「ろう者への電話サービス」
ー来年からは国が主導―
聴覚障害者の電話リレーサービスは喫緊の課題である。日本財団では、国の対応を促すために2013年から日本財団ビル内で電話リレーサービスを開始。ろう者からは、愛知県の海や東北での山岳遭難事故の際に日本財団の電話リレーサービスにより命が救われたと評価され、この度、国会で審議・可決されたので、ひとまず日本財団の役割は終了するにことになる。
2013年から現在まで10億円を使用し、毎日ではないが、約8,000人の方々が利用されている。
※以下、6月10日 公明新聞(東京)の記事です。
聴覚障がい者の通話
電話リレーサービス、制度設計急げ
聴覚障がい者と健常者の間における通話のバリアフリーをしっかりと進めたい。
スマートフォン(スマホ)などのビデオ通話機能を使い、聴覚障がい者と健常者の会話を、オペレーターが手話や文字で通訳・仲介する「電話リレーサービス」。これを国として制度化する「聴覚障害者等電話利用円滑化法」が成立した。
民間の調査によると、聴覚障がい者の約7割が、電話で意図を伝えられずに仕方なく相手がいる場所まで行った経験があるという。今回の法制定により電話を意思疎通の手段として使えるようになる意義は大きい。
電話リレーサービスについては、日本財団が2013年から試験的にサービスを行ったところ、利用する人が年に数千人単位で増加した。聴覚障がい者のニーズが高いことは明らかだ。
しかし、試験サービスは今年度限りで終了することが決まっていたことから、国の制度として継続することが強く望まれていた。
このため公明党は、関係団体と意見交換を重ね、国会質問を通じて電話リレーサービスの制度化を主張し、法整備を推進してきた。
法成立を受けて政府は、21年度中のサービス開始に向けた準備作業に入る。具体的には、利用料金の設定のほか、サービス事業者の選定やオペレーターの確保、国による財政支援のあり方などが今後の検討課題として挙げられている。
政府は、利便性を重視することを大前提とし、円滑にスタートできるよう制度設計に取り組んでほしい。
忘れてならないのは、広く国民の認知度を高めることである。
電話リレーサービスが知られていなければ、いたずら電話と誤解される恐れがある。この点は、聴覚障がい者の間で懸念する声が少なくない。
また、例えば金融機関に電話をして本人確認を求められても、オペレーターを介した場合は認められないことも想定されている。
国民への周知はもちろん、電話リレーサービスに関する業界ごとのマニュアルづくりなども、国が後押しすべきであろう。