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【私の毎日】3月31日(木) [2022年03月31日(Thu)]

3月31日(木)

6:50 財団着

8:00 海野光行 日本財団常務理事

9:00 角南 篤 笹川平和財団理事長

11:00 ソー・ハン(Soe Han)ミャンマー大使

13:00 福祉避難所事業打合せ

13:30 井上 肇 厚労省国際保健福祉交渉官

14:00 笠原清志 跡見学園女子大学学長

「南米日系人学生」―無事卒業― [2022年03月31日(Thu)]

「南米日系人学生」
―無事卒業―


ご存じの通り、日本財団は未来を担う若者に多種多様な奨学制度を行っており、卒業生のネットワークは3万人を超える。また、活動方針の一つに、海外(特に南米)に移住された方々の支援活動、主に老人ホームや病院支援への支援を行っている。

既に四世五世の方々も日本人としてのアイデンティティを持ちたいと、日本への留学を希望する若者が多くいる。文部科学省も活動しているが、政府の制度が規則によって制約が多いのはやむを得ないことではある。しかし日本財団の奨学制度は単に大学入学だけでなく、家具製作、美容技術、太鼓製作、ファッションデザイナー等多岐にわたり、最長5年の奨学制度である。

2003年から開始したが、昨年までの卒業生は、アルゼンチン3名、コロンビア5名、チリ3名、パラグアイ16名、ブラジル48名、ベネズエラ1名、ペルー20名、ボリビア6名、メキシコ5名、フィリピン2名、インドネシア2名と、計111名になる。今回はコロナの関係もあり、下記の6名が無事卒業された。

石田 純
コロンビア 2世
琉球大学大学院理工学研究科
海洋生物学

天羽 恵理紗
ボリビア 2世
文化服装学院ファッション高度専門士科
服飾

イトカズ ミナミ グスタボ ラウル
ペルー 3世
名古屋大学大学院国際開発研究科
国際関係学

ヒガ ヤギ パトリア ハルミ 
ペルー 4世
昭和音楽大学大学院音楽研究科
音楽療法

金城 晃 アレックス
ボリビア 3世
沖縄調理師専門学校調理科
調理学

かめた 湯沢 マリアナ
メキシコ 3世
東京藝術大学大学院美術研究科
芸術学

※以下、私の励ましの発言です。(3月17日)

本日はようこそお越しいただきまして、感謝申し上げます。日系スカラーシップの修了式ということですが、新型コロナウイルスの蔓延もあり様々なご苦労されたと思いますし、その中でよく十二分に活躍下さったと思います。学校もオンラインでの授業が多く、友人をつくるも難しかったと聞いています。これから母国に帰る方も、もう少し日本にいてから帰国される方もいらっしゃると思いますが、いずれ母国に戻り頑張っていただきたいと思います。

石田さんは、海洋生物学を勉強されたと伺いました。この分野はとても大事です。ご承知の通り日本財団は海の分野において世界の拠点になりつつあります。現在200万種類程度の未確認の海洋生物がいると言われていますが、これは我々人類は陸のことはよく知っていても海のことは十分に分かっていないことの証左の1つでしょう。また、海の地形図の作成も支援していますが、未だに20%程度しか解明されていません。火星の詳細な地図はありますが、我々人類が住んでいる地球の海の中のことは分かっていないのです。ですから、日本財団はこの分野でも一生懸命取り組みを進めていますので、今後も日本財団と連絡をとりあっていきましょう。

天羽さんは、文化服装ということでデザインを学んだと伺っています。日本のデザインは優れていると思いますが是非うまくボリビアでも応用し、10年したらボリビアを代表するファッション・デザイナーになるといった大きな夢を持ってやって欲しいと思います。いずれファッションショーを開いていただき、拝見するのを楽しみにしています。

