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【私の毎日】4月28日(金)・4月29日(土) [2023年04月29日(Sat)]

4月28日(金)

7:00 ホテル発

7:30 空港着

9:40 ロンドン発

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ロンドンはまだ、日本の真冬並みの寒さでした



4月29日(土)

7:30 羽田着

「ちょっといい話」その212―ろう者の奨学生が博士号取得へ― [2023年04月28日(Fri)]

「ちょっといい話」その212
―ろう者の奨学生が博士号取得へ―


日本財団が様々な障がい者支援活動を1つの柱にしていることは、読者は御高承のことでしょう。

ろう者の若者の大学教育については、1992年よりアメリカのギャローデット大学やロチェスター工科大学等に、日本はもとより世界中から選抜された若者に奨学金を提供している。卒業後は各国に戻り、ろう者の指導者に成長するだけでなく、インクルージョンを実現しなければならない時代において、一般企業でも活躍してもらいたいと願っている。

今年の日本からの奨学生の一人、金本小夜(かねもとさや)さんは、この事業始まって以来初めて、博士号取得を目指して3年間、イギリスのリーズ大学で「現代ろう文学における日英の比較」を研究し、博士号取得後は日本の大学に勤め「障がい研究を日本の学術的研究の一分野として確立したい」と熱意を込めて語ってくれた。

博士号取得に情熱を燃やす金本小夜さんに3年後お目にかかれることを楽しみに、心の中で拍手をして送り出した。

23.04.18 金本小夜様1.png
日本財団マークの前でツーショット

【私の毎日】4月27日(木) [2023年04月27日(Thu)]

4月27日(木)

7:00 朝食

9:30 Ocean Census始動イベント(スピーチ)

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Ocean Census始動イベントでスピーチ

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ロンドンにあるRoyal Institutionにて開催された

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Nekton財団のRupert Grey会長


12:45 記者会見 

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記者会見も行われた


13:20 メディアからの個別インタビュー対応

14:00 関係者との昼食

18:00 ネクトン財団 グレイ会長との夕食会

「ウクライナ難民へ」―親身のお世話― [2023年04月27日(Thu)]

「ウクライナ難民へ」
―親身のお世話―


ウクライナからの避難民2000人を受け入れ、航空運賃から当面の生活のための一時金50万円、当初の住まい整備費(テレビ、洗濯機など)、そして3年間の生活費(1人年間100万円、最大1家族300万円)を支給することで、当面安定した生活が送れるよう支援し、就職、日本語の教育、子どもの問題をはじめ、避難民の悩みの解決に担当者は日夜懸命の努力をしてくれている。

数人の在日の心理学者もサポートして下さり、定期的な調査も行い、問題点の整理と解決のための犬馬之労(けんばのろう)をいとわず活動している。

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日本財団で活動して下さっている三人の心のケア・カウンセラー


少子高齢化の日本にとって、外国人の流入なくして成り立たない時代がすぐそこに迫っているが、今だしっかりとした来日移民政策はない。ウクライナ避難民の日本定住プロセスを通じて将来の日本の移民政策のありかたを考えていただきたいと、担当者は避難民に寄り添いながら、彼らと同じ目線に立って努力を続けている。

以下は4月4日、NHKの報道です。

*****************

ウクライナ避難者の就職支援 日本財団が新たな取り組み

 ロシアによるウクライナへの侵攻が長期化するなか、日本に避難している人たちの就職を支援しようと、日本財団は、本人の技能や希望に合わせて働き先の紹介などを行う新たな取り組みを始めました。

 日本財団によりますと、ウクライナから日本に避難してきた人の中には、専門知識や技能があるのに日本語が話せないなどの理由で希望する仕事に就けない人も多く、こうした人たちの就職支援が課題の一つとなっています。

 このため日本財団は、外国人の就職支援を行っている都内のNPOに委託して、仕事を求めている避難者の技能や希望に合わせて働き先を紹介するなど、新たな取り組みを先月から始めています。

 3日はウクライナで建築関係の仕事をしていた男性などがNPOに面談に訪れ、これまでの職歴ややりたい仕事などを伝えたあと、希望に合った企業について説明を受けていました。

