「新聞報道から」その107
―日本財団パラリンピックサポートセンター―
コロナ禍 競技団体強化費不足うけ
パラサポ「恒常的に継続」 日本財団の笹川陽平会長(82)は8日、パラスポーツを支援する「日本財団パラリンピックサポートセンター」(東京都港区、パラサポ)を恒常的に運営していく考えを明らかにした。今夏の東京パラリンピックを終えた来年3月までとしていたが「新型コロナウイルスの感染拡大で競技団体の運営は厳しさを増しており、支援を続けることにした」と述べた。東京都内でインタビューに応じた。
日本財団は東京大会開催決定後の2015年5月、財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)な競技団体を支援するためパラサポを設立した。港区の日本財団ビルの4階フロア約1300平方メートルを事務所用地として無償提供し、現在29の競技団体が入居している。そのほか、専門スタッフ雇用などに年間20億円以上を支出している。
笹川氏は「国から助成金を得るにふさわしい団体と認知されるためにも経理、財務などのバックオフィス業務を支援するパラサポの存在は有効だ。時間をかけて『卒業』する団体が出てくれば、それは大いに結構なこと」と述べた。
開催が危ぶまれる東京パラリンピックについては「困難な状況下で平和の祭典を行うことに意義がある」と予定通りの実現を支持した。財団では介護施設などの職員約19万人を対象にPCR検査を無償で行う事業に乗り出すことから「大会時に出場選手たちの検査を手伝える態勢も整えている」と明かした。
パラアリーナ利用再開急ぐ 東京都品川区に整備した強化拠点施設「日本財団パラアリーナ」は、新型コロナの軽症患者の療養施設として転用されているが「(療養施設を運営する)東京都と調整し、早い段階で元に戻す」と状況を見ながら利用再開を急ぐ方針を示した。
感染拡大に伴う大会中止やスポンサーの撤退で、協議団体は収入減が深刻化している。毎日新聞が昨年7月に行った調査でも、東京パラリンピックで実施される全22競技計26団体のうち半数以上の14団体が「強化費が不足・不足傾向にある」と回答していた。
日本財団はボートレースの収益金で活動し、年間500億円の資金を運用する社会貢献団体。障害者支援は1962年の設立当初から続けており、その一環としてパラスポーツも後押ししている。
※2021年2月9日「毎日新聞」です。