イトカズさんは、国際関係学を勉強されていたと聞いています。最近の南米の政局をどのようにご覧になっておりますでしょうか。最近の南米の諸国の大統領選挙を見ていると、相当変化が出てきている印象があります。実はペルーのフジモリ・元大統領とは浅からぬ関係があります。当時日本にいたフジモリ・元大統領が日本から演説を行い、ペルーの地方の人が彼の演説を見られるようにして盛り上がったことを覚えています。当時大統領資格について判断をする委員会があり、その委員会で資格があると判断されるまで帰国はしない方がいいとお伝えしたが、私が海外出張で不在の時に帰国され逮捕されてしまいました。彼の家族は仲が良く、みな私の家に来たこともあり交流もあります。フジモリ・元大統領は前任の大統領が国の財政赤字にしたものを挽回したという功績もあったと思います。

比嘉さんは音楽療法を勉強されたと伺っています。日本での音楽療法は我々とも関係の深かった日野原重明先生が日本で初めて行いました。今では音楽療法学会もありますが、音楽療法をやると、例えば、末期がんで精神的に不安定な人の苦しみを和らげる効果があるとも聞いています。もしペルーでは貴女が音楽療法のパイオニアということであれば、いずれは国が資格制度をつくり一般への理解促進をしていくことが重要だと思います。日本財団が支援した日系人病院がペルーにありますが、私は、ハンセン病に理解のあった革命家のチェ・ゲバラにゆかりのあるハンセン病施設を訪ねた折に倒れてしまい、ここで手術しその時のペースメーカーが今でも入っています。

金城さんは琉球料理をおやりになっているんですね。確かにボリビアは沖縄から移り住んだ人が多いと聞いています。ボリビアには日本財団が支援した空手道場や柔道場もあります。将来的にお店を開き、価格の比較的高い日本料理を一般家庭の方にも召し上がっていただきたいという素晴らしい夢をお持ちでいらっしゃいますから、是非一大チェーン店をボリビアに展開していただくことを期待しております。

亀田さん、メキシコの近代絵画は素晴らしいですね。東京藝術大学に入るのは大変難しいのによく努力をされたと思います。芸術学となると、ご自身で絵を描いたり、彫刻を作ったりということだけでなく、芸術の論評もされると聞いています。芸術関係の教育者になったり、更に学問的な追及をされたりと様々に活躍できると思うので、これからの活動に期待しています。

本日卒業される皆さんが、それぞれ明確な夢や目標を持っていらっしゃることは素晴らしいことです。勿論日本の若い人たちの中にも皆さんのような方も沢山いますが、一方で何となく大学に進学し、就職しなければいけないのでどうしようか、となる人も少なからずいます。やはり、自分は将来こういった道を進みたいと考えて大学に入らないといけません。その点皆さんは夢や目標が明確にあり、勉強されたのは素晴らしいことです。

また、日本財団は皆さんを家族の一員と考えています。奨学金を出して終わりになるのではなく、これからも皆さんとネットワークを組み、皆さんが協力して欲しいということがあればぜひ教えてほしいと思います。日本財団には、海外に移民した人たちに協力するという大きな目標があります。これまでは高齢になった方たちへの支援として、老人ホームや病院の建設に協力してきましたが、これからは若い日系の方から見て日本の至らない点を教えてもらい、そうした課題解決に協力していきたいと思います。ありがとうございました。

「日本財団母乳バンク設立」―記者会見― [2022年03月30日(Wed)]

「日本財団母乳バンク設立」
―記者会見―


※以下は、私の記者会見の発言内容です。

****************

「日本財団母乳バンク」新施設発表会であいさつ .JPG
「日本財団母乳バンク」新施設発表会で挨拶


お忙しい中集まり頂きありがとうございます。日本財団会長の笹川です。御高承の通り、日本財団は未来を背負う子どもの健やかな成長と、健全な精神・肉体をもって日本の将来を背負っていただきたいというのが活動の中心にあります。詳細を申し上げれば、特別養子縁組の推進や全国30ヶ所を超える難病を抱える子どもたちの施設作り、児童施設で育った子どもに対する奨学金制度の提供、18歳で児童施設を出た方が社会生活を自立的に行うための相談員の配置、少年院から出た子どもたちが再犯しないよう中小企業社長の協力による職親事業などです。2023年にこども家庭庁が発足する運びとなりましたが、日本財団はこども家庭庁が「仏作って魂入れず」にならないよう「子ども基本法」(仮称)の制定の必要性を訴える論陣を張っています。