 日本財団やNPOでは、日本語の学習支援を行って企業との面接にも同行するほか、就職した場合には職場に定着できるよう、避難者と企業の双方に定期的に連絡を取って、サポートを行うということです。

 面談を受けた男性は「これまでは自分だけで仕事を探そうとしてきましたが、就労に詳しいプロの方が対面で相談に乗ってくれて、サポートしてくれることは本当に心強いです」と話していました。

 日本財団ウクライナ避難民支援室の藤田滋さんは「避難者の中には経験や能力のある方も多く、企業にとっても即戦力になりうると思うので、就職をサポートしていきたい」と話していました。


【私の毎日】4月26日(水) [2023年04月26日(Wed)]

4月26日(水)

8:00 ティム・ヘグス・国際法曹協会事務局長と朝食ミーティング

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ティム・ヘグス国際法曹協会事務局長


10:30 Ocean Census 事業に関するインタビュー動画撮影
    (The Lennean Society of Londonの図書館内にて)

ALennean Society には生物学的に重要な標本や原稿・文献のコレクションが保管されている.JPG
Lennean Society には生物学的に重要な標本や原稿
文献のコレクションが保管されている

Bインタビュー動画撮影.JPG
インタビュー動画撮影


14:30 ルーシー・ノース氏(著書「地球を駆ける」の翻訳者)

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ルーシー・ノース氏


16:00 グレイト・ブリテン・ササカワ財団訪問

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グレイト・ブリテン・ササカワ財団訪問


18:30 林 肇・在英国日本国特命全権大使



「自殺意識調査」―増加傾向にあり― [2023年04月26日(Wed)]

「自殺意識調査」
―増加傾向にあり―


少子高齢化の時代の中で、18歳未満の死亡の原因の一番が自殺であることに大いにショックを受けました。

世界でもまれに見る現象であり、未成年の自殺率が最も深刻な長野県と共に「子どもの自殺危機対応チーム」の設置や、ゲートキーパー養成講座を実施する団体への支援等、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指し、力不足ながら懸命の努力をしているところです。

以下、第5回自殺意識全国調査の結果です。

日本財団は、全国の男女約 1 万 4 千人を対象に 5 回目となる自殺意識 調査を行いました。対象を前回調査の 15 歳〜79 歳から、18 歳〜29 歳の若年層中心に変更しており、 死にたいと願い自殺を考える「希死念慮」を経験した人は、前回の 15 歳〜19 歳の「約 3 人に 1 人」か ら「約 2 人に 1 人」と、一概に比較するのは難しい面がありますが、増加傾向にあると思われます。性 被害経験のある人の希死念慮経験は 7 割を超え、中でもトランスジェンダー・ノンバイナリー(※1)など 性的マイノリティの人がより多く性被害を受けている実態も明らかになっています。希死念慮や性被害に ついて、「誰にも相談しなかった」人は3〜5 割を超え、各種支援サービスの認知向上や社会全体で支える 雰囲気・仕組みづくりの必要性も改めて浮き彫りにされています。

※トランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人 ノンバイナリー:性のあり方が男性か女性という性別二元論にとらわれない人。英語圏では主に「ノンバイナリー」 や「ジェンダークィア」といった言葉が使われ、日本語圏では主に「Xジェンダー」が用いられている。
参照元:LGBTQ ガイドライン 多様な性のあり方の視点から 第 2 版

調査結果の詳細は、下記からご覧ください。
要約版:
詳細版:

■調査背景
日本では1998年以来、年間自殺者数が3万人を超え続けていたことを受け、自殺対策基本法の制定等の 取り組みが強化されました。その結果、2010年以降自殺者数は連続して減少してきていましたが、依然 として日本の自殺率は15.7%と先進7カ国(G7)で突出して高く、とりわけ若年世代(15〜39歳)の死 因第1位が「自殺」なのは日本だけ※1 です。また、2020年には10年間減少を続けていた自殺者数が増加 に転じ、警察庁・厚生労働省は、令和3年は令和2年と比較して、経済・生活問題、家庭問題、その他、 勤務問題が増加したとしています※2 。日本財団では、こうした中で改めて若年層の自殺意識について把握 するため、今回自殺意識調査を実施しました。

