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【私の毎日】4月28日(木) [2022年04月28日(Thu)]

4月28日(木)

6:45 財団着

9:30 加納雄大 外務省南部アジア部長

10:30 園田裕史 大村市長 寄附金授与式
    (新型コロナウイルス対策支援2,000万円)

11:30 子どもサポートチーム寄付金支援事業打合せ

13:00 石月英雄 外務省アジア大洋州局参事官

「ウクライナ避難民支援」―学生ボランティア募集― [2022年04月28日(Thu)]

「ウクライナ避難民支援」
―学生ボランティア募集―


国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアの侵攻に伴い国外に逃れたウクライナ国民は4月20日現在500万人を超え、国内避難民も700万人に上っている。一方、国連障害者の権利委員会は、約270万人の障害者のうち避難所や国境に到達できた人は極めて少なく、「大半の安否が不明」との声明を発表している。

そんな切迫した状況を受け、日本財団ではウクライナ避難民支援策第2弾として@ウクライナ国内に取り残された障害者の救出や医薬品の提供に取り組んでいる国際NGO「Access Israel(アクセス・イスラエル)」に約2億9000万円を助成し活動を支援するAポーランドなど隣国に避難した障害者支援のため日本人の学生ボランティア約100人を派遣するー方針を決め、4月26日、記者発表した。

うち学生ボランティアは、姉妹財団の日本財団ボランティアセンターと協力して希望者を募集し、5月末から15人ずつ各2週間、10月までに計7陣105人を避難民が多いポーランドのクラクフなどに派遣する計画で、関連費用として1億2000万円を予定している。日本の若者の内向き志向が指摘される中、記者発表では「支援活動を通じて若い人に、厳しい国際社会の現状を体感してもらいたい」と希望を述べた。

一方、Access Israelはイスラエルに本部を置き、ポーランドを中心に現地の状況を調べてきた樺沢一朗常務理事によると、メンバーは約120人。障害者の支援に取り組む同国でも有数の国際NGOで、ウクライナ国内にも豊富な情報ネットワークを持ち、活発な活動を展開中。障害者支援に大きな力を発揮すると期待している。

一方の3月末に発表した50億円規模の支援策第一弾。日本財団に設けたウクライナ避難民支援室には既に避難民や関係者から約1500件の問い合わせ寄せられており、5月上旬には避難した人に対する渡航費や生活費の支給、さらに避難民を支援するNPO団体などに対する助成を開始できる段取りとなっている。

ウクライナ情勢の先はなお流動的だ。日本財団ではこれまでも内外で1350億円に上る障害者支援を実施してきた。5月に予定されるWHO総会に出席した後、ポーランドを訪問し、現地の緊張した情勢を直に確認し、避難民支援を充実させたいと考えている。

下記は4月26日の共同通信社の記事と同日の記事会見での私の説明を記載しました。

ウクライナ記者会見.jpg
ウクライナ避難民を支援する学生ボランティア派遣について記者会見する日本財団の笹川陽平会長
=26日午前、東京都港区

*******************

 日本財団は26日、ロシアの軍事侵攻を受け、隣国などに逃げたウクライナ避難民を支援する学生ボランティア約100人を派遣すると発表し、募集を始めた。ウクライナには多くの障害者が残っており、実績のある国際NGO「アクセス・イスラエル」と協力し、大規模な救助活動への支援にも乗り出す。

 活動場所は隣国ポーランド南部のクラクフ、オーストリアの首都ウィーンなど避難民の多い地域。食料や医薬品を配布したり、ウクライナから救出された障害者の支援に当たったりする。

 第1陣として5月30日から6月16日まで15人を派遣する予定。10月まで7回に分けて計105人を見込む。

*******************

本日は、日本財団のウクライナ避難民支援の第二弾ということで発表致します。先般申し上げました通り、第一弾は50億円規模で来日するウクライナ避難民に対する人道支援で、内訳は渡航費や生活費に35.5億円、日本のNPO等への支援が15億円となっております。既に1500件を超える相談を日本財団にいただいております。皆様のご協力に改めて感謝申し上げます。

