている組織です。そして、パラリンピックの全種目の活動を支援すべく日本財団パラスポーツセンターを設けました。こうした専門分野の活動をする関係組織が約20あり、加えて日本財団も自ら活動しています。このような組織体は世界で日本財団だけであり、その活動はこうした形態を含め今や世界中で評価されています。
サミュエル・P・ハンティントンの『文明の衝突』は、日本を世界の8大文明に1つに分類しています。こんな小さな島国の日本が学問的にも位置付けられているのです。こうしたユニークな国について皆さんが勉強しようということでありますから、我々としてこんなに嬉しいことはありません。ともするとアメリカでは日本研究という分野が薄れているということで、我々も危機感をもって何とかしないといけないと考えています。特に、バートン先生は心から、皆さん一人一人が10ヶ月の中で成果を出して活躍してほしいと長年仕事をされており、我々はバートン先生を信頼申し上げています。皆さん、日本で10ヶ月勉強されると楽しかったといってくださいます。勿論勉強はハードではありますが、日本国内を旅する機会もあるようですから、是非10ヶ月を有意義に使っていただきたいと思います。卒業後はそれぞれの地域、国に帰って更なる勉強を続けられると思いますが、これを機会に日本財団とのつながりを持ってほしいと思います。
我々は単に奨学金を差し上げる組織ではありません。これからも長くお付き合いをしたいということで、連絡網もきちっと作り、末永く日本財団と皆さんの交流を深めていきたいという希望をもって奨学金を提供しています。卒業したら、それでさようなら、という組織ではありません。ネットワークをきちっと組んで、皆さんの長い人生の中で日本財団との交流も深めてほしいというのが我々の強い希望です。本日は本当におめでとうございます。心から歓迎を申し上げます。
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Isoke Atiba イソケ・アティバ [アメリカ国籍]
カリフォルニア大学リバーサイド校大学院博士課程〈2027年博士号取得予定〉
専門分野: 比較文学
Iris Jiang アイリス・ジャン [アメリカ国籍]
ワシントン大学大学院博士課程修了〈2015年博士号取得〉
専門分野: 生物工学
Emir Karakaya エミル・カラカヤ [トルコ国籍]
ウィスコンシン大学マディソン校大学院博士課程〈2027年博士号取得予定〉
専門分野: 日本史
Issay Matsumoto イッセイ・マツモト [アメリカ/日本国籍]
南カリフォルニア大学大学院博士課程〈2027年博士号取得予定〉
専門分野: 近代史
Charles McArtor チャールズ・ミカーター [アメリカ国籍]
カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院博士課程〈2030年博士号取得予定〉
専門分野: 日本史
Stuart McLaughlin スチュアート・マクローリン [アメリカ国籍]
インディアナ大学ブルーミントン校大学院博士課程〈2027年博士号取得予定〉
専門分野: 人類学・ユーラシア研究
Devon Tipp デボン・ティップ [アメリカ国籍]
ピッツバーグ大学大学院博士課程修了〈2023年博士号取得〉
専門分野: 邦楽
Abigail Brewer アビゲール・ブルワ [アメリカ国籍]
ブリティッシュ・コロンビア大学大学院修士課程〈2026年修士号取得予定〉
専門分野: 日本文学
June Eldon ジュン・エルドン [アメリカ国籍]
ミネソタ大学ツインシティーズ校大学院修士課程修了〈2023年修士号取得〉
専門分野: メディア研究
Hayley Gerlach ヘイリー・ガーラック [アメリカ国籍]
ピッツバーグ大学大学院修士課程修了〈2024年修士号取得〉
専門分野: 日本文学
Elizabeth Kim エリザベス・キム [アメリカ国籍]
ミシガン大学アナーバー校大学院修士課程〈2024年修士号取得予定〉
専門分野: 疫学
Noah Lee ノア・リー [アメリカ国籍]
ラトガース大学大学院修士課程修了〈2023年修士号取得〉
専門分野: 日本文学
Marin Powers マリーン・パワーズ [アメリカ国籍]
セントルイス・ワシントン大学大学院修士課程修了〈2024年修士号取得〉
専門分野: 日本文学/ジェンダーと女性学
Kamran Rachlin カムラン・ラクラン [イギリス国籍]
東京大学大学院修士課程修了 〈2024年修士号取得〉
専門分野: ミクロ経済学
Aidan Seipke エイデン・サイプキ [アメリカ国籍]
ワシントン大学大学院修士課程〈2026年修士号取得予定〉
専門分野: 日本文学
Katherine Tran キャサリン・トラン [アメリカ国籍]
コーネル大学大学院修士課程修了〈2024年修士号取得〉
専門分野: 日本のポップ・ファンカルチャー
Eva Bergmann エファ・ベルグマン [ドイツ国籍]
デュースブルク・エッセン大学卒業〈2023年学士号取得〉
専門分野: 東アジア学/経済学
Julie Huynh ジュリー・フィン [アメリカ国籍]
ミドルべリー大学卒業〈2020年学士号取得〉
専門分野: 公共政策
Carmen Pascual カルメン・パスクアル [スペイン国籍]
グラナダ大学卒業〈2023年学士号取得〉
専門分野: 比較文学/日本文学
Michelle Wilkinson ミシェル・ウィルキンソン [アメリカ国籍]
マサチューセッツ大学アマースト校卒業〈2016年学士号取得〉
専門分野: 日英通訳・翻訳