■第 5 回自殺意識調査 結果概要

・若年層の希死念慮(回答者数 14,555 人):
 希死念慮経験あり 44.8%、希死念慮経験なし 55.2%
・性被害経験が希死念慮にあたえる影響
 性被害経験あり(回答者数 2,148 人):
    希死念慮経験あり 76.4%、希死念慮経験なし 23.6%
 性被害経験なし(回答者数 12,407 人):
    希死念慮経験あり 39.3%、希死念慮経験なし 60.7%
・性別ごとの性被害経験
 全体(回答者数 14,685 人):
    性被害経験あり 15.3%、性被害経験なし 84.7%
 トランスジェンダー・ノンバイナリー・その他:
    性被害経験あり 36.3%、性被害経験なし 63.7%
※「トランスジェンダー・ノンバイナリー・その他」は、本調査中で性自認に関する設問(あなたは今のご自分の性別を、 出生時の性別と同じだととらえていますか。)で、「別の性別だととらえている」「違和感がある」「答えたくない」を選択した 者を指す。
・希死念慮・性被害経験の相談経験
 希死念慮:誰にも相談しなかった 56.6%
 性被害経験:誰にも相談しなかった 36.8%
・公的サービスの認知度
 希死念慮経験あり(回答者数 6,474 人)
 支援サービスを耳にしたことがない 42.2%
 性被害経験あり(回答者数 2,155 人)
 支援サービスを耳にしたことがない 53.5%

【私の毎日】4月25日(火) [2023年04月25日(Tue)]

4月25日(火)

8:00 羽田空港着

9:30 羽田発

16:00 イギリス・ロンドン着

17:30 クレア・アイルランド(Claire Ireland)・The Elders Foundation事務部長

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クレア事業部長と
娘さんが翌日に18歳になられるとのことで、薔薇をプレゼント


18:30 ホテル着

19:00 関係者との夕食

「地方選挙」―若者の関心は薄い― [2023年04月25日(Tue)]

「地方選挙」
―若者の関心は薄い―


日本財団の18歳意識調査で統一地方選挙の実施を知らない若者が7割を占め、また以前の「18歳は大人か子どもか」についての調査で、多くは子どもと答えたことにショックを受けたことがある。

4月12日付釧路新聞のコラム「余塵」の記事を掲載します。

*****************

若者への周知を

 第20回統一地方選は前半戦が終わり、次は各市町村の首長や議員の選挙が行われる。現職が再選を飾った道知事選の投票率は51.70%と過去最低を記録。激戦となった道議選釧路市区は48.95%と5割を切った。後半戦の投票率が気になるところ。

 日本財団が全国の18歳を対象に行った意識調査で、統一地方選の実施自体を知らないという回答が7割近くを占め、地方議会の役割について半数近くが「知らない」と回答するなど、関心の低さや周知不足が浮き彫りとなった。

 地方議会について期待することでは「住民の意見や要望を聞く機会を設ける」「住民が困っていることなどの相談を受ける」との回答がそれぞれ30%余りあったが「特に期待することはない」も同程度あり、こちらも課題だ。

 議員のなり手を増やすためには「若者の議会進出を促進すべき」の回答が5割あり、他に「オンラインの議会参加を可能にすべき」との声もあった。

 また、国会と政治家をテーマとした調査では45%が「政治に関心がない」、81%が「政治がクリーンであると思わない」、52%が「国会が有意義な政策の場になっていない」とし、より多くの若手議員の選出などを求めている。若者へのアピールが必要だ。

【私の毎日】4月24日(月) [2023年04月24日(Mon)]

4月24日(月)

15:03 財団着

15:05 「遺贈セミナー」打合せ

17:00 角南 篤 笹川平和財団理事長

18:00 ペイマン・セアダット(Peiman SEADAT)イラン新大使・歓迎会

「ストラディヴァリウスの謎」―なぜそんなに高価なのか― [2023年04月24日(Mon)]

「ストラディヴァリウスの謎」
―なぜそんなに高価なのか―


日本財団の姉妹財団である日本音楽財団は、弦楽器の名器といわれるストラディヴァリウス・ヴァイオリン15挺、ストラディヴァリウス・チェロ3挺、ストラディヴァリウス・ヴィオラ1挺の計19挺の他、グァルネリ・デル・ジェス・ヴァイオリン2挺の合計21の弦楽器を保有し、世界一の保有者である。

