「ちょっといい話」その213
―日本財団記事がコラムに―
先般、ある有力政治家より「官邸はもっと地方の実情を知るべきではないか」との真っ当な発言があった。私は政治家ではないが、可能な限り各県紙と言われる地方新聞に目を通している。と言っても、日本財団の記事の掲載があるか否かが中心ではありますが・・・。
最近、日本財団の単なるニュースだけでなく「コラム」でも取り上げて下さるようになったことは嬉しいことです。
以下、四国新聞(6月15日付)「記者ノート」、南日本新聞(6月16日付)「南風録」、三重新聞(6月15日付)「松阪縞」の各氏のコラムを紹介します。
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【記者ノート】四国新聞朝刊
体験から環境意識育む 川の中に入った子どもたちは貴重な体験を楽しみ、笑顔をのぞかせていた。ただ、身近な川の底にごみが散乱する様子をどう受け止めただろうか。
日本財団は4日、海洋ごみ対策プロジェクトの一環として、県とともに宇多津町の大束川で清掃活動を実施した。河口から約3キロ上流をせき止めてごみの回収作業をしやすくする新たな試み。財団によると、清掃のためにこれだけの規模で水位を下げた例は全国でもまれだという。
今回の活動には、町内の小中学生も参加していた。谷川町長は「子どもたちが自分たちで身近な川を掃除したのは、地域への理解と愛着を深めるいい機会になったのではないか」と語った。
宇多津小の男子児童は「普段はきれいな川なのに、水位が下がるとごみが多く見え、雰囲気が違った」とため息をついた。今回の清掃活動で、自分たちの行動が地域の環境に影響を及ぼすことを身をもって感じたのではないか。この経験が今後の生活に生かされることを期待したい。
(西讃支社・坂本雄)
【南風録】南日本新聞朝刊 東京都渋谷区に目を引くデザインの公共トイレが17カ所ある。建屋が球体だったり、外壁の色が変化したり。安藤忠雄さん、隈研吾さんといった著名建築家らが設計した。
暗い、汚い、臭い。そんな悪印象を一新し、誰もが気持ちよく使えるようにする日本財団主体のアートプロジェクトだ。訪日客にも知られ、行く先々で写真に収める姿を見かける。映画効果も人気を後押ししているのだろう。
取り組みの一環として製作されたビム・ベンダース監督の「パーフェクトデイズ」である。先月のカンヌ国際映画祭で、主人公のトイレ清掃員を演じた役所広司さんが男優賞に輝いた。実際の清掃 員に2日間ほど“弟子入り”し、忠実に再現したそうだ。
日本記者クラブで会見した役所さんは役作りを通し、細部にも手を抜かない日本人の精神性に感じ入ったと語る。「カンヌで取材してくれた外国の人たちに(自国の)トイレはどうかと聞いたら、ものすごく汚いって言うんです」。
うなずく人は多かろう。日本では掃除が行き届き、かつ無料、さらに温水洗浄便座まで付いて至れり尽くせりだ。〈空港のトイレで気づく異国感〉。TOTOのトイレ川柳がうまく言い当てる。
課題は使う側のモラルか。プロジェクトの狙いもそこに違いない。吸い殻や空き缶が落ちていては台無しだ。内面も磨いた美しいトイレで世界をもっと驚かせたい。
【松阪縞】三重新聞
“たいりょう”の未来 先日、松阪市松崎浦町の市立松ケ崎小学校の「松ケ崎クリーン大作戦」を訪れた。これは児童と地域住民が協力して、学校周辺と同町の松ケ崎港などを清掃し、活動を通して、自分たちが住む町をきれいにする意識を芽生えさせ育んでいくことを目的に、10年以上前から行われている。
私は3年前に初めて取材した。最初は「そんなにごみがあるものなのだろうか」と思いながら児童たちに付いてたが、港に着くとペットボトルやじょうろ、ブラシといったプラスチックごみが大量に落ちていた。今回も前回と同様に、プラスチックごみが目立った。それに加えて、釣りざおやツールボックスなどもあった。正直、3年前より悪化していて残念だったが、児童たちは「きれいにしたい」という一心で積極的に掃除した。
社会問題を取り上げている「日本財団ジャーナル」などによると、世界は毎年800万トン以上のプラスチックごみが海に流出しているという。日本は海に面する192の国や地域の中で流出量が多い方から30位。このまま増え続けると50年後には海洋ごみが、全ての魚の重さ超えると予測されている。
海に流出していく海洋ごみの8割は港を含め、街中から出されたもの。ごみが流出すると当然、海洋生物に悪影響を及ぼすから、このままでは絶対にいけない。一人一人がルールを守れば、この未来はきっと変えられる。私の目に映った児童たちや、未来の子供たちの海が大量のごみではなく、魚が“大漁”の海にしたいもの。
(小林ゆ)