「第49回社会貢献者表彰式典」
社会貢献支援財団は1971年に設立され、すでに12,190人以上の方々が表彰されています。
日本は世界一安全な国だといわれていますが、これは長年に亘り、日本各地で人知れず無私の奉仕をされてきた今回表彰されたような方々の力が大きいと思います。
2014年に安倍昭恵さんが会長に就任されてからは、表彰者発掘のために自ら海外を訪れることもあり、表彰者の範囲も海外で活動する方々にまで拡がりました。
以下は私の挨拶です。
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2017年11月27日
於:帝国ホテル
本日、長年のご労苦が評価され表彰を受けられた皆様方に、心からのお祝いと同時に日本国民の一人として感謝を表したいと思います。
皆様方の日々の地道な活動を通じて多くの人々が救われたことを考えますと、この世に同じ人間として生を受けながら、社会あるいは家庭が大きく変化する中で様々な問題に直面し、行き場所を失い、生きづらさを感じ、孤独になりがちな人々が多数存在することを忘れる訳にはいきません。
そうした中、日本人は互いに助け合う共存の精神で今日の日本を創ってきたわけであります。そういう強いDNAをお持ちの皆様方が存在し、現に活動されている事実が、これからの日本に何よりの力になると確信しております。
日本財団は、皆様方の活動を次の世代に引き継ぐにはどうしたらいいか、そんな考えに立ち先般、「日本財団ソーシャル・イノベーション・フォーラム2017」を開催しました。驚くべきことにフォーラムには、多くの学生そして若い人たちが、立見席が出るくらい集まって下さいました。
皆様方がご存知のような大企業に勤めましても、最近では入社後3年で30%から35%の人が辞めていきます。大きな組織の中で仕事をしても自分自身の活動が見えない、もっと社会の人と直接触れ合う仕事をしたい、という若い人たちが増えているのです。
学者や評論家が指摘する日本の将来の危惧とは違った新しい動きが、若い人たちの間に生まれてきているのだと思います。今日受賞された皆様方には、こうした志を持って次の世代を担う人材が沢山いることに意を強くして、さらなる活躍をしていただくよう期待しています。
社会のために働きたいと希望する若い人たちが、そのきっかけやアクセスを確保出来ないということもあると思います。日本財団では皆様方の仕事をさらに拡大し、志ある若者との繋がりを強化していくことが重要だと思っております。遠慮なく相談いただければ、若い方々と皆様方を引き合わせ、繋がりを拡げていくことが出来ると考えています。
もちろん政府も行政も社会課題解決のために懸命に尽力されていますし、わが国のように社会福祉政策予算が全体の40%を超える国は世界にそんなにありません。しかし社会課題の解決は行政だけで出来るわけではありません。やはり「草の根」からの拡がりが重要です。
相手に対する思いやりや皆様のような深い愛情を持った方々の情熱的な活動があって初めて、世界でも稀な安全で安心な日本社会が構築できたのは間違いありません。国民の75%が現在の生活に満足しているという国も日本だけです。これは決して経済的な面だけではないと思います。
皆様方のような人々によってセーフティーネットも確立されていますが、まだまだ十分ではありません。日本財団はそういう役割を果していく組織として、皆様と共にこれからも歩んで参りたいと思います。溢れる情熱、どんな困難にも立ち向かう強い心、そして成果が出るまで頑張り通す継続性こそ重要だと思います。本日、表彰された皆様は、まさにこの3点を実行されてきた方々だと思います。
私は全ての人が平等に生活でき、障がいがあろうとなかろうと日本国民として平等に生活できる社会にしていくことが2020年のオリンピック・パラリンピックのレガシーだと考えています。皆様とともに真剣に、明るい未来の日本をつくるため働かせていただきたいと願っております。
社会貢献支援財団におきましては、公私とみにご多忙の中、安倍昭恵会長を筆頭に理事の皆様方、そして内館牧子先生を中心とした選考委員会の皆様方の多大なご努力により年々、制度が充実しているのは関係者の一人として大変嬉しいことであります。同時に、世の中の知られないところで活躍されている方々は、まだまだ数多くいらっしゃると思います。ご参加の皆様方には、そういう方々を推薦賜りたく思います。
報道その他で様々な悲観論が論じられていますが、日本の将来はそんなに捨てたものではありません。日本人の心には2千年来、世界に冠たる国造りをしてきたDNAがあり、皆様方はそれをお持ちです。その心を顕在化して、次の世代を担う若い人たちに移していただきたいと思います。
今日を新たな第一歩として、さらにご活躍いただき、皆様方の善行が広く社会に浸透していくよう、お互い努力をしていこうではありませんか。