勿論これらはコレクションのためではなく、世界の著名な音楽家の審査により選ばれた演奏家に無償貸与することにより、世界の音楽愛好家に楽しんでもらうためである。

購入時は現在に比べ非常に安価でした。この楽器の謎について分かりやすい説明がありましたので、下記の通り、4月5日付テンミニッツTVの記事を拝借致しました。

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時価数十億!?ストラディヴァリウスが高い理由


クラシック音楽には趣味も興味もなくてね、という人でも、名器「ストラディヴァリウス」の名前や評判を聞いたことはあるでしょう。絵画でいえばルーベンス、車にたとえればロールスロイスといわれる唯一無二の存在の秘密に迫ってみました。

そもそもストラディヴァリウスとは?
ストラディヴァリウスは、イタリア・クレモナのストラディヴァリ父子3人(父アントニオ、子フランチェスコ、オモボノ)が17〜18世紀にかけて製作した弦楽器のこと。とくに父親のアントニオが製作したものが有名です。オークションなどでは「ウン十億」と、楽器にしては破格の値段がつけられ、音楽関係者だけでなく資産家やコレクターにとっても垂涎の的として知られています。

ストラディヴァリ父子はほぼ70年間で1100〜1300挺の楽器を製作されたとされ、そのうちの約600挺が現存しています。最も多いのはヴァイオリンですが、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、マンドリンやギター、ハープまで、弦楽器ならほぼなんでもつくったようです。しかし、ヴァイオリンとチェロ以外の楽器は現存数が少ないため、公開市場にはまず出てこず、博物館や個人収集家のもとで眠っています。

最も多く出回るヴァイオリンも非常に高価なため、所有する団体から演奏家に貸与されるのが通例。日本では日本音楽財団が最も多くのストラディヴァリウスを所有し、内外の35歳以下の若手演奏家に無償貸与しています。

名器を演奏した古今東西の演奏家とオークション
どんなに高価なものとはいえ、美術品ではなく楽器である以上、ストラディヴァリウスの価値は音色にあります。

ストラディヴァリウスを愛用した著名なヴァイオリン演奏家としては、ニコロ・パガニーニ、フリッツ・クライスラー、ジャック・ティボー、ミッシャ・エルマン、ヤッシャ・ハイフェッツなどの名が挙げられます。チェロでは、ムスティフラフ・ロストロポーヴィチ、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ヨーヨー・マなどがストラディヴァリウスを用いた名演奏を残しています。

日本のヴァイオリニストで、ストラディヴァリウスの名を一般に広めたのは2021年に亡くなった辻久子さん。1973年に自宅を売却し、1703年製のストラディヴァリウスを購入したのは、大きなニュースになりました。その後も千住真理子さんや高嶋ちさ子さんが個人所有していることで有名です。

国内で最も多くストラディヴァリウスを所有する日本財団が、東日本大震災の復興支援のため、オークションに出品したのが「レディ・ブラント」(1721年製)。保存状態の非常によい逸品であったため、過去最高額の1,589万4000ドル(約12億7,420万円)で落札されました。また、2022年6月には、「ダ・ヴィンチ」(1714年製)が1,534万ドル(約20億6,000万円)で落札と、歴代2位(ドル換算)を記録しました。こちらの出品者は株式会社壱番屋(カレーハウスCoCo壱番屋)の創業者で、名古屋・宗次ホールのオーナーでもある宗次徳二さんです。

バイオリンの最高峰「ストラディヴァリウス」が高価な理由
製作されて300年も経つストラディヴァリウスが、なぜそれほど高い評価を受けているのでしょうか。その音色は、現代の技術でも再現不可能とされています。ニスが違う、防腐処理に特別な方法を使ったなどの逸話がささやかれてきましたが、現在ではいずれも否定されています。

最近の研究で明らかになったのは材質の違いです。ストラディヴァリ父子が活躍した17〜18世紀は小氷期のちょうど中頃。夏も冬も日照時間がほとんど変わらず、一年中木の成長速度が安定しているため、均一な密度で、極めて「積んだ」木材ができたのだそうです。このことはCTスキャンによる分析でも明らかにされています。