子どもたちの世界は実に荒れています。日本財団による18歳の意識調査をご覧いただいているかもしれませんが、15歳未満で性の経験がある割合は22%を超えています。一方、性に対する知識がないために犯罪になってしまうケースもあります。また、「18歳は大人と思うか、子どもと思うか」という質問に対し、60%を超える日本の若者たちは選挙権を有しながら子供であると認識しています。同様の調査を世界8ヶ国で行いましたが、ほとんどの国で80%以上の方が大人と認識しているという結論が出ている中で、日本の調査結果は驚くべき数字であるといえます。18歳未満で不幸にして亡くなるケースがありますが、亡くなる原因の一番は病気でも交通事故でもなく自殺となっていることからも、子どもの世界が痛んでいるといえるのではないでしょうか。

日本財団では既に全国500ヶ所、将来的には1000ヶ所、子どもと大人が集える学校でも家庭でもない第三の居場所の整備を進めています。第三の居場所は、子どもが年配の方から昔話を聞く、将棋や碁を教えてもらう、また学生からサッカーなどのスポーツを教えてもらえる場所を目指しています。現実に、生まれてこのかたカレーを食べたことがない6歳の子どもがいらっしゃいましたし、1ヶ月お風呂に入っておらず公園の水道で体をふいている子どもいらっしゃいました。実に7人に1人の子どもが貧困家庭というのが日本の現実です。未来を背負う子どもがそれでいいのかと考え、日本財団は懸命に取り組んでいるところです。

日本財団母乳バンクの設立経緯ですが、たまたまテレビで水野先生が切々と超早産・極低出生体重児に母乳を提供する施設を運営しているが、なかなか拡大が難しいというお話をされているのを拝見いたしました。あくる日に日本財団から連絡し、協力させていただきたいと申し出て今日この機会を得ることが出来ましが、後程水野先生より詳しいお話があろうかと思いますが、毎年5000人を超える超早産・極低出生体重児が誕生しています。こうした赤ちゃんには人口のミルクよりも母乳を提供しなければなりません。人口のミルクではうまく育たないのです。これは命の問題です。そして未来を背負う子どもたちのことでもあります。

毎年、5000〜7000人の超早産・極低出生体重児が誕生するということですから、一人でも多くのお子さんを健康に育てることが日本人として、そして国民の義務であると考えています。先ほど来申し上げております通り、子どもの環境が悪化しております。その中ですべてを国に或いは行政に任せるという時代から、日本人が古来持っている助け合いの精神で活動していくことが重要であると日本財団は考え、活動範囲を広げています。余った母乳を提供して下さるというのは助け合いの精神そのものであると私は考えています。まさに、日本人が持っている心の優しさの原点がここにあるのではないでしょうか。

現在ドナー登録者数は260人ほどと聞いています。本日お越しの報道関係の皆さん、一人でも多くの方が、子どもを助けるためにドナーになって欲しいと発信いただき、皆様のお力添えを頂きたいというのが切なる願いであります。全国にはこうした超早産・極低出生体重児を預かる病院が250ほどあるそうですが、50の病院にしか届いていないと聞いております。日本全国250ヶ所、そして全ての超早産・極低出生体重児の命を助けるために、一人でも多くのお母さんからドナーミルクを頂戴したいと考えております。そして、全ての子どもたちが健やかに育つようにしていきたいというのが、日本財団が日本財団母乳バンクを作るにあたり、水野先生と合意に達した基本的な考え方です。重ねて申し上げますが、一人でも多くの方から母乳を頂戴し、全国250ヶ所、5000〜7000人といわれる超早産・極低出生体重児すべてにいきわたるよう、皆さんのご協力を頂きたいと思います。ありがとうございました。


※3月17日付「世界日報」の記事を全文拝借しました。

****************

 毎年5000人を超える新生児が、28週未満で生まれる超早産児や1500グラム未満の極低出生体重児として生まれる。「日本財団母乳バンク」は、こうした新生児に人工ミルクではなく、ドナー(提供者)から集めた「母乳」をNICU(新生児集中治療室)に提供するサービスを今年4月から開始する。それに先立ち、16日、メディア発表会が日本橋小網町スクエアビル(東京都中央区)で行われた。

