「オリンピックが楽しみ 68.5%」
―日本財団・18歳意識調査―
東京オリンピック、パラリンピックを68.5%が「楽しみ」とする一方、どちらも興味がないとする回答も31.5%に上っているー。オリンピック開催まで1年余となった今年6月、日本財団が行った第16回目の18歳意識調査で、こんな結果が出た。オリンピック、パラリンピックを無事、開催するために必要な備えでは、1位が猛暑の30.4%、2位テロ24.1%、3位道路・鉄道の混雑20.3%となっている。
オリンピックに対する関心度については多くの調査があり、例えば内閣府が2015年に行った世論調査では81.9%が「非常に関心がある」、「ある程度関心がある」と答え、昨年秋のNHK調査では「大変関心がある」、「まあ関心がある」が77.9%となっていた。いずれも40〜50代を中心に高年齢層の関心が高く若年層は低い傾向にあり、今回の18歳調査の68.5%が特に低い数字というわけではないようだ。加えて回答を寄せた17〜19歳1000人のうち199人が式典や各競技の観戦チケットを申し込み、80人がボランティア募集に応募した、としている点からみても、オリンピックが近づくにつれ若者の関心が一層高まるのではないかと期待している。
必要な備えのトップとなった猛暑に関しては、7〜8月の“真夏の祭典”を前にすると、当然というのが実感。10月の秋空の下で開催された1964年の東京オリンピックの記憶が強い筆者のような高齢世代には、余計その思いが強い。マラソン開始時間の繰り上げや大型冷風機、ミストシャワー(噴霧器)の設置など様々な対策が検討されているようだが、高齢者や日本の夏に不慣れな外国人観光客も多い。来夏の天候がどうなるか分からないが、東京都内でも40度を超し、全国で熱中症が相次いだ昨年を思うと、あらためて猛暑対策の重要性を実感させる調査結果と思う。
このほか関心が高い競技・式典の1位はオリンピックが水泳、パラリンピックが激しい動きが人気の車いすバスケットボール。開会式は双方とも2位、陸上競技や野球・ソフトボール、車いすテニスなどが上位に並んでいる。オリンピックに対する期待では「多くのメダル獲得など選手の活躍」が28.6%と断トツのトップ。以下、「日本の国際的な地位の向上・理解促進」、「スポーツや文化の振興」、「国際的な文化交流」、「多様性を認める社会の実現」などが8〜6%台で並んでいる。
オリンピック憲章で「文化プログラム」の開催が義務付けられていることを知っていたのは11.7%と、やや浸透度が低い印象。文化プログラムで力を入れてほしい企画としては「音楽」が53.2%。「食文化」や「アニメ・漫画」、「伝統芸能・文化」が30%台(複数回答)で続いている。
「2020年の東京大会後もオリンピックを招致した方がよいと思うか」との問いには、47.5%が「思う」、17.7%は「思わない」、34.8%が「分からない」と答えが割れた。肯定的な答えの理由(自由回答)では「経済が活性化する」、「産業が発展し、技術開発も進む」、「日本の良いところを発信する機会となる」といった声が目立ち、否定的な回答では「オリンピック後に不景気が訪れる」、「莫大な金がかかり過ぎる」といった意見があった。
「分からない」の理由で指摘されているように、経済効果やメリットは終わってみないと分からない。その意味で、終了後に「また招致したい」と多くの人が思うような東京オリンピック、パラリンピックとなるよう期待する。