そのなかでも素晴らしい材料を見極めた上で、ストラディヴァリ工房の天才的な技術によってつくられた弦楽器は、初めて世に出た頃から名器の名をほしいままにしました。工房から出荷された楽器は王侯貴族に引き取られ、大事に保管されたり、彼らがパトロンとなった名演奏家の手で弾き込まれたりしてきました。

300年間、楽器としての成熟が進むなかで、1挺ごとの個性が育ち、名器の音を誕生当時以上のものにしていると言われます。古くはマリー・アントワネットやエリザベートの聴いた楽器が、今もコンサート会場の空気を震わせると思うと、ロマンティックですね。

科学技術では再現できないストラディヴァリウスの魔力
このように、最適の材質、際立った技術、エイジングの三つが組み合わさって、奇跡的に生まれたのが現在のストラディヴァリウスです。現存する600挺のうち、博物館や個人コレクターの収蔵品になったものは市場に出てきませんから、常に需要が供給を上回る状態。しかも、奇跡的な組み合わせですから、新たな供給のメドはありません。

ヴァイオリンは1000年保つともいわれる耐久性の高い楽器で、個々の楽器の音のピークがいつになるかは専門家にもわからないとのこと。しかし、日本ヴァイオリン代表取締役、中澤創太さんによると、「ストラディヴァリウスにはずれなし」。年代によって評価は違うものの、ストラディヴァリの製作技術は初期から晩年に至るまで安定していたようです。

年始番組では芸能人の格付けチェックとしてストラディヴァリウスが登場しますが、ブラインドテストによると、現代の新作楽器との聴き分けは困難だとの結果も出ています。

貴重なストラディヴァリウスを、世界の一流演奏家が奏でていると思うからこそ、私たちは満足するのかもしれません。伝説も希少性もまじえての評価が、ストラディヴァリウスの魔力なのでしょう。

<参考サイト>
ストラディヴァリウスはなぜ高い?
天才ヴァイオリン職人が生み出した、世界に600挺存在する銘器の秘密!


また、日本音楽財団が保有する全21挺の弦楽器のエピソードを追加します。
(日本音楽財団「2021年度事業報告書及び付属明細書」より)

*****************

日本音楽財団の保有楽器概要

(2022 年3 月31 日現在)

Stradivarius "Paganini Quartet" 「パガニーニ・クァルテット」
1680年製Violin 1727 年製Violin
1731 年製Viola 1736 年製Cello
アントニオ・ストラディヴァリ(1644〜1737)製作による楽器で構成されたクァルテットは、世界で6 セットの存在が知られている。このクァルテットはその一つであり、19 世紀の伝説的なヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ(1782〜1840)が所有していたことでも有名である。1994 年4 月に当財団はアメリカ・ワシントンD.C.のコーコラン美術館よりこのクァルテットを購入した。同美術館にこのクァルテットを寄贈した米国のアンナ・E・クラーク夫
人の意志を受け継ぎ、当財団は4 挺を常にセットとして四重奏団に貸与している。