母乳バンク・ラボ.jpg
母乳バンクの検査、保管及び研究室


 同財団の笹川陽平会長はあいさつで「子供たちの世界が荒れている」と話し、こども家庭庁に触れ「われわれは『こども基本法案』の制定も求める論陣だ」と主張した。また、母乳バンクが開設に至った経緯を説明し、「日本人が持つ助け合いの精神でドナーになってほしい」とドナー登録の協力を仰いだ。

 同バンクの水野克巳理事長は「産みの母親の母乳が出るのを長時間待つことは、超早産児に悪い影響がある」とし、「経腸栄養の確立(母乳の投与)が早い方が、3歳時点での脳性麻痺(まひ)、視覚・聴覚障害、在宅酸素、認知機能障害の割合が低くなる」という研究結果を示し「母乳バンクの必要性」を解説した。

 また、母乳バンクの仕組みを紹介した田中麻里・同バンク常務理事は「同バンクは日本で2カ所目の施設であり、将来的にはオーダーメイドのドナーミルクを提供できる世界初の研究体制を目指す」を語った。

 実際に母乳バンクを利用した2人からビデオメッセージが寄せられた。母乳の提供を受けたレシピエントの親・池田望実さんは「すぐに母乳を与えられなかった辛(つら)さがあったが、母乳の提供によって産後の身体回復に専念できた。子供も3カ月後に退院し、順調に育っている」と感謝の意を表した。また、ドナーとして母乳を寄付したことのある古田南さんは「搾乳は大変なことではあるが、子育てのみで閉塞(へいそく)感があった私でも、困った親子を助けることができる。社会とのつながりを感じることができた」と振り返った。

 根本匠衆院議員・衆議院予算委員長も出席し、「現在、政策テーマで取り上げてこなかったことに問題がある」と指摘し、「厚生労働科学研究で取り組みを続ける」と意気込みを語った。このほか、同ビル1階に新設された研究施設などの内覧が行われた。現在のドナーは約260人で、日本全国に行き渡らせるためには約2900人の登録が必要だという。

記念撮影.JPG
記念撮影

【私の毎日】3月29日(火) [2022年03月29日(Tue)]

3月29日(火)

6:45 財団着

9:00 天城 一 社会貢献支援財団専務理事

10:00 日本財団理事会
 
16:00 西牧久雄 ナミビア大使

終日 原稿書き、寄付金への礼状書き

「海洋酸性化適応プロジェクト」記者発表―沿岸域での直接的被害、現時点では確認されず― [2022年03月29日(Tue)]

「海洋酸性化適応プロジェクト」記者発表
―沿岸域での直接的被害、現時点では確認されず―


温暖化に伴い海洋が吸収する二酸化炭素(CO₂)が増加することで海洋の酸性化が進み、炭酸カルシウムで殻をつくるカキやホタテ、エビ・カニ類などの成長に悪影響が出るー。そんな恐れが高まる中、日本財団は2020年4月、「海洋酸性化適応プロジェクト」を立ち上げ、NPO法人「里海づくり研究会議」(岡山市:松田治理事長)と協力して国内で初となる沿岸域での影響調査を進め3月17日、東京赤坂の日本財団ビルで記者発表を行った。

調査はカキ養殖が盛んな岡山県備前市の日生沖、宮城県南三陸町の志津川湾、広島県廿日市市の広島湾をモデル海域に、河口部や沖合、養殖場付近など環境が異なる複数ヵ所で実施し、得られた結果を発表した。調査項目は広範にわたるが、例えば水素イオン濃度(pH)。海水の表層は通常pH8.1前後の弱アルカリ性の状態にあるが、日生沖と志津川湾では7.4、7.7のpHも観測され、一時的に水質が酸性化するケースがあることが確認された。

また生物が殻を作るための指標となるアラゴナイト飽和度(Ω:オメガ)を観測したところ、3ヵ所ともカキの幼生に対する影響が出始めるとされる「1.5」が初めて観測された。しかし、カキの浮遊幼生の異常形態など直接的な影響は確認されなかった。こうした結果について松田理事長は、「今後、水産生物に影響が出ても不思議ではないし、出る可能性は十分ある」と評価した上で、酸性化だけでなく海水温の上昇や貧酸素化、貧栄養化が今後、複合的に進む恐れがあると指摘された。

