「スポーツ選手の社会貢献」
―彼らの活動の拡大を―
スポーツ選手の活動は、多くの人々に夢と希望を与えてくれる。古くは、ニューヨーク・ヤンキースの伝説的選手であったベーブ・ルースが難病の子どもを見舞った際、「明日の試合でホームランを打ってほしい」と言われ、本当に実現したと、少年の頃読んだことがある。
日本財団は社会貢献活動に積極的な選手や元選手、現在のところ1種目一人ではあるが、ヒーロ−ズ・アンバサダー(大使)として、各地で活躍して頂いている。
3.11の東日本大震災当時は、売名行為と非難されることを恐れて多くの芸能人やスポーツ選手が匿名で社会貢献活動を行っていた。最近、各種スポーツ選手の活動が報道されるようになったことは喜ばしい事である。
サンケイスポーツの倉橋智宏記者は、児童養護施設で苦労した経験があるボートレーサーの木村光宏選手の社会貢献を、以下のように報じていた。
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木村は2004年9月の地元まるがめ52周年記念をはじめ、これまで手にしたGIタイトルは3冠。04年には年間115勝、07年は137勝を挙げ2回の最多勝利選手にも輝くなど、香川支部を代表する実力レーサーの一人だ。水面では妥協なき“勝負師”の姿が印象的だが、そんな木村がもう一つの顔を持っていることをご存じだろうか?
「ボートレーサーになれたおかげで家族も持てたし、有り余るほどの給料をもらえるようになった。もしレーサーになっていなかったら、どんな人生になっていたかは分からないからね」
小学3年から中学3年まで児童養護施設に入所していた経歴を持つ木村は、児童養護施設や難病を持つ子供への支援、日本財団の「夢の奨学金」選考委員を務めるなど、さまざまな社会貢献活動を行ってきた。児童福祉システムの向上を目指す国際フォスターケア機構(IFCO)親善大使、難病を患う子供に海外旅行を提供するギブ・キッズ・ザ・ワールド・ユニファイドツアーの大使にも就任。ピットで取材をすると、本業のレースに関して以外にも丸亀城の石垣復興や文楽など伝統芸能への支援、さらに地方自治体の財政状況など、時には話の内容が多岐に及ぶ。その中で何度も聞かれるのが“恩返し”というフレーズ。自身を育んでくれた社会への感謝が、木村のこれまでの活動の根底にある。
しかし、昨年春からのコロナ禍で社会活動は停滞。福祉支援活動の分野にもその影響が及んだが、「今すぐに手を差し伸べないと、失われてしまう命がある」と全国各地のレースに出場する合間を縫って活動を続けてきた。ソーシャルディスタンスの言葉が定着したものの、“心の距離”は絶対に遠ざけてはいけない−その強い信念があった。
そんな木村の志に賛同してくれる仲間は少なくないが、京都市にある割烹料亭「河久(かわひさ)」の2代目店主・浅見晶男さんもその一人だ。木村とともに難病支援を行っていた浅見さんは、今年3月に笹川保健財団を通じて在宅看護ネットワークに11万1111円とTシャツ、トレーナーを寄付。観光都市・京都の飲食業界も大きな打撃を受ける中、「やっぱり京都は昔から義理人情の厚い文化。自分も苦しい状況なのに、こんな支援はなかなかできないことですからね」と、木村は心強い同志に賛辞を惜しまない。
「レースはもちろん、これは人生においてもいえること。チャンスがあるなら、悪あがきをしてでも今ベストを尽くすべきだと思っている」
冬も近づき、ようやくコロナ禍に収束の兆しが見えてきた。ただ、木村の生きざまはこれまでと何も変わらない。助けを必要としているところに、感謝の思いを届けていくだけだ。
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なお、モーターボート選手会は、世界でも珍しく「選手会」が一体となって社会貢献活動に取り組んでおり、選手会、又、個人からの長年にわたりる寄付額は、日本財団に1億8027万2752円、笹川保健財団(ハンセン病救援活動)に2億7031万1835円と巨額になる。誠に有難いことである。
私の出来ることは、選手の皆さんがレースの激闘の中で怪我をされないよう祈るのみである。
日本財団ヒーロ−ズ大使は下記の通りです。
1. 中田 英寿 サッカー 元日本代表
2. 近賀 ゆかり 女子サッカー(現役) 元日本代表
3. 東 俊介 ハンドボール 元日本代表
4. 萩原 智子 水泳 オリンピアン
5. 奥野 史子 アーティスティックスイミング オリンピアン
6. 田臥 勇太 バスケットボ−ル(現役) 元日本代表
7. 松井 秀喜 野球 元メジャーリーガー
8. 佐藤 琢磨 モータースポーツ(現役)
9. 井上 康生 柔道 オリンピアン
10. 松下 浩二 卓球 オリンピアン
11. 池田 信太郎 バドミントン オリンピアン
12. 白石 康次郎 ヨット(現役)
13. 安藤 美姫 フィギュアスケート(プロ選手)オリンピアン
14. 上原 大祐 パラアイスホッケー パラリンピアン
15. 大林 素子 バレーボール オリンピアン
16. 山本 隆弘 バレーボール オリンピアン
17. 長嶋 万記 ボートレース(現役)
18. 五郎丸 歩 ラグビー 元日本代表
19. 根木 慎志 車いすバスケットボール パラリンピアン
20. 河合 純一 パラ水泳 パラリンピアン
21. 村田 諒太 ボクシング(現役) WBA世界王者