Stradivarius 1700 年製Violin "Dragonetti" 「ドラゴネッティ」
このヴァイオリンはネックの部分までも製作当時のものが使用されているとても貴重な楽器である。著名なイタリアのコントラバス奏者ドメニコ・ドラゴネッティ(1763〜1846)によって大切に所有されていたことから現在この名前で呼ばれている。当財団の購入直前には、世界的に名の知られているヴァイオリン奏者、フランク・ペーター・ツィンマーマン(1965〜 )によって演奏されていた。2002 年6 月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1702年製Violin "Lord Newlands" 「ロード・ニューランズ」
イギリスのニューランズ卿(1825〜1906)によって生涯大切にされていたため、現在この名前で呼ばれている。1964 年から1982 年にこの楽器を保管していたロンドンのヒル商会が、1973 年に英国バースの古楽器名器展にて、当時のヒル商会を代表する楽器としてこのヴァイオリンを展示していた。楽器の保存状態が優れているだけでなく、その音質の良さでも知られており、以前このヴァイオリンを演奏したアイザック・スターン(1920〜2001)は、自身が所有しているグァルネリ・デル・ジェスと同じパワーを感じると語ったという。
2002 年6 月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1708 年製Violin "Huggins" 「ハギンス」
このヴァイオリンは、1870年代後半にフランスからウィーンにもたらされ、1882年頃、イギリスの天文学者ウィリアム・ハギンス卿(1824〜1910)が購入し、所有していたことから「ハギンス」と呼ばれている。色艶も鮮やかで保存状態に優れている。当財団は1997年よりベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門優勝者に副賞として次のコンクールまでこの楽器を貸与し、コンクールの発展と演奏家の技術向上に寄与している。1995年3月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1709 年製Violin "Engleman" 「エングルマン」
このヴァイオリンは、アメリカ海軍士官ヤング中佐が第二次世界大戦中に戦死するまで、約150年間ヤング家に大切に保管されていたため、保存状態が優れている。当財団が保有する以前は、アメリカのアマチュア・ヴァイオリン奏者で収集家のエフレイム・エングルマンが所有していたため、現在はこの名前で親しまれている。1996年12月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1710 年製Violin "Camposelice" 「カンポセリーチェ」
このヴァイオリンは、1880年代にフランスのカンポセリーチェ公爵の手に渡ったことから「カンポセリーチェ」と呼ばれている。1937年には、クレモナ古楽器名器展に当時この楽器を所有していたキューネ博士のコレクションとして展示された。当財団が購入する前は、30年間以上ベルギーのアマチュア奏者のもとで大切に保管されていた。2004年9月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1714 年製Violin "Dolphin" 「ドルフィン」
1800年代後半にこの楽器を所有していたジョージ・ハートは、光沢の美しい裏板のニスと華麗な見栄えが、優美なイルカが光り輝いている様を思わせることから「ドルフィン」という名前を付けた。音色並びに楽器の保存状態が優れており、1715年製「アラード」、1716年製「メシア」に並ぶストラディヴァリウスの三大名器の一つとされている。また、巨匠ヤッシャ・ハイフェッツ(1901〜1987)が愛用していたことでも知られている。2000年2月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1715 年製Violin "Joachim" 「ヨアヒム」
この楽器は、有名なハンガリーのヴァイオリン奏者、ヨーゼフ・ヨアヒム(1831〜1907)が所有していたストラディヴァリウス1715年製ヴァイオリン3挺の内の1つである。また、ヨアヒムからヴァイオリンのレッスンを受けていた彼の兄弟の孫娘アディラ・ダラーニ(d’Aranyi)に遺贈されたことから「ヨアヒム=アラーニ」という名前でも知られている。当財団が購入するまでは、アディラの遺族によって代々受け継がれてきた。2000年9月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1716 年製Violin "Booth" 「ブース」
1855年頃にイギリスのブース夫人が所有していたため、現在の名が付けられている。彼女はヴァイオリンの才能を発揮した2人の息子たちのためにストラディヴァリウスのクァルテットを形成しようと試み、この楽器を購入した。1931年にアメリカの名高いヴァイオリン奏者ミッシャ・ミシャコフ(1896〜1981)の手にわたり、1961年にはニューヨークのヘンリー・ホッティンガー・コレクションの一部となった。音色の美しさ、音の力強さにおいて知名度が高く、保存状態も優れている。1999年1月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1717 年製Violin "Sasserno" 「サセルノ」
1845年からフランスのサセルノ伯爵が所有していたことからこの名前で呼ばれている。1894年には、イギリスで有名な醸造所を所有していたピカリング・フィップスの手に渡った。1906年にはイギリスのヘンリー・サマーズが所有し、それ以後93年間にわたり同家で大切に保管されてきたため、製作時のままのニスが多く残っており保存状態が非常に優れている。1999年5月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1722 年製Violin "Jupiter" 「ジュピター
このヴァイオリンは、1800年頃にイギリスの収集家ジェームス・ゴディングによって「ジュピター」と名付けられたといわれている。この楽器は大切に使用されてきたため保存状態が素晴らしく、オリジナルのニスも全体に残っている。1998年5月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1725 年製Violin "Wilhelmj" 「ウィルヘルミ」
1866年以降、約30年間この楽器を所有していたドイツの著名なヴァイオリン奏者、アウグスト・ウィルヘルミ(1845〜1908)に因んでこの名前が付けられた。ウィルヘルミの所有していた数多くのヴァイオリンのうち最も愛用されていた楽器だったが、「演奏者としてベストなうちに引退したい」との理由で、50代の若さで楽器を手放したという。2001年6月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1735年製Violin "Samazeuilh" 「サマズィユ」
この楽器は1836 年、楽器商のタリシオによってイタリアからフランスへ持ち込まれ、一時リヨンのシャポネー伯爵が所有していた。しかし、19 世紀の終わりにロンドンのヒル商会の手に渡り、1901 年、ヴァイオリニストのアーサー・ハートマン(1881〜1956)へ売却された。1903 年にはサマズィユ家が購入し、所有していたことから「サマズィユ」と呼ばれている。1923 年に楽器を所有することになったヴァイオリンの巨匠ミッシャ・エルマン(1891〜1967)は「ストラディヴァリウスの中で最高の音色を持つ楽器の1 つ」と
1926 年に手紙に記している。楽器の内側のラベルには91 歳(製作者の年齢)と書かれている。2017 年8 月に当財団が岡本夫妻の寄付と日本財団からの助成を合わせて購入したものである。