温暖化も海の酸性化もCO₂を削減しない限り解決しない。以前、新聞投稿でも指摘したが、人々の関心は陸の異常気象に比べ、海洋酸性化など海の異変には関心が今一つ希薄な状態にある。しかし、海の劣化は想像以上に深刻化しており、このままでは手遅れになりかねない。そのためにもデータの充実や「官、産、学、民」の一層の協力と連携が急務である。

そんな思いで本プロジェクトもモニタリング地点の拡充や内外の研究機関との幅広いデータ交換の促進など長期的な視野って一段と強化していきたいと考えている。

以下、記者発表での筆者の挨拶の概略です。

********************

22.03.17 「海洋酸性化適応プロジェクト」・記者発表.JPG
記者発表で挨拶


日本財団は活動の大きな一つとして、海洋の持続的可能性の問題に世界的規模で取り組んでいます。我々は地球から7500万キロも離れた火星の表面について詳しい情報を持ちながら、地球に関しては、地表はともかく海底については、どんな形をしているか、ほとんど分からない状況にあります。そんな訳で海底地図の作成を進め、やっと15%を超えるところまできました。何とか早く100%作り上げたいと考えています。

地球人口100億人時代の到来が予測される中、私は「海洋の存在なくして人類の生存なし」と考えています。海洋汚染が500年後、1000年後、人類の生存にどう影響するのかを考えますと、地球がどういうものか、半分しか分かっていない現状では全体が極めて分かりにくいということになります。500年、1000年なんていうのは、宇宙時間でいえば瞬きするような短い時間です。

地球温暖化が進む中、海洋は脱炭素にも大きな影響力を持っています。我々はそういう視点に立って海洋学者の世界的なネットワークを組み、時々刻々と変わる海洋の状況を精査し、エビデンスを取る努力をしてきました。今回のプロジェクトは広島大学名誉教授の松田先生が理事長をされていますNPO法人「里海づくり研究会議」に協力いただき、九州大学や岡山大学の専門家にも参加いただいています。

海洋酸性化はいまや世界的に大きな問題になりつつありますが、今回のプロジェクトは日本の沿岸域をテーマにしています。漁業関係者から、牡蠣などの殻が少し薄くなってきたのではないかといった指摘が出る中で、そうした疑問に答えるには、きちっとした科学的なエビデンスが必要ということで、後ほど結果を、お話しいただきますが、今回初めて、この問題について松田先生を中心に科学的な調査をしていただきました。

私は4年前にもこの場で、カナダのブリティシュコロンビア大学やワシントン大学、その他世界の有力大学の学者さんたちと記者会見しました。20、30年後には日本産の寿司ネタが無くなるのではないか。特に甲殻類、あるいは貝類が無くなり、いずれ天丼なんかも深海魚になってしまうのではないか。冗談半分ですが、海の温度が1度違うと魚の居場所はどんどん変わり今や石川県名物のブリが北海道でとれるようです。

このように気候変動、酸性化によって海洋生物の行動が敏感に変わる状況は目に見えない世界です。しっかりとしたエビデンスをもって説明をしないと説得力のない話になります。日本は海洋国家であると同時に、主食とは言いませんが魚類を世界で一番多く食べる国です。海の酸性化には十二分な監視と対策を練っていく必要があると強く思うわけです。

備えあれば憂いなしです。今後どのような対策を立てていくか、学者先生の力をお借りしなければいけないテーマです。岡山県、広島県辺りは牡蠣養殖が盛んで、全国的にも養殖漁業が大きなウエイトを占める時代になってきています。海の酸性化が将来、カキやホタテの養殖に影響をきたすのではないか、今回初めて、そういう兆候がエビデンスとして皆さんに披露されることになります。赤潮が原因と言われているようですが、北海道ではウニや昆布の成長が悪く、鮭も採れなくなっているようです。正直言って、我々は地球の7割を占める海のことをあまりに知らなすぎます。