第二弾の支援は、ウクライナ隣国へ避難する障害者への支援です。ご承知の通り、先般国連総会においてウクライナの避難民に対する決議案が上程されました。日本財団と国連は良好な関係にあり、本決議文の中に障害者そして高齢者の避難の必要性も追加してもらいました。日本財団の障害者支援は、日本財団の活動の中でも一つの大きな柱であり、これまで国内外の障害者支援には約1350億円を提供して参りました。日本財団は、様々な障害をもった人たちも一般の社会の中で生活できるという仕組みを作りたいと考え活動しております。

樺沢一朗・日本財団常務理事は、既にポーランドに入って現地の状況を調査してきています。私自身も5月のWHO総会の後の25、26日にポーランドに入り、現場を訪問する予定です。我々の仲間としてマケドニアの難民経験者にも現地に先乗りいただいており、この後説明する学生ボランティアの受け入れについても、現場で問題点がないかの調整を進めております。

現在ウクライナには、障害をお持ちで国外に避難したいという方、体力的に難しいことから国内に留まりたいが医薬品などの物資の欠乏という問題を抱えている方といった2通りの方がいらっしゃいます。この度日本財団は、障害者支援を行っているイスラエルの「アクセス・イスラエル」という国際NGOと共に、ウクライナ隣国へ避難する障害者への支援を実施致します。既に、2.9億円の資金を同団体に送金済みで、特に車両が必要であるという現場の報告から、車両の提供を進めております。また、救出した人の支援と同時に、自宅から出られない人への医薬品や衣料品等の物資供与ということについてもしっかりやっていきたいと考えています。

ポーランドのクラクフには、ヤゲロニア大学という由緒正しい大学があります。日本財団は35年間、同大学での修士・博士課程の奨学金制度を支援しています。創立650年ということもあり、ヤゲロニア大学が所蔵している世界地図にはアメリカ大陸がありません。こうした歴史のある大学に加え、アクセス・イスラエルやマケドニアの難民経験者など、日本財団の持つ国際ネットワークが機能を駆使して今回の支援が効果のあるものになることを期待しています。アクセス・イスラエルはユダヤ人との強いネットワークを持っております。ウクライナのゼレンスキー大統領はユダヤ人であり、ウクライナ国内にも数多くのユダヤ人がいるので、大きな役割を果たしてくれると考えておりますが、勿論我々の支援はユダヤ人だけを対象としているわけではなく、ウクライナ国民すべてを対象としています。

具体的な避難場所についてはクラクフを中心に考えておりますが、場合によってはオーストリアのウィーンまで含めることも検討しています。時々刻々と状況は変化していますので、変化に対応できるように柔軟に対処していきたいと思います。現状の避難民支援については、健康な女性、子どもが中心ですので、我々がそこに障害者の方々も同様に避難できるよう支援致します。これは、日本財団の創立以来の国際的な人道支援活動の一環として実施するものであります。私自身、現地に入れば多くの国際NGOとの連携も可能となっていくと考えております。日本財団、そして私の行動哲学は「現場には問題点と答えがある」というもので、冷暖房のきいた快適な事務所で支援を考えるのではなく、現場を見て対処すべきこと見つけ実施していくということを重視しております。

今回は、アクセス・イスラエルやヤゲロニア大学などの協力をいただいておりますが、更に日本の大学生を中心に100人規模で現地に行っていただき、支援活動、具体的には、国境線上で救出された方々へのサポート、或いは既に届いている食料品や物資の整理などの仕事に従事してもらいたいとも考えています。活動場所については、外務省の渡航制限があるのでウクライナに入ることはありませんが、クラクフを中心に国境付近の現場となります。現地では配布する医療品の地域別の分類、配送への梱包等様々な仕事があります。臨機応変に対応できるように学生を指導しつつ、危険のないように仕事をしていただきます。

こうした学生の派遣を行う背景には、国際社会のNGOが集まっている中で、日本の学生に現場を知って欲しいという想いがあるからです。ともすれば、日本ではグローバリゼーションの中で内向き志向になっているという若者が増えているという特徴があります。今や日本あっての世界ではなく世界あっての日本という時代ですから、内向き志向の若者に国際社会の現状を救援活動を通じて知ってもらうことは、日本の将来にとって非常に重要なことであると考えています。