Stradivarius 1736 年製Violin "Muntz" 「ムンツ」
楽器の内側に貼られたラベルにはストラディヴァリ本人の手書きで「d'anni 92(92歳)」と書かれている珍しい楽器である。透明な黄褐色のニスが楽器のほぼ全体に綺麗に残っており、楽器の保存状態も音色も格段に優れている。1872年以降、英国バーミンガムの有名な収集家でアマチュアのヴァイオリン奏者のH.M.ムンツが所有していたため、「ムンツ」と呼ばれている。1737年に死去したストラディヴァリが、最晩年に製作した楽器の一つとして知られている。1997年7月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1696 年製Cello "Lord Aylesford" 「ロード・アイレスフォード」
イギリスのアマチュア奏者アイレスフォード卿が1780年代初期にイタリアの名高い音楽家のフェリーチェ・デ・ジャルディーニ(1716〜1796)から購入し、その後アイレスフォード家に約100年間所有されていたことからこの名前が付けられた。1946年にはアメリカ・フィラデルフィア在住の世界的に著名なチェロ奏者グレゴール・ピアティゴルスキー(1903〜1976)の手に渡り、1950年から1965年には巨匠ヤーノシュ・シュタルケル(1924〜2013)によって演奏会や35枚のレコーディングのために使用された。2003年6月に当財団が購入したものである。

Stradivarius 1730 年製Cello "Feuermann" 「フォイアマン」
アントニオ・ストラディヴァリが製作したうち、現存するチェロは、約50挺といわれている。「フォイアマン」は普通のチェロと比べ、楽器本体の部分が細長い点が特徴である。世界的に著名なチェロ奏者、エマヌエル・フォイアマン(1902〜1942)が1939年から長年にわたり使用したことから、この名前で呼ばれている。エマヌエル・フォイアマンは、斎藤秀雄(1902〜1974)の師として日本でもよく知られている。1996年12月に当財団が購入したものである。

Guarneri del Gesu 1736 年製Violin "Muntz" 「ムンツ」
アントニオ・ストラディヴァリと並び称される名工、バルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ(グァルネリ・デル・ジェス)(1698〜1744)が製作したヴァイオリン。1736年製のストラディヴァイオリンも所有していたイギリスのアマチュア奏者で収集家のムンツが一時期所有していたことから、この名前で親しまれている。1995年3月に当財団が購入したものである。

Guarneri del Gesu 1740 年製Violin "Ysaye" 「イザイ」
この楽器はベルギーの国家的ヴァイオリン奏者、ウジェーヌ・イザイ(1858〜1931)が所有していたことからこの名前が付けられた。楽器の中に貼られた小さなラベルには赤いインクで「このデル・ジェスは私の生涯を通じて忠実なパートナーだった。イザイ1928」とフランス語で書かれ、イザイの国葬の際には棺の前をクッションに載せられ行進したことでも知られている。1965年に巨匠アイザック・スターン(1920〜2001)の所有となり生涯愛用した。
1998年3月に当財団が購入したものである。
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