海洋立国日本と言いながら海に関する情報が欠如している中で、今回の研究の結果、日本の近海にも酸性化の予兆が出てきている、牡蠣や甲殻類の生存が危ぶまれる兆候が出てきているということのようです。気候変動に伴う大きな問題であると同時に、我々の食生活を直撃する問題でございます。研究成果を是非、お聞き及びいただきたく思います。ありがとうございました。

【私の毎日】3月28日(月) [2022年03月28日(Mon)]

3月28日(月)

6:54 財団着

8:00 ウクライナ支援打合せ

8:30〜10:00 日本財団役員会議

11:30 宿利正史 運輸総合研究所会長

15:00 ウクライナ支援・記者発表

ウクライナ非難j民支援について説明.JPG
ウクライナ避難民支援について説明する筆者


16:00 海洋新規案件事業打合せ

「国際開発ジャーナル」―インタビュー記事― [2022年03月28日(Mon)]

「国際開発ジャーナル」
―インタビュー記事―


※国際開発ジャーナル2月号のインタビュー記事を掲載しました。

2022年、日本のあるべき姿を展望
 今年も激動の一年になることが予想される東アジア地域。ミャンマーでは軍事クーデター勃発から一年が経った。大きな時代のうねりの中で、日本に求められていることとは何か。国内外で幅広い社会貢献活動を行い、平和構築活動にも長年尽力している日本財団の笹川陽平会長に、2022年の展望を聞いた。
(聞き手:国際開発ジャーナル編集主幹・荒木 光弥)

「口舌の徒」になっていないか

―2022年において、日本は何をすべきでしょうか。

 世界の中で日本は今どういう立場にあるのかを見つめ、「わが国はこうあるべき」という明確な考えを持つ必要がある。そして、それをどう世界に発信していくかも、考えていくべきだ。
 そうした意識がないから、最近の日本人はさまざまな問題において真実から遠いところで議論をしているように感じる。このままでは世界の潮流に乗り遅れ、いつの日か孤立してしまうのではないかと懸念している。ただ、分析や討論だけではだめだ。立派な考えを実行に移す必要がある。今の日本は「口舌の徒」になってはいないだろうか。

―どのような意識の変革が求められますか。

 まずは指導者が変わるべきだ。具体的には、組織の指導者が覚悟を決める必要がある。日本は本当にポテンシャルのある国だ。しかし近年の指導者は、世論調査の結果で良い数字を出すことばかりに傾倒している。次の選挙で票を取るためのポピュリズムに傾倒しているように感じてしまう。批判を受ける覚悟をトップが持てず、誰もチャレンジをしない、イノベーションが起こらない社会になってしまっている。アフターコロナの時代を見据えて、日本の存在を世界に示す、そして“真実に近いところ”で議論ができる、そんな力をつけていくべきだ。

―日本の存在感を世界に示す上で、何をアピールすべきでしょう。

いろいろ考えられるが、その一つには国際開発協力がある。日本は途上国支援を始めた当初から現場に実際に足を運んで現地の人々と共に汗を流し、共に喜ぶ姿勢を貫いてきた。青年海外協力隊も現地の人に寄り添い、困難に負けずに努力を続けている姿が世界各国から高く評価されている。日本はもっと自信を持ってもいい。

民主化支援の知見を発信すべき

―日本財団はミャンマーでハンセン病患者への医療支援や平和構築支援など、長年さまざまな活動を展開しています。軍事クーデターに端を発する今回の問題についてはどのように考えていますか。

 日本国内ではクーデターから全てが始まっているかのような報道がされているが、戦後においてミャンマーが平和だった日は一日もない。常に武装勢力との戦いを続けてきた。
 とはいえ、今の混乱をどう収束させるかは非常に難しい問題だ。日本財団としては、今まで通り人道支援に特化した活動を続けていくつもりである。

―ミャンマーという国を冷静に見た時に、私はこの国の構造的な問題として、民主主義を支える政治指導者の層の薄さがあると思っています。民主化というのは、教育を含めた人材育成を通じて基礎を築き、地道に民主主義の意識を浸透させていくという中長期的なプロセスが必要になる。ミャンマーではそれがうまくできていなかったことが、今回の事態が引き起こされた背景にあるように思えます。

