「北欧での日本研究」
―9大学で―
今年で創設36年を迎えるスカンジナビア・ニッポン・ササカワ財団は、北欧のスウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランドが参加して、本部はスウェーデンにあるが、各国からは著名な方が理事として参加されており、日本との間に学術、教育と文化を中心に活発な交流が行われている。
今までに行った各国別の事業数とその国の人口を見ると、やはり「継続は力なり」を改めて再認識させられる。
事業数 人口
デンマーク 1535件 約581万人
フィンランド 1214件 約551万人
アイスランド 305件 約35万人
ノルウェー 1438件 約533万人
スウェーデン 1809件 約1022万人
合計(北欧5か国) 6301件 約2722万人
この度、各国の更なる日本理解のために、特に熱心な9校の大学を選んで日本研究の講師のポストの設置と北欧の大学に在籍する博士課程の学生の日本研究助成プログラムが発足した。
デンマーク オーフス大学
コペンハーゲンビジネススクール
コペンハーゲン大学
フィンランド ヘルシンキ大学
トゥルク大学
アイスランド アイスランド大学
ノルウェー ベルゲン大学
ノルウェー科学技術大学
スウェーデン ストックホルム商科大学欧州日本研究所
8月19日と20日の二日間、9大学参加による初めてのネットワーキングとコラボレーションの会議がオンラインで行われた。
以下は私の簡単な挨拶です。
*************
エリザベス・ニルソン・スカンジナビア・ニッポンササカワ財団理事長、各国で活躍されている理事のみなさん、お集まりの講師・フェローの皆さん。コロナ禍においてもオンラインを活用して北欧における日本研究の仲間が一堂に会する機会を設けていただいたことを嬉しく思います。
皆さんの研究する国への理解を深める一助になれば幸いと思い、若干、美しい国・日本について紹介をしたいと思います。
著名な政治学者であるサミュエル・ハンチントン氏は著書「文明の衝突」において、現在世界には主要な文明が8つあると言及しており、キリスト教文明、イスラム文明、中華文明などの1つとして東洋の島国である日本を紹介しています。2000年もの長きに亘り、日本は独立した文明を維持してきました。これは世界でも大変珍しいことです。
山川草木、森羅万象、自然の全てに生かされているという感謝の気持ちから日本独自の文明が育まれてきました。古来より、日本は春夏秋冬の区別が明確な美しい四季に彩られ、日本人は四季折々の自然を愛で、敬い、そしてその情景や想いを日本固有の和歌に託しました。
日本最古の歌集である万葉集には天皇や皇族、防人、農民など身分や性別を問わず幅広い人々の歌が収められており、彼らがその目で見て、感じたことが1200年の時を越え、色あせることなく現代に受け継がれています。
昨年日本は第126代天皇陛下が御即位され、新しい元号は「令和」となりました。「令和」の由来はこの万葉集にあり、「美しい調和」を意味します。
このように悠久の歴史と美しい自然、そして豊かな文化によって紡がれた、神秘的で奥深くそして味わいのある国が日本なのです。
ここにお集まりのみなさんが日本に興味を持ち、日本研究を選択してくれたことに敬意を表します。日本という国は、みなさんの溢れる知的好奇心を必ずや十分に満たしてくれることでしょう。みなさんの活動を通じて日本と北欧の距離が縮まり、共に「美しい調和」を奏でていくことを楽しみにしています。
ありがとうございました。