学生の派遣方法については、15人を1つのグループとして、2週間程度順番に現地に入っていただくことを想定しています。時期としては、5月30日から6月16日を第一陣とし、10月ごろまで7回程度派遣していく予定です。勿論ボランティアですので賃金の支払いはありませんが、学生の渡航に係る航空運賃や宿泊費用は日本財団が負担し、予算としては約1.2億円程度を計上しています。募集については、日本財団の姉妹財団である日本財団ボランティア・サポート・センターが募集を行う予定です。募集要件として、当然活動場所が外国ですので、英語の能力があることが一つの大きな要件となります。

皆様方のお力をいただきまして、より多くの学生が応募してくれることを期待しています。現場の状況は流動的ですので、日本としても民間レベルでの難民支援を積極的に行い、また諸外国のNGOとの連携、情報交換も積極的に進めていかなければなりません。その中で、我々がやらなければならない仕事があれば、日本として積極的に人道支援活動を実際に現場で実施するということが重要ではないでしょうか。ありがとうございました。


【私の毎日】4月27日(水) [2022年04月27日(Wed)]

4月27日(水) 

15:00 財団着

財団内打合せ

18:00 作家 工藤美代子氏

原稿書き、寄付金への礼状書き

「中国の小話」その286―コロナ禍の世論の変化― [2022年04月27日(Wed)]

「中国の小話」その286
―コロナ禍の世論の変化―


中国はコロナ・ゼロ政策を堅持。深圳、長春、上海をはじめ、多くの都市でロックダウンが続き、住民の不満は日に日に高まっている。

そこで、こんな小話がささやかれている。

2018年:世界は広い。
外国へ出かけてみたい。

2019年:中国は広い。
よその都市へ出かけてみたい。

2020年:北京は広い。
あちこちへ出かけてみたい。

2021年:海淀区は広い。
区内へ出かけてみたい。

2022年:住宅団地は広い。
家の外へ出かけてみたい。

【私の毎日】4月26日(火) [2022年04月26日(Tue)]

4月26日(火)

6:45 財団着

8:00 ウクライナ支援事業打合せ

9:00 玉澤正徳 笹川スポーツ財団常務理事

9:30 門野 泉 東京財団政策研究所理事長

11:00 ウクライナ支援事業 第2弾「ウクライナ隣国へ避難する障害者支援
    日本人学生ボランティアを100名派遣」記者発表

22.04.26 ウクライナ支援記者会見.JPG
ウクライナ支援記者会見


12:00 新規事業「海洋生物探査」打合せ

15:30 徳田修一 外務省欧州局審議官大使

終日 原稿書き、寄付金への礼状書き

「新しい地図」―新型コロナプロジェクト寄付受付終了― [2022年04月26日(Tue)]

「新しい地図」
―新型コロナプロジェクト寄付受付終了―


新しい地図と日本財団による基金「LOVE POCKET FUND」新型コロナプロジェクト寄付受付終了 40以上の団体・病院を支援

Lov Poket Fund.png


 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による新しい地図と日本財団が立ち上げた基金「LOVE POCKET FUND」が行ってきた「新型コロナプロジェクト」の寄付受付は2022年3月31日をもって終了した。

 同基金は「『生きにくさ』を抱えている女性や子どもを中心とした支援や高齢者、地方創生に係る支援」を行うという趣旨の元、2020年4月、新しい地図の3人と日本財団が共同で立ち上げたもの。その活動の第1弾となった「新型コロナプロジェクト」は、2020年4月27日、新型コロナウイルス対策のため最前線で活動している医療従事者やコロナ禍で困窮になった子どもたち等の支援として開始。これまでに490,410,785円(2022年3月28日現在)の寄付を預かり、43団体・病院への支援などに活用してきた。「新型コロナプロジェクト」終了後は、引き続き緊急の支援を必要とする女性や子どもたちのための寄付の受付を行っていきます。第2弾のプロジェクト詳細はまとまり次第発表します。改めて、寄付を寄せられた多くの皆さんに厚くお礼申し上げます。

支援先詳細
公式ホームページ

※上記記事は、Real Sound Webサイトより拝借しました。


【私の毎日】4月25日(月) [2022年04月25日(Mon)]

4月25日(月)

6:43 財団着

8:30 ウクライナ支援打合せ

9:15 寄稿奨励金渡し

11:00 佐々木聖子 出入国在留管理庁長官

11:30 葛西 健 世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局事務局長

13:00 渡邉一利 笹川スポーツ財団理事長

「ウクライナ避難民支援」―50億円の支援― [2022年04月25日(Mon)]