 問題の根本には民主主義の基礎が築かれていないことがある。私はミャンマーで今回の事態が起きて、国民民主連盟(NLD)の幹部2人と会ったが、どちらも高齢だ。若い人材は少ない。現在、国民統一政府(NUG)というのができているが、武力闘争を始めているなど、この組織にも懸念は残る。

―国軍は2023年8月までに総選挙の実施を表明しています。

 選挙実施へのロードマップを早急に作り、発表してもらいたい。そして選挙には、NLDもきちんと参加させるべきだろう。ロードマップが提示されたならば、世界は問題解決に向けて手助けをしていくべきだ。
 特に日本は、過去にインドネシアでスハルト退陣後に行われた同国初の民主的な選挙の実施を支援するなど、アジアにおける民主化支援の経験と知見を有している。軍と国民の間に立ち、徐々に政治体制を整えて、民主化達成の手助けをしてきた。カンボジアもしかりだ。そういうノウハウを、日本はもっと世界に向けて発信していかないといけない。アジアにおける民主化の歴史を紐解きつつ、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域で一丸となってミャンマーを育てていく機運を醸成していくべきだ。日本にはその能力があるが、覚悟がないと感じる。

若者に期待、人脈築く機会を

―日本財団は今年、どのような事業や支援に注力していきますか。

 日本財団は、若者たちに非常に期待をしている。2020年度の長者番付は、100人中30人が50歳未満の起業家だった。若い力が、自分の個性を生かして世界を牽引していることがわかる。そしてそうした若手起業家たちは、社会貢献にも力を入れたいと考えているようだ。これは本当に素晴らしい。「共助」精神の重要さが見直され、それが「儲け主義」に偏らない新しいタイプの経営者を生み出しているように思える。
 だからこそ今後は、そういった次世代を担う者たちへの支援に力を入れていきたい。その一つに、大規模な留学支援制度の立ち上げを考えている。さまざまなポテンシャルを持つ若い人たちに世界がどんなものかを見てもらい、多くの外国人の仲間を作ってもらうためだ。
 すでに日本財団は、1980年代から世界海事大学で開発途上国の海事関係者が学べるように奨学金「笹川フェローシップ」を提供しており、“笹川フェロー”というコミュニティーが国境を越えて形成されている。この制度ができたきっかけには、ある通商産業省(現・経済産業省)の人の経験がある。その人は関税および貿易に関する一般協定(GATT)のある協議に出席した際、影響力のある有力者のサロンに参画できず、自分が出席した時にはすでに声明文ができてしまっていたそうだ。多くの国際機関の方針や声明文はそういったそういう“インナーサークル”と呼ばれるようなサロンで基本的なことは検討される。
 また、各国の有力な人材とのネットワークは重職の肩書きによってできるものではない。同じ大学で学んだりして形成された交友関係が、その後の人脈形成に重要な役割を果たす。だからこそ、国際社会で発言し、行動出来る日本を代表する国際人の養成が急務と考えている。したがって今考えている留学支援は大事だ。未来の国際社会で日本を未来の存在を高めてくれる人材の養成こそ、私の最後の奉公だと考えている 。

【私の毎日】3月25日(金) [2022年03月25日(Fri)]

3月25日(金)

6:45 財団着

10:00 ジェームズ・ショフ 米国笹川平和財団シニアディレクター

10:30 秋元諭宏 米国笹川平和財団理事長

11:30 加納雄大 外務省南部アジア部長

14:00 菅井明則 笹川平和財団常務理事

14:30 笹川平和財団との打合せ

16:30 武見敬三 参議院議員

17:00 世界各国のハンセン病回復者との会議

終日 原稿書き、寄付金への礼状書き

「サザエさんと日本財団」―コラボ記者会見― [2022年03月25日(Fri)]

「サザエさんと日本財団」
―コラボ記者会見―


長谷川町子美術館の川口淳二館長より、日本財団が全国に展開している「海と日本プロジェクト」に協力したいと、有難いお話を頂いた。

「海と日本プロジェクト」は、毎年3500以上の海に関するイベントを開催し、参加者は年間250万人を超える大きな運動になって来た。川口館長はこの活動に注目され、協力を申し出て下さったわけである。

