「文楽野外公演にどうぞ」
―明治神宮鳥居前―
2014年にスタートした日本財団「にっぽん文楽プロジェクト」の野外公演が、3月9日から12日まで1日3回(雨天中止)、明治神宮の原宿口鳥居前で開催されることになった。JR山手線を挟んで反対側に位置する原宿・竹下通りで初めての「お練り」も行われる予定で、明治神宮の伝統と若者文化の先端がどう融合するか、ひょっとすると文楽の新しい楽しみ方が生まれるのではないか、そんな期待を持って開催する。
プロジェクトでは2015年の東京・六本木ヒルズを皮切りに、これまで伊勢神宮や熊本城など6ヶ所で公演してきた。7回目の今回は来年、鎮座100年を迎える明治神宮の奉納公演として開催することになり、ヒノキ造りの本格的な舞台を鳥居前に組み立て開催される。
お練りは公演に先立って8日に行われ、人形遣いの桐竹勘十郎さんらが3体の人形とともに竹下通りを歩く。まさに伝統とヤングカルチャーの出会いとなるが、桐竹さんは「竹下通りを歩くのは初めて。若い人に文楽を知ってもらう絶好の機会となる」と語っている。
3月の公演に向けて意欲を語る桐竹勘十郎氏
演目は安珍清姫伝説で知られる道成寺物のひとつ「日高川入相花王 渡し場の段」と能を基にした「小鍛冶」で公演時間は1時間。会場は120席。有料席のほか、今回は明治神宮や原宿を訪れる多くの人が無料で立ち見ができるよう、会場の設営を工夫するという。
総合プロデュサーの中村雅之さんは「初めて文楽を見る人でも楽しめる演目を選んだ。周辺は若者だけでなく外国人観光客も多い。日本が世界に誇る人形劇を1人でも多くの人に知ってもらう機会にしたい」と語っている。プロジェクトは来年の公演で一段落する。中村さんら関係者の努力に頭が下がる思いがしている。