「ウクライナ避難民支援」
―50億円の支援―

表題の件は既に3月28日の記者会見で発表しましたが、更にこのニュースが拡散されて多くの避難民の方たちに届き、国民レベルでウクライナ避難民の支援活動が活発化することを願って、朝日新聞デジタルの宮野拓也氏の記事を全文拝借しました。

****************

 日本財団は28日、ロシアの侵攻を受けて日本へ避難するウクライナ人に対し、渡航費や生活費などとして3年間で計50.8億円を支援すると発表した。

 同財団は、国内への避難を希望するウクライナ人を1千人と想定。渡航費、生活費に35.5億円を充て、1人あたり渡航費30万円、年間の生活費100万円を3年間支給する。1世帯あたりの生活費は年間300万円を上限とする。

 住環境については、自治体が公営住宅の提供を発表しているとして、同財団は家電などの購入費として1世帯50万円も支給する。

 また、国内で生活支援をするNPO法人にも3年間で15.3億円を支給するという。

 同財団はすでに職員をポーランドに派遣したほか、「ウクライナ避難民支援室」を設置した。この日の会見で笹川陽平会長は、同財団がチェルノブイリ原発事故後に医療協力をしたことなどを紹介し、「今回の戦争にことのほか心を痛めている。何かウクライナのためにやりたいと総出で議論を重ねてきた。(想定は)一つの目安。人道支援なので柔軟に対応したい」と話した。問い合わせは支援室(03・6229・5131、平日午前9時から午後5時)。ウクライナ語での対応も可能という。QRコードからもアクセスできる。(宮野拓也)

【私の毎日】4月22日(金) [2022年04月22日(Fri)]

4月22日(金)

6:50 財団着

7:30 海野光行 日本財団常務理事

9:00 武見敬三 参議院議員

10:00 寺谷誠一郎 鳥取県智頭町元町長

13:00 ASEAN特使(カンボジア)とのZOOM会議

終日 原稿書き、寄付金への礼状書き

「国際開発ジャーナル」―荒木編集主幹と対談― [2022年04月22日(Fri)]

「国際開発ジャーナル」
―荒木編集主幹と対談―


月刊誌「国際開発ジャーナル」は、日本を代表する国際人であった大来佐武郎(元外務大臣)から信頼の厚かった側近の荒木光弥氏が創刊されました。日本の国際援助活動を知る上で貴重な情報を提供してくれています。写真も豊富で読みやすいので、国際関係に興味のある若者にお勧めしたい雑誌です。

以下は3月号に掲載された荒木編集長主幹と私の対談記事です。紙面の関係で若干議論の深まりに欠けるきらいはありますが、ご参考までに掲載しました。

“真実に近いところ”で議論する力が欲しい

「口舌の徒」になっていないか

―2022年において、日本は何をすべきでしょうか。

 世界の中で日本は今どういう立場にあるのかを見つめ、「わが国はこうあるべき」という明確な考えを持つ必要がある。そして、それをどう世界に発信していくかも、考えていくべきだ。
 そうした意識がないから、最近の日本人はさまざまな問題において真実から遠いところで議論をしているように感じる。このままでは世界の潮流に乗り遅れ、いつの日か孤立してしまうのではないかと懸念している。ただ、分析や討論だけではだめだ。立派な考えを実行に移す必要がある。今の日本は「口舌の徒」になってはいないだろうか。

―どのような意識の変革が求められますか。

 まずは指導者が変わるべきだ。具体的には、組織の指導者が覚悟を決める必要がある。日本は本当にポテンシャルのある国だ。しかし近年の指導者は、世論調査の結果で良い数字を出すことばかりに傾倒している。次の選挙で票を取るためのポピュリズムに傾倒しているように感じてしまう。批判を受ける覚悟をトップが持てず、誰もチャレンジをしない、イノベーションが起こらない社会になってしまっている。アフターコロナの時代を見据えて、日本の存在を世界に示す、そして“真実に近いところ”で議論ができる、そんな力をつけていくべきだ。

―日本の存在感を世界に示す上で、何をアピールすべきでしょう。

 いろいろ考えられるが、その一つには国際開発協力がある。日本は途上国支援を始めた当初から現場に実際に足を運んで現地の人々と共に汗を流し、共に喜ぶ姿勢を貫いてきた。青年海外協力隊も現地の人に寄り添い、困難に負けずに努力を続けている姿が世界各国から高く評価されている。日本はもっと自信を持ってもいい。