アニメ「サザエさん」は放送年数53年目を迎へ、最も長く放映されているテレビアニメ番組としてギネス世界記録の認定も受けている。テレビ界ではまれにみる家族ぐるみで楽しめる番組であることは、読者の皆様も納得して下さるでしょう。

サザエさん.png


以下は多少重複するところはありますが、私の記者会見挨拶です。(3月22日)

お天気の悪い中皆様にはご出席を賜り感謝申し上げます。日本財団は海洋について、世界的な大きなネットワークを組んでおります。海が健康的な状態で保全されなければ、人類の生存に関わる大きな問題となります。これは、500年そして1000年という長期的な視点で考えなければなりません。また、我々の多くは陸の問題だけに目を向けがちではありますが、地球の7割を占める海の問題についても同様に関心を持たなければなりません。気候変動、海の温暖化、海の酸性化そしてプラスティックごみの人体への影響など、様々な課題が山積しております。日本財団は、国際的に影響力のある有力な学者を集めて健全な海の保全に向けて努力をしております。

日本国内に目をむれば、海洋立国日本という立派な基本政策があります。我々高齢者は子供の時から海に親しんで大きくなってきましたが、昨今は子供たちの海離れが進んでおります。新型コロナウイルスが問題になる前から、海水浴場の数や海水浴客は減少しているのです。我々の調査では、海が嫌いな子供が4割、海に行ったことがない10代の子供も4割いるという驚くべき結果が出ております。こうした状況を打破しようと、海と日本プロジェクトを進めています。メディアの皆さんの協力もあり3500を超える事業を展開し、毎年250万人以上の方に参加いただき、例えば海の清掃を中心に様々な活動に従事頂いています。

このまま国民、特に若い世代の海離れが進行すれば、海を身近に感じている層が減少し、海洋人材がいなくなってしまうことも懸念されます。四方を海に囲まれた海洋国家・日本の由々しき事態ともいえるのではないでしょうか。まずは多くの方に海を好きになってもらいたい。その上で、海では今、どのような問題が起きているか、興味・関心を持ってもらう必要があるのです。

こうした我々の取組みについて、長谷川町子美術館の川口館長が見ていて下さり、サザエさんと海と日本プロジェクトのコラボレーションをしようと発案下さいました。私はこの話を伺ったとき、大変驚きました。サザエさんは53年も続くギネスにも載っている長寿番組でありますし、また、日本の総理大臣の名前を知らない人も沢山いる中、サザエさんを知っている人は97%に上るという国民的番組でもあります。私もファンの一人であります。サザエさんの話は、暖かなアットホームの雰囲気があり、またストーリーも面白く、大人から子供まで見られる良質な国民番組と言えます。

サザエさんの生みの親である長谷川町子先生は福岡の百道海岸でサザエさんの創作活動をされたと伺っています。ご存じの通り、キャラクターの名前にサザエ、マスオ、ワカメ、など海に関係する名前をつけていらっしゃり、長谷川先生の「日本人がもっと海に親しんで欲しい」という御意思を知っていた川口館長が今回声をかけて下さりました。そして、フジテレビの遠藤副会長を中心にコラボレーションを進め、番組を作ってくださることになりました。

四方を海に囲まれた日本は、海なしに生きていけません。多くの子どもに海に親しんでもらい、また、海にごみを捨てたりしないよう、海についてサザエさんという国民的番組を通じて知って欲しいと思います。そして、子どもたちが健康な身体を海岸で鍛えるなど、未来を背負う健康的な日本の子どもたちの育成に貢献していきたいとも考えています。ありがとうございました。

【私の毎日】3月24日(木) [2022年03月24日(Thu)]

3月24日(木)

6:44 財団着

8:30 「日本財団みらいの福祉施設建築プロジェクト」事業打合せ

13:30〜15:00 ササカワインドハンセン病財団・理事会(オンライン)

15:00 宮崎 正 日本財団特別顧問

17:00〜19:00 スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団主催
    北欧の日本研究者による学術会議inコペンハーゲン(オンライン参加)

22.03.24 スカンジナビア財団主催・北欧の日本研究者による学術会議.JPG
北欧の日本研究者による学術会議にオンライン参加

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