「自殺防止と東尋坊」
―昨年の自殺者21,000人―
国民の生活満足度は74%と世界一満足度の高い日本で、自殺死亡率(10万人当たりの自殺者数は19.5人)は世界で6番目に高い。
毎日、日本のどこかで60人の方が自らの命を絶っていることになる。
悲惨なことで胸が痛む。
2016年度に実施した「日本財団自殺意識調査」は4万人の大規模調査であった。
その結果
@ 4人に1人が「本気で自殺を考えたことがある」
A 自殺未遂経験者は推計53万人。
B 5人に1人が身近な人を自殺で亡くしている。
C 若者の死因の第1位は自殺。
であった。
以上のような衝撃的データに基づき、日本財団では長野県(2016年自殺者 339名)、東京都江戸川区(2016年自殺者 115名)の2カ所で行政と覚書を締結し、3カ年計画で2割減を目標にした数値目標を設定し、実施することにした。日本財団だけではさまざまな社会問題への対応は不可能であり、モデルケースで成果を上げ、全国に拡げる方法を取っており、この自殺問題も同様である。
少子高齢化の中で、若者の死因の第一位が自殺であることは何としても防止しなければならない。自殺の原因はさまざまだが、福井県の観光名所でもあり自殺の名所ともいわれる東尋坊は、断崖絶壁から身を投げる人が後を絶たない。ところが「ポケモンGO」のお陰で「レアポケモンが多く出るスポット」として観光客が増加したためもあって2017年は自殺者が激減したというが、これは一過性で、事実は、自殺防止のため見廻りを続けている元警察官の茂 幸雄さんのたゆまぬ努力によるもので、14年間で609人を保護されたという。

自然が織り成すこの美しい地で、何故に命を絶とうとするのか・・・
彼は「死にたい人などいない。自殺する人は本人が弱いんじゃない。地域や周りの支援する力が弱いんだ」と力説する。
この実体験を胸に刻んで、私たちも上記2カ所で実践活動を展開し、いずれ全国展開で自殺者数を激減させたいと願っている。
<注>
茂 幸雄さんは、日本財団の姉妹財団である社会貢献支援財団より平成22年度に表彰された方です。

茂 幸雄さん