民主化支援の知見を発信すべき

―日本財団はミャンマーでハンセン病患者への医療支援や平和構築支援など、長年さまざまな活動を展開しています。軍事クーデターに端を発する今回の問題についてはどのように考えていますか。

 日本国内ではクーデターから全てが始まっているかのような報道がされているが、戦後においてミャンマーが平和だった日は一日もない。常に武装勢力との戦いを続けてきた。
 とはいえ、今の混乱をどう収束させるかは非常に難しい問題だ。日本財団としては、今まで通り人道支援に特化した活動を続けていくつもりである。

―ミャンマーという国を冷静に見た時に、私はこの国の構造的な問題として、民主主義を支える政治指導者の層の薄さがあると思っています。民主化というのは、教育を含めた人材育成を通じて基礎を築き、地道に民主主義の意識を浸透させていくという中長期的なプロセスが必要になる。ミャンマーではそれがうまくできていなかったことが、今回の事態が引き起こされた背景にあるように思えます。

 問題の根本には民主主義の基礎が築かれていないことがある。私はミャンマーで今回の事態が起きて、国民民主連盟(NLD)の幹部2人と会ったが、どちらも高齢だ。若い人材は少ない。現在、国民統一政府(NUG)というのができているが、武力闘争を始めているなど、この組織にも懸念は残る。

―国軍は2023年8月までに総選挙の実施を表明しています。

 選挙実施へのロードマップを早急に作り、発表してもらいたい。そして選挙には、NLDもきちんと参加させるべきだろう。ロードマップが提示されたならば、世界は問題解決に向けて手助けをしていくべきだ。
 特に日本は、過去にインドネシアでスハルト退陣後に行われた同国初の民主的な選挙の実施を支援するなど、アジアにおける民主化支援の経験と知見を有している。軍と国民の間に立ち、徐々に政治体制を整えて、民主化達成の手助けをしてきた。カンボジアもしかりだ。そういうノウハウを、日本はもっと世界に向けて発信していかないといけない。アジアにおける民主化の歴史を紐解きつつ、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域で一丸となってミャンマーを育てていく機運を醸成していくべきだ。日本にはその能力があるが、覚悟がないと感じる。 ありません。

若者に期待、人脈築く機会を

―日本財団は今年、どのような事業や支援に注力していきますか。

 日本財団は、若者たちに非常に期待をしている。2020年度の長者番付は、100人中30人が50歳未満の起業家だった。若い力が、自分の個性を生かして世界を牽引していることがわかる。そしてそうした若手起業家たちは、社会貢献にも力を入れたいと考えているようだ。これは本当に素晴らしい。「共助」精神の重要さが見直され、それが「儲け主義」に偏らない新しいタイプの経営者を生み出しているように思える。
 だからこそ今後は、そういった次世代を担う者たちへの支援に力を入れていきたい。その一つに、大規模な留学支援制度の立ち上げを考えている。さまざまなポテンシャルを持つ若い人たちに世界がどんなものかを見てもらい、多くの外国人の仲間を作ってもらうためだ。
 すでに日本財団は、1980年代から世界海事大学で開発途上国の海事関係者が学べるように奨学金「笹川フェローシップ」を提供しており、“笹川フェロー”というコミュニティーが国境を越えて形成されている。この制度ができたきっかけには、ある通商産業省(現・経済産業省)の人の経験がある。その人は関税および貿易に関する一般協定(GATT)のある協議に出席した際、影響力のある有力者のサロンに参画できず、自分が出席した時にはすでに声明文ができてしまっていたそうだ。多くの国際機関の方針や声明文はそういったそういう“インナーサークル”と呼ばれるようなサロンで基本的なことは検討される。
 また、各国の有力な人材とのネットワークは重職の肩書きによってできるものではない。同じ大学で学んだりして形成された交友関係が、その後の人脈形成に重要な役割を果たす。だからこそ、国際社会で発言し、行動出来る日本を代表する国際人の養成が急務と考えている。したがって今考えている留学支援は大事だ。未来の国際社会で日本を未来の存在を高めてくれる人材の養成こそ、私の最後の奉公だと考えている 。
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