「パラリンピック開催」―せめて学生が無料観戦する工夫を!― [2021年07月30日(Fri)]
「パラリンピック開催」 ―せめて学生が無料観戦する工夫を!― 8月24日に開会する東京パラリンピックについて菅義偉首相は7月16日、共同通信の単独インタビューに応じ「いくらかでも観客の中でできればいい」と述べた。個人的な希望を先に言えば、感染防止策を徹底した上で、次代を担う学生が無料で、あらゆる困難を乗り越えて頑張るアスリートの姿を直接、見ることができるよう配慮されたく考える。 パラリンピックはパラアスリートが障害を乗り越えてスポーツに挑戦する姿を通じ、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現を目指す。2012年のロンドンパラリンピックでは、互いが互いを認め共生するインクルージョンの社会の理念に多くの人が賛同し、多数の観客が訪れ、大会は大成功を収めた。 女性や外国人、障害者、LGBT、介護を担う人など多様な人々が互いの個性を認め、ともに生きるインクルージョンの考えは近年、教育やビジネスの現場でも広く浸透しつつあり、大会会場でそうした熱気に直に触れる意味は大きい。コロナ禍がいかなる状況にあろうとも、せめて感染防止策を徹底した上で、次代を担う学生を無料で観客席に入れるような対応を検討いただきたく思う。パラリンピックに向けてこの5年間、努力を重ねてきたパラアスリートの姿を目の当たりにすることで、学生の理解も深まる。 仮に無観客となった場合、パラアスリートの無念は言うに及ばず、ポストコロナ時代に不可欠な共生、インクルージョンといった新たな理念を広げるパラリンピックのもう一つの目標達成も薄れ、失うものがあまりに大きい気がする。 外国ではサッカー、テニス、ゴルフなどの国際大会や野球のメジャーリーグ、国内でもプロ野球やサッカーJリーグ、大相撲などが時に観客を制限した上で観客を入れ実施されている。どのように有観客で実施するか、もっと検討されていいような気もする。 パラリンピックの観客の扱いは、8月8日の東京五輪閉幕後に政府や大会組織委員会、国際パラリンピック委員会(IPC)など5者の代表者会議で決定される段取りと聞く。その時の新型コロナウイルスの感染状況やその後の見通しがどうなっているか予測はつかないが、感染防止策も含め柔軟な対応を求めて止まない。 |